瓜二つ
ギャラリーに飲まれてしまっているのかと思うほどの雰囲気があった。2つの作品が同じである可能性の高さがあった。
「村沢さんは画家としてまだやってきたはずなのに才能もあったのもわかっていたはずなんですがね。」
「村沢はこの絵を描いたことでやめたんです。画材店で才能を見つけた人に教えていたんですよ。きっと贖罪があったと考えられるんです。」
人の命を軽く思っている政治家がうじゃうじゃいる。自分たちのつまらない持論だけを引っ提げていることもわからないのだから。
「過去が変えることなんてあるんですね。よく話では聞くことなんですけどね。叫び声も上げることができなかったことも知らなかったんですから。」
「有難うございました。これで事件に集中することができます。」
「刑事さんには正義があるんですね。」
管理人らしき人が応援してくれた。ギャラリーには秘密があった。加藤剛が建てたギャラリーがある事。そこにある絵と同じものがある事。圭太は源太郎に電話をするために携帯を取り出した。呼び出し音が2回くらいなると出てきた。
「もしもし。」
「もしもし。圭太か。どうした?」
源太郎が画家になったことで今回の事件を解くカギがあるのがわかった。
「兄貴、村沢巧の『炎の悪魔』を見たことがあるか。」
「あるよ。画家になってすぐに先輩が見たほうがいいとか言って豪邸のようなギャラリーで特別に見たんだよ。それがどうかしたのか。」
画家の間では有名にであることの証明された感じがした。『炎の悪魔』が処分されていなかったことにも疑問を感じる。
「もし村沢巧の『炎の悪魔』と同じような絵があったらどうする?それも題名も変わっていて書いた人も違っているとしたら。」
「お前がそんなことを言うということはあったということか。素人が見たら同じに見えたら大体同じ人が書いたと思えるな。俺もみたいと思っているけど。」
「そうだな。俺が行くから明日を見るのはどうだ。」
源太郎は納得したような返事がかえって来た。久しぶりに会えるのがうれしいのだろう。絵ばかり書いているわけでもないことを知っているから。考えていることだってあるだろう。政治家がいかに醜い人達の集まりであるか。人の批判をするのと自分を棚に上げるのは一人前の最低な人間ばかりなのだ。人を蹴散らすのは金をもらうためで政治なんてどれくらい後ろなのだろうかと思ってしまう。最近失言する政治家が多い。言っていいことと悪いことの区別ができないうぬぼれた人がたくさんいるだけだ。未来を考えるなんて嘘を吐き出しているのは無責任だと。




