第四十四話 ノーナさんへの反撃
「それでわたしは、これ以上、あなたのことを無視してもしょうがないと思ったの。無視すれば、いずれ軍門に降ると思ったのに、通用しなかったのだから。今まで、わたしが気に入らないと思っていた人は、無視をすればみな軍門に降っていたというのに……」
口惜しさはまだまだあるようだ。
「それにあなたは毎日、無視されても一人一人にあいさつをしていた。しかも微笑みながら。さすがのわたしも、すごいことだと思い、心が少し動かされるところがあった。そして、こういう一生懸命なところが殿下の心を動かしているのだと思った。悔しいことだけど」
意外なことに、わたしの行動に心を動かされるところがあったようだ。
毎日一生懸命、心の底からやさしい気持ちになって、あいさつをしていてよかったと思う。
そういうところはうれしい。
「まあとにかく、これからは、あいさつぐらいはしてあげるわ。わたしのグループにもそう言ってある。ありがたく思ってほしいわ」
そう思えるわけはない。
わたしは耐えてくることができたが、それはそれ以上の苦労をしてきたからだ。無視されるというのは本来とてもつらいこと。
この人たちに言ってもしょうがないと思うけど。
「今日はそのことを言う為に、あなたと二人きりになったの。他の人がいる前じゃ、あなたも嫌だったでしょ。わたしも気をつかってあげたのよ」
二人きりになって話をしたかった理由はわかった、ノーナさんからすれば、配慮をしたつもりなのだろう。
そういう配慮よりも、最初から無視をしないという配慮の方がはるかに大切だと思う。
「今までのことを謝る気はないのでしょうか?」
「あるわけないでしょう。わたしは、これ以上無視をしていても意味がないから、あいさつぐらいはしてあげようと思っただけ」
まあ無理な話だとは思っていた。
これだけプライドの高い女性だ。謝る気など全くないのだろう。
しかし、これだけは言っておかなければならない。
相手が聞く気があるかどうかは別として。
「わたしは、今までのことは言うつもりはありません。ただ。これからは、相手がわたしだろうと誰だろうと、気に入らないから無視をするということは、しないでいただきたいと思います。ノーナさんは、クラスで一番勢力を持っているのですから、むしろ生徒の代表としての自覚を持って行動すべきです。今のクラスはまだまだギスギスした雰囲気があります。クラスの中が、もっと穏やかで過ごしやすい雰囲気になるように行動すべきだと思います。わたしも一生懸命努力していますが、ノーナさんも努力すべきだと思います」
わたしは、ノーナさんに厳しく言った。
ノーナさんは驚いているようだ。
「セリフィーヌさん、あなたって結構厳しいことを言うのね」
「これは、ノーナさんに前から言いたかったことです」
「まあいいわ。意見としては聞いておくことにする」
今日のところは、こういう意見を持っていることが伝わるだけでもいいだろう。
しばらくの間、沈黙の時間があった後。ノーナさんは、
「今日はこれで話は終わり。今日話をした通り、明日からはあいさつをしてあげる。このわたしがあいさつをするのだから、名誉なことだと思ってもらいたいものだわ」
と言って一回言葉を切る。
そして、
「でもわたしは、あなたに負けるわけにはいかない。リントノン公爵家の意地にかけて、あなたに勝ち、殿下の婚約者になってみせる!」
と強い調子で言った。
闘志はまだまだ健在。
わたしももっと、殿下に対する想いを強くしていかなくてはいけないと思う。
「それじゃ、また明日」
と言って、ノーナさんは去って行った。
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