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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第一章 一年一学期

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第43話 夏祭り④ 名演技で一致団結

 ―女子トイレ


桜井が浴衣の着崩れを直し、髪を解いているところに、友梨奈が入ってきた。


「あら、桜井さん。こんなところでまたお会いするなんて」


「ふん、それはこっちのセリフよ。何しにきたのよ」


「逃げて来たの。今、白金女子学園の教頭先生と一緒にカフェに入っててね」


「うちの教頭先生と? なんでよ」


「サーちゃんと一緒のところを補導されちゃったの。それより、今、カフェに戻ったら大変よ。あなたのお友達の席に教頭先生がいらっしゃるわ」


「げっ! マジで?」


「あなたの新しい彼氏が、うまく取り繕っているところよ」


「彼氏じゃないってば。あいつとは、単なる中学のときの同級生」


「ふぅーん、そう。とにかく、このままではサーちゃんにも迷惑がかかってしまうわ。本当は桜井さんなんか助けたくないんだけど、サーちゃんのために協力してあげる。桜井さんだって、サーちゃんに迷惑かけたくないでしょう?」


「それはそうね」


「いい? わたしたちは、夏休みの勉強会のために打ち合わせするために集まった。そういうことにして、話を合わせるのよ。」


「友梨奈さん……」


「待ってて、わたしもお手洗い済ますから。言っときますけど、桜井さんのために協力するんじゃないから。サーちゃんのためだからね」


「友梨奈さん、ありがとう。でも教頭先生の前で、サーちゃんと呼ぶのはやめておいた方がいいわ。ちゃんと、サトシ先生って呼んでね」


「呼ぶわけないでしょう。そんな初歩的なミス」


友梨奈の人を見下したような態度に、桜井はムッとした。


「ほんと、可愛くないわね」






 カフェでは、教頭が桃瀬たちと一緒に、友梨奈と桜井がトイレから戻って来るのを待っていた。

しかも、教頭はサトシと大山先生へ、生徒たちがカフェに集まっていると電話連絡までしていた。


そこへ、桜井と友梨奈は仲良くカフェに戻って来た。


「すみませーん、遅くなちゃって。あ、教頭先生。ごきげんよう」


「ごきげんようじゃありませんよ。桜井さん、あなた、お友達と一緒に夏祭りで何をしていたんですか?」


桃瀬は、友梨奈と一緒にトイレから戻って来た桜井を見てハラハラしていた。

教頭先生の前で、二人は喧嘩でも始めるのではないかと。

しかし、桃瀬の予想はいい意味ではずれた。


「何をしていたかって? えっとー、夏休みの勉強会の打ち合わせでーす。ね、ねえ、友梨奈さん?」


桜井の答えを聞いても、教頭は追求の手を緩めなかった。

教頭からしてみると、聖ルチア女学館の生徒と桜井が友達とは信じがたい。


「桜井さん、あなたには聖ルチア女学館とK大付属にお友達がいたんですか? 一体どういう繋がりで、他校の生徒と友達なんですか?」


そこで友梨奈が、前に進み出て言った。


「教頭先生? わたしたちサトシ先生繋がりなんです。サトシ先生はわたしの従兄です」


「ま、あなた、サトシ先生の身内の方?」


「ええ。そして、K大付属の彼は桜井さんの中学の同級生なんです。サトシ先生繋がりって素晴らしいと思いませんか? わたしたち学校は違っても、みんなで集まって勉強会を開こうということになったんです」


「K大付属のあなた。あなたは、桜井さんと中学の同級生というのは事実ですか?」


「はい、そうです。桜井さんから、友達にも勉強を教えてほしいって頼まれまして、僕で良ければ力になりたいと思いました」


若狭のファインプレーである。

桜井も、若狭と友梨奈の意見にうまく同調した。


「そ、そ、そうなんです、教頭先生。学校は違ってもわたしたち仲良しなんです。ね、友梨奈さん」


「ええ、桜井さん。わたしたち仲良しよね」


「僕も、ついでに仲良しなんです」


教頭は、桜井と友梨奈と若狭の様子をじっと見てから、視線を桃瀬たちに移した。

この流れでいくと、桃瀬と柚木も仲良し宣言をするしかない。


「そうなんですー。若狭くんは、どうせなら三校合同で勉強会しようって言って」


「わたしたち、学校の垣根を越えて、ともに学び合おうって盛り上がっちゃってねー、友梨奈さん」


教頭は、生徒たちの言葉に感動していた。


「素晴らしい……、素晴らしいですわ。これぞ、清く正しい青春のあるべき姿です」


思わず涙ぐんだ教頭に、若狭はハンカチを差し出した。


「さぁ、教頭先生、よろしかったらこれをお使いください」


「まあ、あなたはK大付属のハンカチ王子?」


こんな感動的がシーンが繰り広げられているところに、サトシと大山先生がようやくカフェに駆け付けてきた。


「すみませーん、教頭先生。うちのクラスの生徒がお騒がせしまして、誠に申し訳ございません!」


サトシは教頭に深々と頭を下げて、謝罪した。


「サトシ先生。あなたは素晴らしい生徒たちをお持ちですね。白金女子学園、聖ルチア女学館、K大付属高校の三校。

この子たちが学校の垣根を越えて、ともに学び合うんですってね。わたくし、感動いたしました。なぜ、早くそれを教えてくださらなかったの?」


「は? ……そうなんですか?」


友梨奈と桜井は、慌ててサトシを言いくるめにかかった。


「サトシ先生、おっしゃったじゃありませんか。わたしと桜井さんは仲良しなんだから、一緒に学びなさいって」


「そうですよ。友梨奈さんと一緒なら頑張れるだろっておっしゃいましたよ」


「は?」


(こいつら、いつの間に仲良くなったんだ)


「僕にも言ったじゃないですか。桜井さんをよろしくお願いいたしますって」


若狭の意見に、桜井は反発した。


「あれー? それはちょっと違うと思うわー」


「あ、勉強を教えてやって欲しい、の間違いでした。すみません」


(いや、そんなこと言ったっけかな)


教頭は、サトシにむかって頑張ってほしいと激励の言葉まで送った。


「サトシ先生、若い先生はやはり発想が違いますね。この勉強会がうまく行くように祈っていますよ」


「ああ、あ、そう……ですね。教頭先生、勉強会を応援していただきまして、ありがとうございます」


サトシが勉強会を認めたことによって、生徒たちはやっと無罪放免となった。


「じゃ、先生たち、わたしたちはこれで帰ります。さようなら、ごきげんよう」


「先生たち、ではまた……」


生徒たちがカフェから出て行こうとしたところに、店員が注文の品を持ってきた。


「お待たせしました。こちら抹茶スペシャルかき氷、トロピカルフレッシュかき氷、特製コーヒーゼリーかき氷でございます」


「あの、わたくしたちお腹の具合が悪くなりましたの」


「僕も、そろそろ帰って夏休みの課題をやらないと……」


生徒たちは逃げるようにカフェの外へと走り出した。


大山先生とサトシは、いきなり持って来られたかき氷にびっくりして思わず叫んだ。


「おーい、このかき氷、お前たちが注文したんじゃないのかー?」


「待ちなさい!! 誰がこのかき氷を食べるんだー。こんなデカいやつ」


桜井は笑顔で振り返った。


「先生たちで、召し上がってくださーい。できれば、写真をSNSにアップしてくださーい」


「わたしたち、必ずいいねを、付けますからー!」


生徒たちはソニプラビルを後にして、帰りの電車に乗るために笑いながら駅まで走った。


いかがでしたでしょうか。


「面白い! サトシ先生が気になる」

「この続きはどうなるの? この先の美柑を読みたい!」

「サトシ先生、更新したら通知が欲しいです!」

「先生、応援の仕方を教えてください」


「では、先生から応援する方法を教えましょう。

面白いなぁと思った生徒は、こんな方法があるからよく聞くように。

ブックマークや、『☆』を『★★★★★』に評価して下さると作者のモチベーションアップに繋がります。はい、ここ重要ですからね。テストに出まーす!わかりましたかー?」


「はーい」


「よろしく頼みますよ、みなさん」




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