表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/81

第十八話 わたしは間に合わない (イレーナサイド)

わたしには、殿下のお妃になるしか生きる道はなくなっていた。


その為、異母姉が殿下の婚約者に決まった時は、わたしの人生はもう終わったと思ったほどだった。

それでも表面上は喜ばなければならなかった。


ラフォンラーヌ公爵家全体としては、喜ぶべきことだったからだ。


しかし、わたしの心の中は、荒れに荒れていた。


なぜわたしが、婚約者になれないの。異母姉は先妻の子供。わたしは、今の公爵家当主の妻の子供のわたしの方が、殿下の婚約者にふさわしいのに……。


悔しくて、悔しくてたまらなかった。


それならばこそ、殿下の婚約者になった時は、とてもうれしかったのだけど……。


こういう人生を歩んできた以上、わたしは婚約者の地位を守らなければならない。


そう思ってはいるんだけど……。


浮気をされるのは嫌だ。


しかし、浮気を堂々とされて、嫌な気持ちになっても、殿下の甘い雰囲気に染められてしまう。その時はすべてを忘れてしまうのだ。


しかし、このままだと、結婚したとしても、いずれ相手にされなくなるだろう。


マドリンだけではない。殿下の寵愛を受けたい人は、まだまだいっぱいいる。


それは、わたしが殿下と結婚しても変わらないだろう。


浮気相手に悩まされ、その度に心に打撃を受けてしまう……。


そんな思いはしたくない。


でも今の状態がずっと続くようであれば、


「わたしだけを愛してほしい!」


と言っても浮気をしてしまうだろう。


わたしは、つらい気持ちになっている内に、もう一つの大きな問題が心の中に浮かんできた。


お父様の子は、異母姉とわたししかいない。


したがって、公爵家の当主はわたしが就任することになる。


当主になることはうれしかった。


これでより一層贅沢ができると思った。


そして、ゆくゆくは殿下との間にできた子に、この公爵家を継いでもらう。


そうすれば、わたしは公爵家に影響を残し続けられるし、わたしの血筋も残っていく。


いいことづくしだと思っていたのだが……。


当主になった以上は、公爵領の内政をしていかなくてはならない。


公爵家の人達に任せきりというわけにはいかない。


わたしが主導権を持つ必要がある。


わたしが内政の主導権を持ち、わたしの力で公爵家の勢力を維持してこそ、結婚した後も王室に影響力を持つことができる。


もし公爵家の勢力を維持できたとしても、わたしが公爵家の内政の主導権を持つことができないと、わたし自身の発言力は低下してしまうに違いない。


ただでさえ、結婚後、相手にされなくなる可能性があるわたし。


主導権を持って内政を行っていくのは、結婚生活を維持していくのに必要なことだ。


しかし、それは、わたしにとっては難しい問題。


わたしは今まで、内政については、ほとんど興味がなかった。


内政は、領主のお父様が仕切っていたのだが、異母姉が十歳の頃から助言をするようになっていた。


悔しいことだが、この点は異母姉には全くかなわない。


異母姉は、幼い頃から内政に興味を持っていた。


この点を好ましく思い、才能があったと思ったお父様は、家庭教師をつけて、内政についての知識を身につけさせた。


すると、この分野での知識をあっと言う間に身につけ。お父様の助言ができるほどの存在になっていった。


異母姉の助言は的確で、それ以前に比べて、生産能力は増大し、人々の生活もより一層改善された。


善政だということで、喜んでいる人も多い。


それで、異母姉を慕う人が増えているという話を聞いていた。


しかし……。


今はお父様も異母姉もいない。


わたしには内政の才能はないし、お母様にもない。


領内からは、異母姉を追放したことに対し、


「なんでそういうことをするんだ! 生活を改善してくれたのに! セリフィーヌお嬢様こそラフォンラーヌ公爵家の当主にふさわしい!」


という声も出てきているようだ。


その声が大きくなったらどうしょう。


また、領内の経営が傾いたらどうしょう。


このことについては、お母様と相談するしかないのだけど……。


殿下のこと、内政のこと。


どちらもつらい話だ。


殿下のことはともかく、内政のことは、異母姉だったら解決していけることなのだろう。


今さら異母姉を追放したことについて、わたしが間違っていたと思っても、間に合わないと思う。


わたしは悲しくなり、涙を流し始めた。


どうして、どうしてわたしはこういう思いをしなければならないのだろう……。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ