ミッドウェー海戦の兵装転換 64
一方は敵艦隊を攻撃して母艦に帰る。
もう一方は母艦から敵攻撃へ向かう。
当然どこかですれ違うわけだが、第二次攻撃隊はその直後、第一次攻撃隊の後方にアメリカ軍の大編隊を発見する。
戦闘機隊の率いているのは赤城所属の板谷少佐。
もちろん自軍の母艦直掩機の数であの攻撃隊を完全に阻止できないことをすぐに察する。
少しでも数を減らすため四隊の戦闘機隊のうちの一隊を向けるべき。
だが、ここでも縦社会の弊害が顔を出す。
確かに板谷少佐は各空母の戦闘機隊指揮官の中では唯一の少佐。
つまり最上位である。
だが、だからと言って、別の空母の戦闘機隊の指揮権があるかといえば、ない。
この時の日本海軍のシステムは、各空母及び各空母の攻撃隊は各空母の戦闘機隊が守るというもの。
そして、見かけ上戦闘機隊の指揮官と言っても、細かな指示はできない。
つまり、指示できるのは赤城所属の九機のみ。
しばらく考えたところで板谷少佐は赤城の一個小隊三機を敵編隊に向かわせる。
残り三隊も同様におこなうのを期待して。
そして、運よくそれはうまくいく。
まず、加賀の戦闘機隊が続き、飛竜と蒼龍も戦闘機隊の三機ずつが敵編隊へ向かう。
護衛機は各六機、合計二十四機に減る。
ついでにいえば、第一次攻撃隊の戦闘機は燃料こそ残っているものの、弾丸はほぼゼロ。
歯ぎしりしながら後方にいる敵編隊を睨みつけていたという状況だった。




