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キャサリーヌ様ってラファイル様そっくりなのだわ

ラファイルがサフェリアから体質改善の秘薬を飲んでベッドの中で倒れ込んでいた頃、シャナーはトリアと共にドリマーを連れて王宮殿に来ていた。

シャナーはキャサリーヌ王妃にサフェリアからの注文の品を持ってきたことを王宮殿の警護の騎士に伝えた。

するとすぐキャサリーヌ王妃のいる部屋に案内された。


「失礼します」

「あらいらっしゃい。息子は元気になったかしら?」

「はい、今日は一応休んでいますがいつも通りです」

「そうよかったわ、どう一緒にお茶しない? おいしいケーキもあるのよ」

キャサリーヌ妃はソファーに座りながら扉の前に立っているシャナーに向かって微笑みかけた。


「いえ、祖母からこれと手紙を預かっただけですので、すぐに戻りますから。それにあの…お客様がまだいらっしゃるのではありませんか? 私なんかがこの宮殿でうろうろしていてはいけないのではないかと思うのですが」


「あらあなたは王子の婚約者よ、多国の王女でもあなたを馬鹿にする権利はなくてよ。それにね、ナテグリー王女なら早朝国に戻って行ったから安心なさい」

キャサリーヌ妃の言葉を聞いてほっとした顔をしたシャナーにキャサリーヌ妃は小さくクスッと笑いながら言った。


「そうでしたか。昨日は驚きましたが、でも殿下が倒れなければナテグリー王女様から少し殿下の幼少期のお話しをお聞きしたいと思っていたので残念です」

ほっとした顔と本当に残念がっている様子にキャサリーヌ王妃は驚いて言葉をしばらく無くしていた。そして大きな声で笑いだした。


「あっははは」


キャサリーヌ王妃はひとしきり笑うとシャナーに近づき抱きしめた。


「もう可愛いわねあなた、元婚約者から話を聞きたいなんてやっぱり私あなたが好きだわ。そうだわ! ねえここでわたくしと生活しない? ラファイルの世話なんかしなくてもいいから、サフェリア様の仕事にここから通えばいいでしょ」


「えっ? そんな王妃様、私なんかまだまだ何もできない未熟者ですから、王妃様のお話し相手も務まらないと思います。それに、私は一刻も早くおばあ様から色んな知識を吸収していきたと思っているんです。ですから時間がどれだけあってもたりないんです。もうしわけありません」


「そう~仕事なら仕方ないわね、でもたまにはわたくしの相手をしてくれるとうれしいんだけれど。だめかしら?」


シュンとした顔でこちらの顔をチラチラ見てくるキャサリーヌ王妃をみていると、この人は確かにラファイルの母親なんだなとわかる。


「あっあのもったいないお言葉です。私なんかでよければまたうかがわせていただきます」


「あら本当? うれしいわ。ラファイルのお守りなんか適当でいいから、どうせ今回もあの子仮病を使ってあなたの側にいようって企んだだけみたいだしね。まったくわたくしだってシャナーと少し話をしてみたいと思っていたのに、全然ゆっくり話す機会がなくて残念に思っていたのよ」


「えっ、私なんかが王妃様の話相手など務まるとは思えませんけれど、とても光栄です。ですがラファイル様が仮病ってどういうことですか?」

シャナーはキャサリーヌ王妃の言葉を聞いて首を傾げた。



「あら、サフェリア様の手紙に書いていたわよ。寝込むほどの症状は元々起こしていないはずだって、確かにナテグリー王女の手にぬられていたハンドクリームの成分であの子がアレルギー反応を起こしたのは事実みたいだけれどね。手がかゆくなる程度だったんじゃないかしら、まったくあの子ったら、自分が倒れることで、あなたを侮辱したナテグリー王女を窮地に陥れようと画策したのね、あの子なりに頭を使った対抗手段だったみたいだけど、芝居が下手過ぎるのよね。まあ、ナテグリー王女本人にはうまくいったみたいだけど」


キャサリーヌ王妃の言葉を聞いたシャナーはワナワナと震え出した。


「ラファイル様が倒れられたのもお芝居だとおっしゃるのですか。王妃様は」


「ええ、間違いないわ。サフェリア様もそういうみたてみたいだし」


「わかりました。後でラファイル様に問いただしておきます」


「あまりあの子を追い詰めない方がいいわよ。怒っているあなたがかわいいなんて変なスイッチが入りかねないから」


「わかりました。実は私もラファイル様に毎日配合している薬草茶の配合が間違っていたかもしれませんので、今後、何が起きてもアレルギー物質に抵抗できるお体になれるような薬を作れるように励むつもりです」


「がんばってね。でもあまり夢中になり過ぎないでね。わたくしもラファイルもさみしがりやだから」


「はい王妃様、祖母共々研究できる環境を提供して頂き感謝してもしきれません。本当にありがとうございます」


「まあ、いいのよ。私息子しかいないでしょ。娘が欲しかったのよね。ねえ、今日はこの後私に付き合ってもらいたいことがあるんだけど駄目かしら?」


「どのようなことでしょうか? あの時間がかかるようでしたら部屋の外に待たせているドリマーを部屋の中に呼んでもよろしいでしょうか?」


シャナーはキャサリーヌ王妃にたずねた。というのも部屋の外までついてきていたが、さすがに部屋の中まではダメだろうと部屋の前で待つように指示をしていたのだ。


「あらいいわよ。ドリマーはあなたの護衛犬だものね。そうだわ、お肉や果物なんかも食べるかしら?」

「はい、鶏肉は大好物です」


「そう、じゃあアシャ、料理長にいってドリマーが食べられるように処理してもらって持ってきて、それと例の準備もね」

キャサリーヌ妃は後ろに控えていた侍女のアシャに小さい声でそう命じた。


「かしこまりました」

侍女のアシャはそういうと頭をさげ、シャナーに一礼すると扉の前でもう一度頭をさげて部屋を出て行った。


「あの王妃様? 例の準備とは何かあるのですか?」


「ちょっとね。そうだわ、サフェリア様への返事を書かなくてはいけなかったんだわよね。書いてくるからここで待っていてくれるかしら? ドリマーをいれてもいいわよ」


「はい」


キャサリーヌ妃はすぐにサフェリアからの手紙を持って隣の続き部屋に入って行ってしまった。

シャナーは座って部屋を見渡していたが、外で待っているドリマーを中に招いた。トリアは外で控えていた。


「トリア送ってくれてありがとう。長引くかもしれないから、帰りは馬車で送ってもらうことにするから先に戻っていて」


「いえ、私の事はお気遣いなく、先に一人で戻った方が落ち着きませんから」


「そう…じゃあどこか使用人の休憩室とかあればそこにいていいわよ」


「はい」


トリアはそういうとどこかへ行ってしまった。

シャナーは足元でしっぽを振って見上げているドリマーに向かって言った。


「ドリマー、王妃様が何かおいしいものを出してくださるんですって、部屋に入っても大人しくしているのよ」

「ワン!」


シャナーはドリマーを部屋に招き入れた。

シャナーはキャサリーヌ王妃の部屋で待っていると、ドリマーの餌と共に、お茶の用意を運んでアシャが入ってきた。

アシャが部屋の隅にドリマーの餌の入った容器を置き、その中に豪華な餌をいれ先にドリマーに与えると、ドリマーは嬉しそうにその用意された餌にがっつき始めた。


そして、テーブルの上にはさまざまなケーキがのったトレイとカップに紅茶が注がれた。

その時ちょうどキャサリーヌ王妃も戻ってきた。

アシャは頭をさげるとまた部屋を出て行ってしまった。


「あらちょうどいいわ、さっ遠慮せずにお食べなさい」


「ありがとうございます。実は今朝は食べる時間がなくて何も食べていなかったんです」

シャナーは嬉しそうに用意されたケーキを頂くことにした。


「ねえ、シャナー本当に息子でいいの?」

そんな様子のシャナーにキャサリーヌ妃がシャナーにたずねた。


「えっそれはどういう意味でしょうか?」


「そのままの意味よ。あの子の母親としてではなくて同じ女としてあの子を観察していたら、やっぱり欠点だらけでしょ」


「いえ、とてもご立派だと思います」

「う~ん、そうよね、わたくしには本音は言えないわよね」


「いえ、本気でそう思っています。確かに頼りない所もありますが、私はラファイル様をお慕いしています。自分に素直な所が大好きなんです。多分兄のカミールもそうだと思います。長年ラファイル様の元で仕事をなさっている皆様もラファイル様が大好きなんだと思います」


「あら、あの子は幸せ者なのね。周りの人間に恵まれているのね。ねえシャナー、あなたもし、ラファイルが王子という肩書がなかったとしても同じことがいえるのかしら?」


「はい。どうせならない方がいいかと思う時があります。皆様のご迷惑が及びそうになった時などは特に…ですが王子という宿命には逃げることは許されないのですから、私ができる事は全力でサポートさせていただこうと思っています」


シャナーはためらうことなく即答した。そのシャナーに対してキャサリーヌ王妃は笑顔を向けた。


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