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「僕…好きでもない人とこんな会話…でも殿下が相手なら頑張ります!」
ほう?そうかい。
「まあ!令息っその心意気が素晴らしいわ」
彼氏の許可は大丈夫?
「彼も殿下の相手役なら頑張れって」
“殿下”って何にでも通用する免罪符みたいだな。
「では読み合わせを、始めていきましょう!」
今日から朗読の練習が始まった。朗読をする人数自体は10名くらいだが、他のメンバーは作風を出すための教室の内装や効果音、バックミュージックなどを担当する。
私達のクラスはテーマの話題性と、第三王子殿下がおられるのを加味して中程度のホールが充てがわれている。
まあ…決めたのはリリベルだが。
3学年、各5クラス、今年は全クラスが何かしらの出し物の参加表明をした。クラスの出し物や展示の内容によって、利用する教室を生徒会で割り当てる。
クラス単位以外にクラブ単位での参加もある。学院祭はクラブの成果を他生徒に見てもらう機会でもあるからだ。
今年は合計で30ヶ所ほどの開催場所が必要だった。
内容によっては自分達の教室も使ってもらえるが、学院祭開催の前々日まで授業があるので、放課後の準備に時間が必要なクラスは特別教室の利用も許可している。
なので生徒会ではその希望も取っている。
リリベルは学院内の教室や講堂、広場が把握できるマップをテーブルに広げて希望と規模に合わせてジャンジャン教室を割り当てていく。
その様子に周囲は圧倒して「リリベル嬢、すごく有能なんだな」と囁きあっている。
「リリベルさん、お茶を隣に置くから、溢さないようにね」
とリリアン様がお茶を置いてくれる。
「一学年で、よくそんなに学院内の教室のことが分かりますね?」と生徒会長が仰るが、リリベルは入学前に兄とチェックしたのだ。
学院内の危険な場所、逃げ道、隠れ場所、最短移動距離など。その時に各教室の配置や広さなども把握済みだ。
だから学生がどんな動線で効率よく学院祭を回れるかも考慮して、教室を決めるのなんてお茶の子さいさいだ。
自分のハザードマップが、まさかこんな事に役立つとは思わなかったけど。
「普通、自分が通う学院内の配置って事前に頭に入れておきませんか?」
ってリリベルが言うと「学院に入学してから、院内の配置を見学して回るのが普通じゃないかな」と返ってきた。
そんな事したら出会うかもしれないじゃん!避けなきゃいけない王族や高位貴族の面々に、怖〜いお姉様方も!と思ったが、回らなくても出会ったなと思い「そうですか」と適当に言っておいた。
ザック殿下はリリベルの植物達を日当たりの良い場所に移動させて、魔法で水をあげてくれている。
「ヒーローがヒロインの助手になってる…」
シャーロットが勉強会の問題を解きながら唸っていたが、もう気にしない事にした。
しかし、ザック殿下、そろそろ読み合わせの練習からは逃げられないぞ!頑張れ王太子役。




