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第二十九話 友達のアドバイス

クラディナさんとのおしゃべりは続く。


話は恋についてのことになってきたので、話すことに恥ずかしさがある。


「いや、まだまだ全然。もちろん殿下のことは好き。あんなに素敵な方はいないと思う。でも恋をしているかと言われると……。わたし、殿下のことを恋という意味で好きなのかどうかは自分でもわかっていないんだ……」


「でもおしゃべりをしていて楽しいんでしょう? 一緒にいるだけでうれしいんでしょう? 殿下のこと好きなんでしょう?」


「それはそうなんだけど……」


「それは恋をし始めているということだと思うんだけどな」


「そういうものなのかしら」


「殿下の方も、セリフィーヌさんのことを好きだと思っていると思う。あなたに対する恋心も芽生え始めていると思う」


「殿下もわたしとおしゃべりしている時は、楽しそうにしていて、好意をもっていただいているとは思うんだけど」


「好きで、恋し始めているから、毎日セリフィーヌさんを誘っているのだし、おしゃべりをしていても楽しいのだと思う」


「でも親しい友人という扱いだと思う恋という意味での好きではないと思っている。まだ休日にお誘いを受けたことはないし。恋の対象だとしたら、休日もお誘いがありそうな気がする」


「セリフィーヌさん」


クラディナさんは少し真剣な表情になると、


「休日もお会いしたいって、あなたの方から提案したらどうかしら。あなただって、もっと殿下と仲良くなりたいでしょう? 恋かどうかは別として」


と言った。


「仲良くなりたいとは思っている。でもわたしから提案するの? それは殿下に失礼ではないかと思うんだけど?」


「失礼なことはないわ。むしろ殿下はお喜びになる」


「そうかしら?」


「殿下の方も、まだ恋の芽生えの状態だと思うけど、あなたのことが好きなことには違いないと思う。仲良くなりたいと、きっと思っている」


「そうだといいんだけど」


「明日、殿下に『休日もこうしてお話をしたいんですけど』って言ってみたら?」


「明日?」


「そう。セリフィーヌさんもそうしたいと思っているんでしょう?」


「うん」


「もしかすると、殿下は少し積極的な子の方が好みかもしれない」


「そうなのかなあ」


「ここはセリフィーヌさんの方から押した方がいいかも」


「うーん……。言っていることはもちろんよくわかるのだけど、こちらから押すと嫌われるかのしれないと思って」


「もちろん、あまり程度が大きすぎるのはよくないけど、受けているだけだとこれ以上仲良くなるのは難しい気がする。だから、少し押した方がいいと思ったの。あなたの殿下への、『もっと仲良くなりたい』という気持ちを伝えるという意味で。そうすれば。あなたのことを嫌いになるどころか、もっと好きになるんじゃないかと思っている」


「嫌われることはないと思うのね」


「まあ、仲を良くしていきたいと思うんだったら、そういう方向も必要になってくると思う」


「うん。少し検討することにする」


「それがいいと思う」


「アドバイスありがとう」


「とにかくもっと積極的にね。そうすれば、今よりきっと仲良くなっていける」


そう言うとクラディナさんは微笑んだ。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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