第87話:密会
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翌朝、凪は越智と一緒に生徒会室に入った。
「腫れは目立たないな」
生徒会室に待機していた帯刀は、凪の顔を見てホッとしながらそう言うと、彼女をソファに座らせて左足首の湿布を交換するとその上に氷嚢を乗せた。
「痛むか?」
「足は大丈夫です」
「足は、か」
そう復唱され、慌てる凪に帯刀は苦笑した。
「折れてるんだから当然だ。
医者が1時に来る。鎮痛剤を注射して痛みを誤魔化すぞ」
凪は頷くと、医者が来るまで安静を保つ事にした。
帯刀は越智に凪の事を頼んで、自分は生徒会室を出てチャペルの更に奥に向かった。
そこは、森があるだけで何もない場所だ。
そこで明智が帯刀を待っていた。
明智は帯刀の姿を認めると、周囲を見渡して他に人がいない事を確認てから帯刀に声を掛けた。
「お待たせしてすみませんでした」
帯刀はそう言うと、早速封筒に入れていた写真を取り出して明智に見せた。
明智はそれを見ると、愕然とした表情でワナワナと震え始めた。
そこには中学生位の女の子が酒やタバコを吸い、柄の悪そうな仲間と楽しそうに話している様子が写っていた。
「……この写真は先生のお嬢さんですね?」
明智はピクリと身体を揺らす。
「確かお嬢さんは校則の厳しい学校に通われていますよね?……この写真をネタに教頭から脅されましたか?」
「……どうやってこの写真を?」
帯刀は造作もない事とばかりに答えた。
「教頭の所から失敬しました。よって今、教頭の手にこの写真はありません。ですがすぐに気付かれると面倒なので、メモリーは細工したものとすり替えてあります。
娘さんによく似た女性を使いましたので、パッと見は気付かれません」
どうやってとも思ったが、敢えて聞かない事にした。
その代わりに息を長く吐き出し、頭を下げた。
「君達にはすまない事をした。
だが、親バカと言われても仕方ないが、あんな写真を娘の学校に送られでもしたら、娘は附属に進級はおろか退学になる可能性もある。
どうしてもそれだけは避けたかったんだ」
正直自業自得だ。
退学にでもなれば、明智の娘も少しは社会について真面目に考えるだろうから放置しておけばいいのだ。
だが、娘の経歴に傷が付くのは親としては見捨てておくわけにはいかないのだろう。
だからこそ、教頭にとってはいい脅しのネタになったわけだし、今回も恩を売っておけば明智は自分の味方になる確信を得られる為都合がいい。
帯刀はそう判断したから面倒でも根回ししたのだ。
「これで脅されるネタはなくなりました。これからは俺に協力して貰えませんか?」
否定されるわけがない。
判ってはいたが、敢えて明智にそう聞いた。そして、予想通り一瞬悩んでいる世様子ではあったが、最終的には首を縦に振った。
「今までの詫びとして協力しよう」
「では、俺がお願いしたい事ですが……」
帯刀は明智の耳に口を寄せて話した。
すると、明智は驚きのあまり思わず後退った。
「……た、帯刀君!本気で言っているのか!?」
「俺はこれでも欲深なので、それでもまだ足りないんですよ」
とんでもない申し出に明智の顔はひきつっていたが、帯刀は気に止めた様子もなく涼しい顔をしている。
「再度お伺いしますが、協力して頂けますか?」
そう訊ねられ、明智は首振り人形のように“コクコク”と頷く事しか出来なかった。




