第三十三話 婚約したわたし (フレナリックサイド)
九人目の女性と別れた後。
わたしは、また女性と付き合いたいと思っていた。
ところが、女性との出会いと別れを繰り返してきた結果、次第に別れた九人の両親たちを中心とした貴族の間では、
「こんな節操のない人物が次期国王でいいのだろうか?」
という声が大きくなってきた。
そして、
「娘はフレナリック殿下を一生懸命愛していたのに、それを無惨にも打ち砕いた。しかもそれが九人。全員、心に傷を負ってしまい、今も苦しんでいる。こんな思いやりのない人物が、国をまとめていけるのだろうか?」
と九人の両親たちは言っていると言う。
かなりの不満を持っているようだ。
また、最近、わたしは、王国の政務のかなりの部分を父王から譲り受けていた。
父王の体が弱くなっていたからだ。
これを機に、もっと贅沢をしたいと思っていたので、税の負担を重くし始めていた。
その不満も領民から上がり始めているという。
しかし、わたしは一切気にしていなかった。
もう王国の政務のかなり部分を担当しているわたしが、好き勝手をして何が悪いと言うのだろう。わたしに愛された女性だって、それは名誉に思うべきで、不満に思うのは欲が深すぎだ。贅沢にしたって、わたしからすればまだまだ抑えているレベルで、税もわたしからすれば、そんなに上げているつもりはない。
そう思っていた。
両親は心配していた。
父王は、税については、もとのレベルに戻すべきだと言った。
そうでないと、領民の不満はたまっていき、反乱に発展しかねないと言っていた。
大臣たちもその意見に賛同したが、それは聞き入れなかった。
これくらいは必要で、反乱がもし発生しても鎮圧すればいいと言って押し切った。
しかし、女性についてはそうはいかなかった。
貴族の間にある、
「節操のない人」
というイメージは壊す必要があると、両親、時に母王妃にはそう言われた。
それには、婚約をするのが一番いい方法だということで、両親は婚約者の選定を始めた。
婚約者候補は何人か上げられたが、その中から、ラフォンラーヌ公爵家のセリフィーヌを婚約者にすることが決まった。
わたしの意志はすべて無視。
腹立たしくてたまらなかったが、仕方がない。
こうしてわたしは、婚約者になったセリフィーヌに会うことになったのだった。
わたしは、セリフィーヌと初めて会った時、すぐにフィーリングが合わないと思った。
わたしはゴージャスなタイプが好きだ。
今まで付き合った女性はみなゴ-ジャスなタイプだった。
今までの女性とは違う。
セレフィーヌは美しくて、上品な女性であるとは思うが、それはわたしのタイプではない。
わたしは。最初こそ気のありそうな態度をとった。しかし、キスどころか、抱きしめる気にもならなかった。
そして、一週間も経つと素っ気ない態度をするようになった。
セリフィーヌはわたしに気をつかってくる。一生懸命わたしと話そうとする。
しかし、それも無視するようにした。
そうしていけば、わたしのことを嫌になり、自分の方から婚約の破棄を願ってくると思ったからだ。
わたしは、他にいい女性がいないかどうか、と思い始めていた。
以前のように、またパーティーで見つけようと思っていた。
ただ、今までと違うのは、婚約者にするのを前提にするということ。
そうしないと、両親や貴族の反発を受けるだろう。
婚約者として受け入れておいて、嫌になったら捨て、また違う女性と婚約をすればいい。
ただセリフィーヌの方は、わたしが素っ気ない態度をとっても、無視しても、全くめげない。
それどころか、わたしのことを好きになろうと努力している。
いくらわたしでもその気持ちは伝わってくる。
また、セリフィーヌは、わたしの両親の評判がいいようだ。そして、王室の中でも次第に評判が上がってきている。
才色兼備で、心やさしい人柄が素敵だのことだ。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
と思っていただきましたら、
下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。
ブックマークもいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。




