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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第十章 Wedding編

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第272最終話 数年後、さらにその未来

 数年後。

大学3年生の桜井は妊娠した。

桜井は1年間休学して出産することにした。


挿絵(By みてみん)


「休学で大丈夫なのか? 君ひとりの体じゃないんだぞ」


サトシは、だんだんお腹が大きくなる桜井を見て心配した。


「大丈夫。キャンパスの中に託児施設があるのよ。つわりも軽いし、今のうちに全部の単位取っちゃうわ」


「本当に大丈夫? 無理して通学しなくても……」


「無理してない。むしろ、身が二つになる前にやりたいことをやっておきたいの」


「強いな、美柑は……」


「サトシが心配しすぎなのよ。わたし身重でも留学するくらい元気なんだから」


「やめてくれ。そんな体で留学だなんて!」


「例えばの話よ。やーね。でも、心配してくれるの嬉しい。ありがと♡」


そんな桜井……いや、美柑にやきもきしながら、数か月が過ぎた。





 職員室の片隅で、サトシはスマホをそっと伏せたまま、何度も腕時計を見ていた。

無意識に指は机をトントンと叩いていた。

青柳先生が不思議そうにサトシの様子を見ている。


「ん? サトシ先生、どうかしましたか? ソワソワして」


「いや……、別に、その……」


それを斜め後ろから見ていた工藤先生が、ニヤつきながら囁いた。


「落ち着けって。予定日はまだ数日先だろ?」


「いや、実は今朝から……陣痛らしきものがあって……。お義母さんを呼んだんだが……」


プルルルル……


その瞬間、電話が鳴った。


緑川先生がすかさず受話器を取った。


「はい、白金女子学園でございます。はい……はい……少々お待ちください」


緑川先生が受話器を耳に当てたまま、顔を上げた。


「サトシ先生! 病院にいらっしゃる奥様のご家族の方からです」


サトシは勢いよく立ち上がると、受話器を両手で包み込むようにして耳にあてた。


「……えっ、本当ですか……産まれた!? 女の子!? そうですか、二人とも無事で!? よかった。ありがとうございます……! 今からすぐ行きます!!」


震える声。涙声。

そして、立ち上がったまま、職員室を見回して、叫んだ。


「生まれました!! 女の子です!! 母子ともに元気です!!!」


挿絵(By みてみん)


一拍、沈黙のあと……

次の瞬間、拍手と歓声が職員室中を揺らした。


「よっしゃああああ!!」

「乾杯だ乾杯!」

「まだ昼前だぞ!」

「おめでとうございます、サトシ先生!」


生活指導の藤原先生が怒鳴った。


「うるさい! 落ち着けっ!」


と言いながら、そういう自分が一番涙目になって喜んでいた。


古松川先生はすでに泣いていてハンカチをぐしゃぐしゃにしていた。

赤川先生は涙をぬぐいながら、さっそくお見舞い用の花を買いに出ていこうとしていた。

青柳先生はガッツポーズ。

大山先生はタオルを頭に巻き直し、

工藤先生は、涙ぐみながらサトシの肩に手をやった。


「良かったなサトシ、おめでとう。よく頑張ったな、さくら……美柑のやつ」


「工藤、ありがとう……」


そのとき、校長が立ち上がり喜びにあふれた声で言い出した。


「そうか、お嬢ちゃんだと?」


サトシはギクッとした。


(いやな予感がする……)


「未来の白金女子学園の生徒が誕生した! 特別推薦枠を作ろう!!」


サトシは頭を抱えた。

副校長の五十嵐先生と入試対策担当の先生は、固まった。


「またいらん仕事が増える……」


「君たちは何を言ってるんだ。ね、サトシ先生。ぜひぜひお嬢ちゃんを、わが白金女子学園に!」


「いや、その問題は、大きくなってから……、本人の意思もありますし……。その頃までは校長だって……いや、失礼。その……」


「大丈夫! わしはあと20年は現役で頑張るつもりだから! 五十嵐先生! 君からもサトシ先生と約束してくれ」


「いや、校長。サトシ先生が困ってますし……」


職員室は、笑い出す先生や、拍手して賛成する先生で盛り上がった。

そして、静かに立ち上がったのは、工藤先生だ。


「みなさん、落ち着きましょう。落ち着いて……はい、では……」


全員が一斉に工藤先生に視線を向けた。


「校長! 本校の教育方針は、間違っていなかったようです。なぜなら……」


一呼吸置いて、工藤先生は誇らしげに言った。


「サトシ先生が妻に選んだのは、うちの卒業生なんですから! な、サトシ」


職員室、再び「わーっ!」と湧いて、校長は満足げに拍手した。


「工藤先生、まさにその通りじゃ!」



「工藤、お前……」


サトシは工藤先生に文句を言おうと思ったが、それは違うかなと思いやめた。

なぜなら、工藤先生のおかげで、サトシは桜井と結婚し一児の父となったのだから。


父親になったばかりサトシは、校長や先生たちに促されて、病院へと急いだ。

工藤先生は、サトシの背中に向かって叫んだ。


「おーい、サトシ。育休届の紙、机の上に置いておくからな―!!」


白金女子学園の校庭に「おう!」とサトシの返事が響き渡った。


【サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない】はこれで完結です。

気が付いたら長編になっていました。

皆様からの応援があったおかげで、苦しい執筆作業も楽しく続けることが出来ました。

最後まで、お読みくださりありがとうございます。

心からから感謝申し上げます。


※サトシ先生ロスになりそうなあなたへ……

サトシ先生というキャラが、書けなくなるのは、作者としてもとても寂しいです。

なので、なので、メンタルヘルスのためにスピンオフを書いています。

こちらは、週一回か二回のペースで、ゆっくり更新していく予定です。


【サトシ先生は妻子を溺愛していない(と本人は言い張る) 〜でも世界で一番家に帰るのが早い〜】

↓小説はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n4547la/



サトシ先生と桜井を応援してくださり、本当にありがとうございました!!


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