第二十八話 友達とのお茶会
クラディナさんに楽しんでもらうことはできるのかな……。
彼女が来るまでの間、そういうことが心の中に浮かんできたりしていた。
もちろんいつも通りに接していけばいいのだと思うけど、場所が違うと、どうも調子が違う気がする。
話がもし盛り上がらなかったとしても、嫌われることはないと思うけど、少し気まずい思いはするかもしれない。
クラディナさんは、そういうことを気にしないタイプだと思うけど。
でも楽しんでもらいたいなあ……。
そう思っていると、クラディナさんが到着したという連絡が入った。
悩んでいてもしょうがない。いつも通りのわたしでいくだけ。
わたしは彼女を玄関に迎えにいった。
「ようこそ、グッドランド公爵家の屋敷へ」
わたしはクラディナさんを出迎えた後、わたしはクラディナさんを自分の部屋に案内した。
テーブルには、紅茶とお菓子。
わたしたちは、紅茶を飲み、お菓子を食べながら、おしゃべりを楽しむ。
「わたし、セレフィーヌさんのこと尊敬しているんだ」
クラディナさんは紅茶を飲んだ後、そう言った。
「尊敬だなんて……」
「あなたが初めてわたしたちのクラスに来て、殿下に昼食に誘われて行ってしまった後、ノーナさんが、『あの人は殿下のことを骨抜きにしようとして、腹が立つから、無視することにしましょう』と言ったの。それにクラスの人の大部分が賛成してしまって。わたしは賛成できなかった。ただ。少し近寄りがたい人だと思ったので、進んで話しかけたいとは思わなかったの。恥ずかしい話ね」
クラディナさんは紅茶を飲むと、続ける。優雅な飲み方だ。
「でもあなたは、翌日、みんなが無視する中、笑顔で一人一人にあいさつしていた。しかも、卑屈にならず、上品さを保ちながら。芯が強く、並みの人にできることではないな、と思ったの。こういう素敵な人と友達になりたいという気持ちが強くなってきた。それで、その翌日、あなたに声をかけたの」
「声をかけられた時は、驚いたけど、うれしかったわ」
「喜んでもらえて、わたしもうれしい」
「でもノーナさんのことが怖いとは思わなかったの? あなたの方も無視されるかもしれなかったのに?」
「もともとノーナさんとはほとんど話をしたことはなかったし、クラスの多くの人に無視されたとしても、友達と話せれば別にいいと思っていた。とにかく、殿下にお誘いを受けるからといって、それに嫉妬して、無視するなんてことは絶対にしてはいけないと思った。そういうことをしている時間があったら、自分を磨いて、殿下にふさわしい人間になるべきだと思う」
わたしのことを芯が強い人間だと言ってくれたけど、クラディナさんも芯が強い人間だと思う。
「あなたについての嫌な噂を聞いた時も、なぜこういう素敵な人に対して、と思ったの。まだ噂がおさまっていないのには、腹が立ってくるけど」
「言い返してくれたこと、本当に感謝している」
「それはいいのよ」
「普通、あそこまで人のことを思ってくれる人はいないと思う」
「セリフィーヌさんだって、いつも人のことを思ってくれているでしょう?」
「クラディナさんのところまでは、まだ到達できていないと思う」
「そんなことはない。十分だと思っているわ」
わたしたちは微笑み合った。
クラディナさんは紅茶を飲んだ後、
「そう言えば、殿下との仲はどこまで進んでいるの? もう手をつないだりした?」
と聞いてくる。
彼女は他の女性と違い、もともとわたしが殿下と昼休みにおしゃべりをしていても、気にすることはなかった。それどころか、殿下との仲が進んでいくことを喜んでいるようだ。
彼女は、マノーラ公爵家のテオフィルさんとお付き合いをしているので、殿下のことはもちろん尊敬しているが、恋愛の対象ではないのだと思う。
殿下との仲が進んでいくことを喜んでくれる友達がいるのは、本当にありがたいと思う。
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