第90話:結果発表
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「それでは、今までのポイント並びに先日提出して頂きました、PR文の点数を発表します。
こちらのスクリーンをご覧下さい!」
いよいよ最終審査結果発表の時間となり、会場は緊張と期待に溢れた空気に包まれた。
そして、舞台のバックスクリーンに知力で戦った結果が映し出される。
それを見た会場は沸いた。
結果は凪が1位、高杉が45点の差で第2位にランクインしていた。
それを見て、凪がコッソリガッツポーズを取るのを見ながら高杉は肩を落とした。
(この後はいよいよグランプリの発表だけど、今の彼女に勝てる気がしない)
魅力の質が違うといっても結果は高杉には分かりきっていた。でも、最後まで胸を張り、毅然とした表情で結果を待った。
「皆様お待たせしました!!準ミスシンセリティの発表です!
獲得ポイント842点!高杉麻耶さん!!」
スポットライトが高杉を照らす。
観客の拍手と歓声に舞台中央に出て、感謝を込めてポーズを決めた。
そして今自分に出来る最上級の笑顔を観客席に向けて投げると、観客席から高杉を褒め称える声が聞こえてきた。
高杉はその感謝の気持ちを頭を下げる事で表現すると、定位置に戻った。
「では、グランプリの発表です。
獲得ポイント888点、樹神凪さん!!」
(……水着審査でさえ、私は1点差で負けている。完全に私の負けね)
高杉はキュッと下唇を噛んで、凪に囁いた。
「さあ、みんなが待ってるわ。行きなさい」
高杉の微笑みに応えるように凪は頷き、舞台中央で布を解いてターンをした。
その瞬間転んでしまい、宙を舞った布は凪の倒れた身体の上に被さった。
会場は一瞬シーンと静まり返ったが、凪は上体を起こすと片膝を立てるように座り、反対側の腕で布を広げてニッコリと微笑む事で再び会場を沸かせた。
観客の暖かい笑いと拍手の中、凪はターンをしながら立ち上がり、定位置に戻ったところで手を振ろうとしたが、脇腹に激痛が走り手を上げる事が出来なかった。
よって、身体の布を引き摺り下ろして水着姿になると、首だけで会釈して口パクで「ありがとう」と言った。
それが合図かのように紫藤は幕を降ろして、会場に向けて締めの言葉を述べた。
「これにてミスシンセリティコンテストを終了致します。長期間に渡り、お付き合いありがとうごさいました」
会場から割れんばかりの拍手が起きる中、帯刀は凪に駆け寄った。
「先程転んだ時にヤッたクセに、無理してターンをするからだ。バカが……」
「すみません。ああでもしないと誤魔化す自信がなかったものですから」
そう答えた凪の声はか細く、呼吸は浅い。そして額には大量の汗が光っていた。
苦痛で顔をしかめながらも、笑みを無理に浮かべている凪を高杉は心配そうに倒れそうな彼女の肩を抱いて支えていた。
「帯刀君。樹神さんはいったい……」
「昨晩、肋骨を折った」
「……肋骨を…!……何故そんな事に……」
高杉は思わず叫びそうになったが、無理矢理声を殺した。
そして凪をよく見てみると、左の踝は腫れ上がり、口角は切れ、髪に隠れていた額は透明のテープで保護されてはいるものの糸で傷を塞いでいるのが見える。
更にメイクでよく分からなかったが、身体中にも痣が広範囲に出来ている事に気が付き、再び叫びそうになって口を押さえた。
会場にはまだ、生徒達がいる。叫んだりしたらとんでもない事になる。
(こんな状態で平然を装っていたの!?ありえないわ!)
「今タクシーを呼びました」
紫藤が幕の中に入ってきてそう言うと、凪の表情を見るなり眉を寄せた。
「凪さん。もう笑わなくていいんですよ」
「そうだぞ、凪。コンテストはもう終わった。だから今は俺達に甘えろ」
浩樹にそう言われ、安心したのか、凪は頷くとそのまま目を閉じた。




