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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 ザック殿下が生徒会室の机に突っ伏している。

 気持ちは分かる。でも私はちゃんと側近の役目を果たしたからね。無視したのは殿下だ。リリベルは今、学年ごとの発表の集計をしている。


 「ザック殿下、もう諦めてください」容赦のないことを生徒会長が言う。確かにもう覆らないだろう。

 変更が効くとしたら恐らくリリベルが念を送っている時だったのだ。

 あのタイミングで気付いたなら「その内容は健全では無い」とか適当に建前を告げて王族権限で、どのようにでも内容を変えられたはずだ。

 殿下もそれが分かるから余計にショックを受けている。


 ちなみに生徒会長には責められる前に、リリベルは側近の役目はきちんと果たしたことを伝えてある。

 こういうのは危機察知能力や危機管理能力が大事だろう。最近の王家は聖女のお陰で平和ボケしているんだ。


 「俺、次の席替えではリリベル嬢の側にしてもらう」

 それ依存だからね?自分で回避しよ!だがボケ脱却の最初ぐらいは手伝ってやるか。

 「リリベル嬢は野生の勘が発達しているからな」

 「!」「もう殿下なんて助けません。見捨てます」

 「えっリリベル嬢!それは困る」殿下には誠意と言うものが無い。それは王族だって必要なものだ。

 

 「一生困ってろ!」どうせ王子は誰かが助ける。私じゃなくてもいい。

 「殿下、ちゃんとリリベル嬢に謝って下さい。令嬢に野生はないですよ。それにきちんと頼んで下さい」

 殿下の最側近の公爵令息が真っ当なのが多少救いだな。

 「ごめん。本当にごめん」ヤツのゴメンはもう聞き飽きた。


 「殿下。筋トレしてましたよね?」

 「えっ?ああ、うん」「殴らせろ」「えっ?」

 「一発殴らせろ。そしたら許してあげるし。次回からも助けてあげる」

 その時、全員の目がリリベルに向く。


 「リリベル嬢、それはちょっと」

 「いいマレシオン。令嬢の拳ぐらい受け止めないとな。さあリリベル嬢来い!」

 令嬢は普通、拳で殴らないだろうと誰もが思っただろう。

 が、しかしザック殿下、良い覚悟だ!


 ザック殿下が立ち上がり、リリベルは拳を握る。

 今までの鬱憤を全部ぶつけてやる。「このヤロー!」とリリベルの渾身の一拳がザック殿下の腹に炸裂する。


 「グッ」と言って殿下は膝を付くが持ちこたえる。

 「ホ、ホントに星、見えた…」そう言って殿下はしばらく立ち上がれなかった。

 なるほど。筋トレの効果は確かにあるらしい。倒れなかっただけマシかと、リリベルは気分が晴れてスッキリした顔で、発表の集計の続きを始めた。


 シャーロット嬢が「ヒロイン強過ぎ。やっぱり偽物?」とか言っているが気にしない。

 周囲の役員達が青い顔をしていても、最早、どうでも良かった。

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