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第四十二話 ノーナさんの敵意

「わたしは殿下にお誘いを受けるのを光栄に思っていたんです。殿下がわたしのことを嫌になるならともかく、こちらからお誘いを断るなどということは、一回もありませんでした。それは殿下に対して失礼なことになるからです。そして、わたしが、無視されるのに耐えきれたのは、わたしは苦労してきたからというのが大きいと思います。無視されることよりも大きい苦痛を味わってきたんです。これは自慢じゃないし、自慢したってむなしくなるだけですけど」


とわたしは言った。


「無視されることよりも大きい苦痛……」


ノーナさんは、いつもより聞く耳がありそうな気がする。


「ノーナさんに言いたいことがあります」


わたしは攻勢に出ることにした。


「な、なによ」


驚いた様子のノーナさん。


「気に入らないことがあるからと言って、人のことを集団で無視しないでほしいと思います。こういうことで苦しむ人はわたしを含めていますので、してはいけないと思っています。わたしは、耐えることができたのでまだいいです。でもそのわたしだって、最初の頃はとてもつらい思いをしました。あいさつをしても誰も返事をしてくれないということが、いかに厳しいことか、あなたにはわからないでしょう。それから、少しずつあいさつを交わせる人やおしゃべりをする人が増えてきました。でもできれば最初からそういう状態になりたかったと思っています」


ノーナさんは黙って聞いている。


わたしは話を続ける。


「ノーナさんは、今もわたしが殿下とおしゃべりをするのは嫌なのですか?」


そうわたしが言うと、


「もちろん、あなたが殿下とおしゃべりしているのを想像するだけで、はらわたが煮えくり返る気がしていたの」


と言ってきた。


初対面の時に比べると、言い方はそれほど激しくないが、わたしに対する敵意はまだまだ健在だ。


「わたしは、殿下の婚約者になりたい気持ちでいっぱいなの。あなたがここに来るまでは、わたしが、婚約者の第一候補になるだろうと言われていた。その為の努力もしてきた。ただ殿下は奥手だったのか、どんな女性とも今まで親しくされることはなかった。学校で声をおかけしても、あいさつぐらいしかできない。パーティーでも、誰ともダンスをしようとしない。わたしは、殿下と素敵なダンスを踊りたい。そこで、殿下のお気に入りになって婚約への道へ進みたい。その為に、ダンスの練習を一生懸命やってきたというのに……。あなたにはこういう気持ちはわからないでしょう」


ノーナさんは、また言葉を一回切る。


その執念はすごいと思う。


「わたしに告白してくる人はこの頃増えてきている。でもわたしは殿下の婚約者になりたい。だから全員振った。一人一人に、『わたしとあなたじゃ釣り合わない。だいたいわたしはあなたに告白されること自体が嫌なの。二度と話しかけないで』と言ってあげたわ」


男性にはモテるという話は聞いていたが、告白してきた人に対しては、もう少し柔らかく言うべきだと思う。


少なくとも人を見下した言い方はすべきではない。


言われた男性の方は、ただでさえ傷ついてしまうのに、さらに傷が深くなってしまうだろうからだ。


それにしても、告白する男性の方もれっきとした貴族。そうした人たちを全く相手にしないところは、プライドが高くて肝が据わっていると思う。


「面白い」


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