絵の仮説
八木圭太は源太郎のマンションにいた。優れた刑事じゃないと思っている圭太に少しでもと休息をとっているのだ。阿部の事件はいずれは解決するがそこに関わる闇に戦う気はさほどない。政治家などの馬鹿げた権力乱用を見てもいられない。工藤は絵について詳しくはない。
「工藤君、君は有名な画家の絵すら美術館で見たことはないだろう。ああいうところは興味がある人しか行かない穴場スポットだと思えばいい。圭太だって詳しくない。だって絵というのは画家が描き出すことだ。書いた人間にしかわからないことだってあるのだから。」
「絵とはそういうものなんですね。評価されたりするじゃないですか。それについてはどう思いますか。過去に利用されていましたけど。」
源太郎は苦味の強いコーヒーを飲んでいた。徹夜でやることも多いためにしているという。圭太は2人の会話に耳を向けていた。画家の気持ちがわかることで今回の事件を解決へと導きたいと願っているのだ。
「俺はいやだよ。だってくだらない説明されてまで書いているんじゃない。ただなにかを感じとってほしくて書いてるんだ。世間も絵がうまい、下手などと評価するからいけないんだ。独自の感性にしたがって書いているだけでやっていけるなんておかしいよな。」
ただ楽しいから書いているのだといっている。リビングにはコンクールで賞をとったのかたくさんの盾とかがあった。
「源太郎さんは出したくて書いているじゃない。親父に認めてもらうにはこの方法しかないと思ってやってるんだ。源太郎さんは小さなギャラリーで見たいという人だけに見てほしいんだ。」
源太郎が書いているメモには教室のような絵にはろうそくでYが書かれている。砂漠では錨、神社のときは貝殻があった。パソコンの上に札束があった。庭の絵については何もかかれていなかった。
「源太郎さん、見落としているよ。如雨露にホースがつながっているのは不自然だろう。」
「あぁそうか。」
メモのしたにこう書かれた。会社が警察に賄賂を渡している。情報を流している。俺は怒りをたくさん抱えている。
「つながるな。工藤。資料室から一ノ瀬の事件とってきてくれ。ここにも同じものがあるから。」
源太郎は圭太のために事件の関しての隠してあるものはマンションにおいてあった。圭太のアパートにもある。純粋に悪事を倒す正義のヒーローを思い描かないでほしい。エゴのために活躍するとんでもないヒーローだと誰かが笑ってくれたらいい。どう考えたってエゴと思えるだろう。弁護士になれなかった腹いせだとかも思ってもいい。政治家が金をほしがるのと違いを言うことができないのだから。




