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第十一話 殿下への想い

殿下は、少し恥ずかしそうな表情になる。


「いや、特別な意味はないんだ。と、とにかくきみと楽しく過ごせればいいと思っている」


ここで、に好意を持っている、と言葉で言ってくれたらよかったんだけど。


でも少なくともわたしのこと、嫌いではないようなので、そこは安心。


「きみの体が動けるようだったら、三日後、グッドランド公爵家にきみを迎えにきてもらおうと思う。侍医は大丈夫だと言っているので、そう進めたいのだが。無理はさせたくないと思っている」


「大丈夫だと思います」


殿下のところにもう少しいたかったが、それはわがままというものだろう。


「それなら進めることにしよう。そして、今から五日後から学校が始まる。三日間はこの部屋でゆっくりしてくれ。足の痛みが治まっているようだったら、庭を散歩しても構わない」


「ありがとうございます」


「それじゃ、また夜、ここにくる」


そう言うと、殿下は、部屋を去っていった。


学校へ通い、政務の一部もこなす。


毎日、目の回るような忙しさだと思う。


あのお方のお役に少しでも立てたら、と思うが、そういう立場にはいない。


婚約者になり、王太子妃になれば、お役に立てると思うのだけど……。


でも今のわたしの立場ではそれは望み薄。


そして、フレナリック殿下の婚約者となってから味わってきた苦しみ。


それを想うと、婚約者になることは、苦難とイコールのような気がする。


もう二度と味わいたくないという気持ちも強い。


王太子妃になったらそれ以上の苦しみを味わうかもしれない。


ただわたしの中では、少しずつ殿下への想いが強くなり始めている。


殿下とだったら、苦難があっても乗り切れるのでは、という気持ちがある。


とはいえ、これはわたしが一人で思っていること。


殿下からすれば、数多くいる貴族の女性の一人にすぎない。殿下を狙っている女性はたくさんいるだろう。


その中には魅力的な女性もいるに違いない。


とにかくわたしはこの王国にきたばかり。


どういう女性が殿下を狙っているのかはわからないが、その人たちと戦わなければならないのかもしれない。


いや、わたしは何を思っているのだろう。


戦う戦わない以前に、わたしは殿下のことを心の底から好きなのだろうか。


まだそこまで行っていない気がする。


救けてもらった時から好意は持っている。


出会ってからまだ一日も経っていないが、殿下のやさしさ、心づかいに、わたしの心は殿下に傾きつつある。


しかし……。


わたしはフレナリック殿下に婚約を破棄されてしまった。


その傷はそう簡単に癒えるものではない。


殿下はわたしのことを受け入れてくれるのだろうか?


そこまで行くこと自体もとても大変なことだ。


もし受け入れられたとしても、わたし以上の人が現れて、その人に奪われてしまうのではないだろうか?


そういうことが心の中に浮かんでくる。


しかし、今悩んでもしょうがないことではある。


わたしは、まずグッドランド公爵家令嬢としての生活に慣れていかなくてはいけない。


令嬢としての立ち居振る舞いができないようでは、殿下のおそばにいく資格はないだろう。


それに、殿下とわたしが会ったのは、今回が初めてではないはず。


思い出すことはできていないが、絶対にどこかで会っている。


ということは、殿下との縁はあると思う。


この縁が、婚約、そして結婚につながるものであるといいんだけど……。


そう思っていると。


「お食事をお持ちいたしました」


殿下付きの執事の声。


「お願いします」


いつの間にか夜になっていた。結構な時間、悩んでいたようだ。


執事と召使が入ってきて、配膳を始める。


執事は、かなりの年のようで、昔からこの家に仕えているのだろう。威厳がある。


「お体の方はいかがでしょうか? 少し顔色が良くないようですが」


テーブルに配膳が終わった後、執事が聞いてくる。


「大丈夫です」


「それならよろしいのですが。もし気分が悪いようでしたら、すぐご連絡ください。殿下の大切な客人ですから」


「ありがとう」


「お食事が終わったらご連絡ください。片付けに参ります」


「食事が終わったらご連絡させていただきます」


「それでは失礼いたします」


そう言うと執事は頭を下げ、召使とともに部屋から去っていった。


おいしそうな料理。


「殿下、お心づかいありがとうございます。いただきます」


そう言った後、わたしは料理を食べ始めた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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