第17話:体育祭当日
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体育祭当日、凪は放送席から体育祭を見ていた。
浩樹は様々な種目に参加し、一位を総ナメにして得意顔だ。
そして、競うように越智も大活躍し女性ファン達の黄色い声援が上がっていた。
仮装リレーでは色々なコスプレが観れて楽しめたが、一番は教師による仮装で大爆笑に包まれた。
そしてメインイベントの騎馬戦では、東軍西軍に別れ、熾烈なハチマキ争奪戦が繰り広げられている。
「迫力だろ?」
後ろから帯刀がそう聞いてきた。
「帯刀先輩は出場されないんですか?」
「籍があるだけで、実際クラスには殆ど顔を出さないからな」
帯刀は浩樹を見るように促した。
浩樹の手には既にハチマキの束が握り締められ、次の相手を見付けては楽しそうに掴みかかり、ハチマキを奪っては薙ぎ倒し、また次の獲物に襲いかかっている。
「あいつ、楽しそうだろ?」
「純粋に体育祭を楽しんでいらっしゃいますね」
浩樹に襲われた騎馬は必死に抵抗するが、その甲斐なく奪われてしまう。
だが、揉み合いになると掠り傷を負う。
そうすると救護班が駆け付け手当てを受け、満更でもない様子で会話の花が咲いていく。
「あちらこちらでハートが飛びまくってる気がするのはあたしだけでしょうか?」
「俺達の年齢なら恋愛に興味持つのは当然だろう?」
確かにそうだが、そのお年頃の自分は全く興味が持てない事だけに苦笑した。
「……浩樹先輩は意識してやってるんでしょうか?」
「何をだ?」
「ご自分の事です。
自分が動く事で周りもやらなきゃという気持ちになる。結果、みんなが団結し盛り上がっていく。自分にそういった太陽の引力のような魅力を理解していて、敢えて今回も全種目に参加する事で、恋愛だけではなく体育祭自体を楽しもうとさせているんだとしたら凄い事だなぁと感じたものですから」
「……お前もな」
質問の答えと違う返答が帰ってきて、凪は振り返って帯刀を見た。
(何があたしもなんだろう?)
凪は訝し気に眉を寄せると帯刀はグラウンドを見るように指示した。
「浩樹が転倒したぞ。放送席」
見ると、グラウンドに浩樹の姿はなく、あるのは救護班達で埋め尽くされた黒山だった。
どうやらあの中に浩樹がいるらしい。
「そろそろグラウンドから出ていってもらいましょうか」
帯刀はその意味を汲み取り面白そうに笑った。
「あのままじゃ浩樹が全てハチマキを奪いそうだからな」
「です」
凪も面白そうに笑うと、マイクを握り締めてスイッチを入れた。
「おぉ~と!?
ここで大本命の我等が生徒会長転倒!!ハチマキゲットチャンス到来だ~~!
会長は果してハチマキを死守できるのか!?」
この放送で救護班だけでなく、他の騎馬隊まで集まり、巻き起こる土煙の中で浩樹の悲鳴が聞こえた。
今日も2話更新やります。
次話は夜に更新致します。




