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もしかしたら、日本の建築基準法はカンタが考えるほど完璧ではないのかもしれない。少なくとも東京ではいつ落ちてくるのかも分らないこんなものが掛かっているし、街並みだってここまで入り組んでいるのだ。もし火事でもあったりしたらどうするつもりなんだろう。これだけ道が狭いのでは消防車どころか軽自動車一台だって入ってこれるか怪しい。だが、それは自分の無知から来る誤謬なのかもしれない。なにせ自分は建築や行政のことなんてこれっぽっちも分らないのだ。実際は事細かに計算されていて、有事の際にはちゃんと対応ができるようになっているかもしれない。そうでなければ東京なんて怖くて暮せないではないか。安定した基盤が生活の第一歩である。安定した基盤があり安定した生活があるからこそ、人は安心して経済活動に専念できる。東京都の総生産額がいかほどのものかはカンタの興味の外にあるものの、相当なものであるのは確かなのだ。そんな東京都の行政がいい加減なものであるはずがない。何より、自分たちが選んだお上がそれほど無能だとはカンタは思いたくなかった。なのでこの渡り廊下も一見ぼろくて今にも落ちてきそうには見えるが、中には鉄鋼かなんかが張りめぐらされていて頑丈にできているのだろう。老朽化してくすんだように見える煉瓦も、そういう装飾なだけかもしれない。演出なんのだ。さきほどの喫茶店のプラスチックの蔦よろしく、これも作りものなのだ。何もかもが作りもの、とカンタは思った。何百何千何万回と繰り返されてきた現代日本への批判だ。作りものであり借りものだ。しかし日本が猿真似だの集積だのと口にした言論人の中で、誰かの猿真似でなかった言論人はどれくらいいただろう。進歩的文化人も所詮は西洋の猿真似ではなかったか? カンタには分からない問題だった。所詮自分は本すらもろくに読まない亜インテリ未満の俗物なのだ。ふと、自分は今までどのように余暇を潰してきたのだろうとカンタは思った。休みの日には何をしていたのだろうか? ゲームか? インターネットサーフィンか? それとも妻と戯れか? 分らない。分らないが、妻の姿を思い描くと途端にスリングショットの水着が連想され、それを着たよく分らない女がこちらに向かって手招きをする。否! とカンタは一括して振り払う。それを着てほしいのはそんなグラマラスで魅力的な女ではない。禄に乳もなければくびれもないけど自分にとっては二百パーセントの女なのだ。そんな女が今ではどうなっている? ?を連呼したい。? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ? ?

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