急成長
あれから三日経った。
毎日訓練場に篭って訓練をしているが、思ったより成長スピードが早いのだ。訓練場にある武器防具を拝借して迷宮に潜って魔物を狩ってスキルを磨いたり、魔力操作を覚えて魔法を使える様に訓練していると結構ストレス無く自分の実力がグングン上がっていっているのを感じる。
素の身体能力が高いのは勿論スキルの成長の早さ、魔法能力の成長の早さ、全ての素養が高いのだ。
だからこの三日でスキルも魔法もかなり伸びて仮にスキルレベルなんてものが有ればこんな感じだろう。
『暗殺術Lv6 短剣術Lv4 鎌術Lv3隠密Lv6
気配察知Lv6 魔力操作Lv5 投擲術Lv4魔力感知Lv4
身体強化術Lv4 毒魔法Lv4 闇魔法Lv4 土魔法Lv3
風魔法Lv3 回復魔法Lv3火魔法Lv2 水魔法Lv2
光魔法Lv2 体 』
戦闘スタンスは基本的に奇襲を狙ったり、毒魔法や闇魔法で相手を弱らせたりして敵と真正面から戦わないからスキルの習熟度も偏りが激しい。
だが訓練場には短剣、短刀――クナイや手裏剣、鎖鎌など幅広い種類の武器が揃っており色々と武器を試せたりしたのでスキルには偏りがあるが暗殺者としての攻撃のバリエーションは増やすことが出来た。
「マジでこの身体スゲェーな、しかも空も飛べるし」
それにスキルには無いが背中から翼を出して飛翔することも出来る。元々背に翼なんて無かったから最初は違和感MAXだったけど使える様になれば飛べない相手から逃げたりするのでこの上なく便利だ。
因みにまだヨーグやサキたちとは会っていない。
ずっと一人で訓練しても良いのだが、三人もきっと訓練してると思うから進捗が気になるところだ。
「ん〜、やっぱ飯が無いのはちょっとな〜……」
「ワァ!」
「!?」
訓練場のゲートを通って迷宮に向かおうとしたその時、不意に背後から誰かに抱きつかれたのでびっくりして声が漏れてしまった。
後ろを振り向くと三日前に神殿にいて戦争にも参加するエマが俺に抱きついていて、その後ろには半笑いのエナもいた。
「ビックリした?」
「い、いきなりなに!?」
後ろから抱きつかれて二つの柔らかい膨らみや女の子特有の良い匂いに戸惑っているとそれが面白いのかエマとエナはケタケタと笑っている。
「ほんとエマはこーゆーの好きだよね〜」
「ごめんごめん――ちょっとからかっただけ」
「気にしてないけど……」
先程抱きつかれた余韻がまだ残っているので気にしてないは嘘だが、とりあえず強がっておく。そして何か用があるのかと目で促す。
「私たちも毎日訓練してるんだけどさ、君も一緒に訓練しない?正直エナと二人だと全然成長してる感じがしなくて――どうかな?」
エマとエナは俺が毎日訓練に来てるのを知って誘ってきたのだろう。
普通だったら全然誘いには乗るんだけどエマってこんなキャラだっけ?
前は凄く性格悪そうな感じに見えたけど……少し考えてみたが、違和感はあれど断る理由も薄いのでエマたちと訓練することにした。
その時はエマとエナが可愛い女の子というのもあって勝手に前世でも戦闘経験すら無いだろうと思ってたんだけど――どうやら俺の勘は間違ってたことを直ぐに知ることになった。
三人でゲートから少し奥にある森林型のフィールドに向かう。二人が人目がある場所だと恥ずかしいからここでやりたいと言ったのでここまで来たが、そんなに気にすることでも無いような気がしたが、それも別にどうでもいいだろう。
「なぁ、もうここら辺で――」
ドンッ!
「!?」
森林の他に人がいない少し奥まった場所まで来たので流石にもう移動しなくても良いだろと思って声を掛けた矢先――突然お腹に激しい痛みが襲ってきた。
その痛みに反射的にお腹を抑えて蹲ると更に追い討ちをかける様に蹴りが飛んできたので受け流しながら後ろに後退する。
「なにすんだよ!」
「何って――訓練に決まってんじゃん!」
真正面からエマが迫ってくる、このままだと訓練ではなくなる気がするので身を翻して逃げようとするが――いつの間にか後ろにエナがいた。
「ごめんね〜」
口ではそう言っているが足蹴りを放ってくる。
その蹴りを避けるが、エマがまるで連携する様に攻撃してくる。
「マジか!」
「てっきり私たちのこと、か弱い女の子だと思った?」
てっきり二人には戦闘経験が無いと思ってたけど、それは俺の思い違いだった様だ。攻撃を避けようとしても上手くいかずに、逆に此方が攻撃しても全然当たらない。
二人だからと言ってここまで一方的に手も足も出ないということは間違いなく経験者――しかも弱い者いじめをする程性格が悪い。
「クソッ!」
「私ら色々とストレス溜まっててさ、ちょっと付き合ってよ」
なんとか応戦したが、最終的に攻撃が掠りもせずに俺はボロボロになって地面にボロ雑巾の様に力無く蹲る俺を踏みつけて見下ろしながら笑っている。
「……ぐ、なんで俺なんだ」
「ん〜、理由か〜、強いて言うなら、気に食わなかったからかな」
なんだそれ……
「アンタ毎日一人で必死に迷宮に潜ってさ、『もしかしたら俺できるかも』なんて顔してて正直――」
ドスッ!
「めっちゃ――」
ドスッ!
「ムカつくんだよ!!」
「ぐ!?」
エマの言葉に連動する様に蹴りが激しくなって、逃げることも出来ずに身体に響く痛みに只々耐えるしかない。
こんなことになるならあの時断っておけばと一瞬頭をよぎる――だがそれにしても社会不適合者に相応しい良い性格の持ち主の二人にムカついてきた。
それに一方的にボコボコにされて何も言えずに危機が去るのをタダ耐えるしかないなんて、いいようにされている自分にもムカつく
「後一週間とちょっとで戦争なのに……そんなだと敵一匹も狩れないじゃんw」
「ちょっとエマ――言い過ぎだよw」
「プッ、テメェーらみたいなクソ二人――生き残れると思ってんのかよ!」
「あ゙?」




