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リリベルは胡乱げな目でメンバーを見渡しながら確認する。
「何の集まりで、これからどこに行くんですか?」
「フィリップの親戚の所に、今から行くに決まってるじゃないか!」
ザック殿下は、さも当たり前のようにそう仰った。
「何でザック殿下が行かれるの?それにライ兄までっ!奥さん、赤ちゃん産まれて、まだそんなに経ってないじゃん!」
リリベルはアドリアンの事も睨む。
「それにアドリアン様は何で行くの?」
「俺も今日から休暇なんだー。あ、この人、俺の親父。宜しく頼むね?」
「ライ兄!」私はライオット兄ちゃんを睨む。
「リリッ!ちっちゃんとソフィーナには許可もらっているから!何ならソフィーナは今、アイリーン嬢の侯爵家にいる。アイリーン嬢が昨日から産気づいてソフィーナを呼んだんだ」
と言い訳のように言ってくる。
もう彼らは無視だ。
「フィリップ様、こんなに押しかけて大丈夫なんですか?」
「今朝、早馬を出しましたが…多分、大丈夫でしょう」
フィリップ様は苦笑いで仰る。
リリベルは溜め息を吐いて言う。
「旅の準備はしていませんが…」と。
そこに「あのう…」と姉の侍女のサーヤさんが、いつの間にか荷物を持って立っていた。
「これ今朝、侯爵家から届きました。あとこれは聖女様から先方へのお土産です」
マリィ姉ちゃんは知っていたのか?!
リリベルが衝撃を受けていると「昨晩、聖女様から説明を受けておられなかったのですか?」とサーヤさんに聞かれた。
「‥‥‥」
そう言えばあの人、聖騎士名鑑のベルトラント様を見て逃げ出したんだった。大事な事言わずに…。
リリベルはサーヤさんから荷物を受け取って無言で馬車に乗る。
どうせ何を言っても連行されるのだ。進んで乗らなければ殿下に持ち上げて乗せられる可能性すらある。
馬車は6人乗りで、リリベルとザック殿下、フィリップ様とアドリアン様のお父上が乗車した。
騎士二人は護衛として騎馬だ。殿下の護衛としては異例に少ないが。
「ザック殿下が付いてきたらフィリップ様は休暇にならないのではないですか?」
馬車が進み始めてしばらく経ってから、リリベルはザック殿下に本音をぶちまける。
「俺の前で、そんな事言うの?王家の馬車で行けて良かったじゃん。長距離キツいよ?」
「確かに王家の馬車なら三日で伯爵領に着きます。殿下が6頭立ての馬車を用意して下さったので」
とフィリップ様は苦笑いしつつも、恐縮しながら仰る。
リリベル的には何日だろうと旅の予定は無かったのだが…。
「ザック殿下がいるから、アドリアン様のお父上も恐縮されておいでではないですか…」
「俺は、アドリアン卿は誘ってないぞ?」
「ライ兄か!」
「あのっ私は伯爵夫人の夫君の長年の友人なんです。だから息子が誘ってくれて…」
「伯爵済まない。あなたを邪魔者にしたつもりは無いんだ。居心地悪くして申し訳ないな」
「そんな殿下!殿下は悪くありません。息子が何も説明しないから。まさか殿下までおいでで王家に馬車を出させるなんて…」
アドリアン様のお父様は、ひたすら申し訳なさそうに恐縮しておられた。
ここには私を含めて被害者が3人もいるのだ。
諸悪の根源は絶対、ザック殿下だ!
時々、ライ兄が「リリ?馬車キツくない?お尻痛くない?」と窓の外から聞いてくる。
無視だ無視!
「公爵様を無視して大丈夫ですか?」
フィリップ様が心配そうに聞いてくる。
「もし痛いって言ったら、あいつの膝の上ですよ?きっと」
と言ったら、殿下も大人しくなった。
ライオット兄が馬車に乗ってきたら、暑苦しいって想像したんだろうな。絶対。
「やーい!ライオット無視されてやんの。ハハハハハッ」
その時、アドリアン様の笑い声が聞こえてきた。
「…申し訳ない。息子が…」
ますますアドリアン様のお父上が小さくなった。




