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前世も異世界転移もありません!ただの子爵令嬢です!多分?  作者: 朱井笑美


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 あの場になぜザック殿下が来たのか?

 それはフィリップ様が殿下を連れて来たのではなく、フィリップ様の話を聞いた殿下がリリベルを助けに来てくれたのだった。

 だが神殿の巡礼者パワーは想像を上回った。

 全員が巻き込まれることになり、全員で昼食を食いっぱぐれた。


 そして殿下は結局、タイムリミットとなりフィリップ様と城に戻って行かれ、リリベルはマリィ姉ちゃんの差し入れのお菓子を食べて何とか夕飯まで乗り切った。

 やっぱりザック殿下といると碌なことにならないなと思う。

 もう、しばらくは神殿には来ないだろう。

 リリベルはそう思って寝る前に、買ったばかりの聖騎士名鑑を見ようとしたらマリィ姉ちゃんがやって来た。


「リリ、今日はお疲れ様。表は大変だったんだってね?」

「うん。マリィ姉ちゃんお菓子ありがとう。お陰で生命拾いしたわ」

「第三王子殿下も大変だったろうね」

「殿下はいいの。殿下が来たから大騒ぎになったんだし。いつも本当に人を厄介ごとに巻き込むんだから」

 リリベルがそう言って名鑑のページを捲ると“聖騎士人気ランキング第1位ベルトラント”と、いきなり自分が見たい本命が出てきた。


「おぉこの人か!」

 と思って内容を読もうとすると、マリィ姉ちゃんが急に「わっ!ラント様!」と言って、顔を真っ赤にして狼狽し出した。

「えっ?マリィ姉ちゃん、一体どうしたの?」

「リリっ何でもないよ。何でもない!」

 って言いながらも、何でもなさそうな感じでは絶対なかった。


 結局、マリィ姉ちゃんはもの凄い早さで逃げて行ったが、あれはどう見ても、かなりベルトラント様を意識していたよね?

 実はベルトラント様のアプローチはマリィ姉ちゃんに、ちゃんと伝わってるんじゃないの?

 

「あ〜ぁ…ザック殿下、失恋決定かも」

 とリリベルは殿下に同情しつつ、ベルトラント様のページをもう一度見る。

 彼は元王族なのに金髪なのだな。ちょっと色は薄いけど王太子殿下と一緒だ。でも緑色の瞳だ…。

 名前もベルトラント、“緑色のベル”じゃん。

「へ〜この人が一番人気なの?でも…うちの先祖の肖像画に埋もれそうな人だ」とリリベルは思った。


 そして翌日、また厄介な事が起こった。

「リリベル嬢、行くぞ〜」

 ザック殿下とライオット兄ちゃんの横に、フィリップ様が申し訳なさそうに佇んでいる。


「ザック殿下!ライ兄!何でっ?」

 ってリリベルが驚いて叫ぶと「お待たせ〜」と後ろから声がする。

 振り向くと聖騎士のアドリアン様ともう一人、貴族の年配の男性が立っていた。

 ますます分からん。

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