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第三話 お父様の魔法講座

「レイン、魔法を覚えてみる気は無いかい?」


父が唐突に言った。


僕の大方、最近僕と母が仲良く本を読んだり文字を練習を(ふりだけ)したりしているのを見て寂しくなったのだろう。自分も何か教えたい! みたいな。


まあはっきり言って僕には必要無いが。この時代だと魔法もあまり進んでいなくて、前に居た時代と比べても雲泥の差だ。


この時代でいう大魔法でもあの時代では魔法学校中等部の卒業試験レベルだ。


まあ断るのも悪いし、この先魔法を使うのには誰かに習ったという表向きが必要だ。


「教えて頂けるのですか、お父様!」


とりあえず喜んで受ける無邪気な少女の振りをしておこう。


父は嬉しそうに目を細めた。何だろう、この美青年的なキラキラオーラ。


「では、外に出ようか。魔法は家の中で使ったら危ないからね」


さて、あんまりはめ外さないように気をつけないと。いつかみたいに悪魔とか魔王扱いされたら困るもんね。




僕らは近くの森の中の小さな野原のような場所にきていた。


「レイン、取り敢えず魔法についてはどの位知ってる?」


・・・今までに魔法があること自体僕に話したことがないというのに、何でこの人は僕がその存在を知っていると信じて疑わないのだろう。知ってて当たり前みたいな言い方だ。


まあ、母は僕に治癒魔法を使ってくれたことがあるのだが、別にこれが魔法よなどと言われた覚えはない。


話が早くて助かるといえば助かるけど。


にしてもどの位、か・・・。「とりあえずお父様よりは詳しいと思います」何て口が裂けても言えないしなあ・・・。


第一、この時代の魔法がどれくらい進んでいるかも曖昧だ。 多分まだ前の時代でいう基礎魔法くらいしかできないくらいだろうと思うんだけど・・・。


記憶探っても、体感時間で1000年近く前だから殆ど覚えていないし・・・。


「えっと・・・。空中に魔法陣を描く・・・ことくらいです。あ、後何か呪文を唱えたり?」


とりあえず当たり障りのない事を言っておく。これは基本変わらないし、第一母もそうしていた。


しかし父は何故か苦笑い。おい、もしかしてそれ以上のことをこんな小さな3歳時に求めていたのか。ハードル高すぎるだろ。


「そうだね、概ね正解だよ。厳密には魔力を使って描くんだ。呪文はただ想像力や集中力を高めたり気合を入れたりするためだけだから、人によって違うし無くても問題ない。と言っても、呪文なしで魔法を発動出来る人なんて王様の護衛レベルじゃないとお目にかかれないくらい珍しいんだけどね。本当、彼らは天才だよ」


なんか会ったことあるっぽい言い方だな。


にしても天才ですか・・・。前の時代じゃあ簡単な魔法なら魔法使いでない人でも無詠唱だったけどね。


話を戻そう。


「お父様、魔力で魔法陣を描くとは、厳密にはどのようにして行なうのでしょうか?」


やっぱり指でなのかなあ。


「いい質問だね。まずは魔力をこんな風に指先に込めて・・・」


言いながら父は実践し始めた。


父の指先にぽわっと白い光が灯る。


「それからこの指で図形を描くんだ。正確に描かないと威力が弱まったり発動しなかったりするんだよ。そうなると、描くために使った魔力が無駄になってしまうから気をつけてね」


光る指が丁寧に空中をなぞり出した。なぞった後の場所は指先と同様の色で光っている。


そうしてやっと魔法陣を描き終えたらしい。そこには光る神秘的な図形がまるで宙に固定されているかの如く浮いている。


「ファイヤー」


父が叫ぶと魔法陣から炎が発射され、その瞬間に魔法陣は消えた。


発射された炎は凄い勢いで50メートルほど先にある木に向かって行く。


これってヤバイんじゃあ・・・。


心臓に響く馬鹿でかい音と共に爆風が襲ってきた。


魔法でガードする訳にもいかず、そのまま後ろに跳ばされ木に思いっ切りぶつかった。い、息が・・・。


こっそりと小さく治癒魔法を使い爆発のあった処を見る。


爆発に巻き込まれたのだろう。的だった木の周囲数本が跡形もなく消え去り、その周りの木々は炎が燃え移ったらしくメラメラと燃えている。このままじゃあ森火事だ。


「どうするのですか? お父様」


父は得意のキラキラスマイルを浮かべた。


「私は水魔法苦手なんだ」


こんな恰好いい顔でそんなヘタれたことを言わないで欲しい。


にしても本当にどうしよう・・・。


僕が魔法を使えば簡単に抑えられるのだが・・・。


でもそんなことをしたらまた怖がられたり畏れられたり嫌われたりするかもしれない・・・!



「・・・・・・ ふう」


僕はゆっくりと息を吐き出した。



でもまあ何とかなるか。


今までも何とかなったし。


案外気にしないんじゃね? みんな。



そう自分に言い聞かせ。

・・・・・・・・

僕は手を使わずに宙に魔法陣を描き始める。


ふと思った。


何で父は自分でも収集のつけられないようなことを起こしたのだろう、と。


あれだけ大きな魔法を使ったら山火事になるだろうことなんて分かり切っているのに・・・。



一瞬間で魔法陣は完成し、呪文も唱えずに僕は魔法を発動すると大量の水が津波の様に燃え盛る森の中へ流れていった。


火が全て消えるのに30秒とかからなかった。

なんか展開早くなりすぎました・・・。

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