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『呪われた元英雄は育成力もSランク~落ちこぼれの教え子を育てて「英雄」にしたら俺から巣立ってくれない』  作者: マロン64
第二章 リリア編

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第三十二話 ダメおっさん、オークキングと戦う

 次はオークナイトだ。青銀色に光る大盾を持って、オークキングの前に構えている。あいつらは俺の動きを見て、ゆるりと立ち位置を変えている。厄介だな。五階層の強さじゃない。俺はアダマンタイト製の大剣を引き抜く。


「リリアは後方支援! サラとラーナはオークジェネラルを抑えるんだ」

「分かったわ!」

「承知しました」

「!」


 オークジェネラルが俺に走り寄ってくる。サラとラーナはそれぞれ一体ずつに構えて立つ。まああいつらなら大丈夫だろう。


 俺の本気の動きは二十秒しかできない。オークナイトにかまけているとオークキング戦で戦えない。ならばやり方は一つしかない。そう、魔法戦だ。俺は久しぶりに火魔法以外の魔法を使うことにした。オークナイトは俺が仕掛けてこないと見るや、大盾を構えながら囲おうとしてくる。魔力を即座に操作して、地面に土魔法を使う。土がうねり、俺の足元に土が集まり、やがて体に覆われる。それはフルメタルアーマーのように鎧になり、岩肌の鎧となる。


「グオオオ!」

 オークナイトは、大盾を構えて突進してくる。俺はそれを避けずに思いっきり腕を振り上げて、ぶちかます! オークナイトの大盾と俺のいつもの動きで動いた腕がぶつかり合う。


「グオ⁉」

 ロックアーマーでコーティングされた鎧が大盾ごとオークナイトを吹き飛ばす。もう一体のオークナイトが後ろに回り込んでシールドバッシュをする。避ける必要はない。地面に魔力を通せば、戦場に立つ砦のような防壁となる。オークナイトは衝撃を跳ね返されてつんのめる。後ろを振り返り、オークナイトの腕をつかんで、グルんと回転して、放り投げる! 先程吹き飛ばした。オークナイトに放り投げる。ふん、一瞬泣き顔になっていたな。二体のオークナイトはひしゃげて消えていった。


 サラの方を見る。サラはオークジェネラルの斧とショートソードを鍔迫り合いしていた。オークジェネラルがむきになって、力を込めた瞬間、サラはフッと笑って後ろに下がる。前に進もうとしていた慣性がオークジェネラルにかかり、驚いた顔でつんのめる。素早い動きで足首を斬りつける。いいタイミングだ。足首をくじかれて、オークジェネラルは転倒する。そこをサラは光属性の魔力を纏わせたショートソードで首を斬りさい――いや、斬れなかった。


 ラーナと戦っていたはずのオークジェネラルがすさまじい速さで、サラに突進していった。サラは飛びのこうとするが、タイミングが悪かった。魔力層を咄嗟に纏わせるのが見える。まずい! 


 俺も動けない一瞬の攻防の中、シュンと黒髪メイドのラーナが現れて、サラに触り、転移する。クソっ。こいつらやっぱり普通じゃない。ちょっとまずくなってきたな。


「リリア! サラとラーナを援護!」

 瞬間、リリアの膨大な魔力波形が膨れ上がり、水魔法が発動する。それに反応してオークキングが動いた。俺はサラとラーナたちの援護を諦めて、オークキングにロックアーマーのタックルを食らわせる。サラ、リリア、ラーナ。死ぬなよ。



 ** サラ視点



 リリアのウォーターカッターはオークジェネラルの体に当たるも貫けない。でも押し流されて時間は稼げた。


 ちっ、やられたわ。あたしが戦っていたオークジェネラルがいやらしく笑っていた。あいつは自分がやられ役を引き受けることで、もう一人のオークジェネラルにあたしを殺させようとしていた。現に先ほどまでの隙が一ミリもない。


「サラ殿、ガンク殿がオークキングを抑えてくれている間に、やるしかありません」

「そうね」

「!」


 ジェネラルと名の付いた魔物は伊達じゃない。やるしかない。漆黒の魔獣と戦っていた状態にならなければいけない。あの時、どう考えていたかしら。確か……ガンクを守りたい一心で無我夢中で戦っていた。あの時と一緒。ガンクもリリアも……ラーナはついでだけど守る。


「リリア、ウォーターカッターをもっと威力を強めて。あたしたちを守りたいでしょ?」

「……!」

 リリアはあたしの言葉に強く頷く。やっぱりさっきの魔法は威力を弱めていたみたい。リリアは優しいからね。でも敵に情けはかけちゃダメ。


 オークジェネラルは咆哮を上げると今度はさっきよりも早く、距離を詰める。あたしは慌てない。リリアがウォーターカッターを再度使う。頭を狙ったけど、大斧で弾いてあたしを狙ってくる。返す刀でショートソードで……重いわね。絶妙な力加減であたしを押しつぶそうとしてくる。あたしは力を抜いて再度受け流し、左回転で横薙ぎを放つ。


「弐の回。周壊」

 咄嗟に大斧で防御されたものの、横薙ぎからの逆袈裟斬りに切り替える。大斧は弾かれる。オークジェネラルは大斧を取ろうと巨体でジャンプする。ちぃっ。あれを取られたらまたやり直しだ。だけど……。


「!」

 リリアが本気のウォーターカッターをオークジェネラルの腹に打ち込む。うん、オークジェネラルの腹に大きな穴が開いた。

 水に押し流されて、大斧を取れなかった。なら行ける! あたしは白い光の翼をはためかせて、宙を飛ぶ! そう、跳んでいるのではなく飛ぶ。次は尊敬しているお母さんの技で!


「——ムーンチャージ!」

 あいつの体に突進する。肉を貫き、骨を断つ。オークジェネラルごとボス部屋の壁に突き刺す。オークジェネラルは顔をゆがめて、こちらを見て、消えた。結晶型のまがまがしい魔石。ガンクの言う通りね。魔族に何かされたオークたち。


「……哀れね」

 あたしはそう呟き、ラーナの方を見る。ラーナと戦っていたオークジェネラルは傷だらけで血を流し消耗している。なるほど持久戦でヒットアンドアウェイで戦っているのね。オークジェネラルは、グオオ、と呻きながらラーナを忌々しそうに見つめている。あ、リリアの魔力波形がまた膨らんで!


「!」

 え、火魔法の放射系じゃない! 赤い炎が一筋の光線となり、オークジェネラルの頭を貫いた。

 驚いたわ。火魔法の放射系はまだ練習中って文字で書いてたのに。

 リリアは天才肌だ。負けられない。あたしだってレインブルク一族だから。

 ガンクの隣に居続けたいの。


 ガンクの様子を見ると、えっ? あの重そうなロックアーマーを付けたまま、ガンクの本気の速度で戦っている。オークキングは禍々しいオーラを纏った斧でガンクの大剣と打ち合っていた。お互い、得物の重さを感じているようね。オークキングは配下が全員やられていることにイラついているようね。


「四の回」

 え? 四の回‼ ガンクの新技じゃない! あたしは瞬きしないように目を見開いて、ガンクを見つめる。


 オークキングは一度退こうと後ろに下がろうとして……ええ? 後ろに岩壁が! 技を発動させながら、魔力操作も怠らない。すごい……。

 狼狽えるオークキング。ガンクはそれを見てニヤリと笑う。ガンクの大剣に透明な魔力の渦巻きが発生して、大剣を覆う。なにあれ? 振動しているわ。


「——震壊」

 オークキングの体に大剣が突き刺さり、オークキングの全身から血が噴き出す。 

 すごい、体に一瞬で亀裂が走った。そしてオークキングは消える。


 オークキングが倒れた場所に宝箱が生まれる。

「やった! 倒した!」

「‼」

「ガンク殿、流石です」

「まあやるときはやるんだよ」


 あたしたちは喜びあって、手を何回も合わせた。

 早く宝箱を開けたい、そう思っていたのに。

 次の瞬間、ボス部屋から白い光が生まれる。


「まずい! これは転移の光だ!」

 次話に続く。


小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/


⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。


新作投稿しました!

『捨てられた欠損奴隷を、ガラクタ魔道具でバカ高い商品に仕立て上げる――悪徳工匠の俺、なぜか闇を抱えた少女たちに愛されすぎて詰む』


是非一度お立ち寄りください。

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