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午前の薬草園の世話を終えて昼食の為に食堂に向かう。その途中で聖騎士ミネルバがザック殿下に耳打ちする。
「殿下、リリベル嬢はご存知ありませんが、子爵領の野生馬はかつての女神様の愛馬の子孫だと言われています」
「はぁ〜?!」
思わず大声が出そうになるが王族教育のお陰か、寸前で止めることができた。
しかし動揺は止められない。
「女神様の愛馬とはユニコーンではなかったか?」
神話の言い伝えの中で女神が乗って現れるのはユニコーンなのだ。ユニコーンは純潔の証だ。それ故、神官達は未婚であることを基本としている。
「さすがに角はありません。しかし純白の個体が多いのです。それに悪意に敏感で普通の馬より知性が高く、恐らく男性よりも女性には敵意を抱きにくいのです。だから子爵領には女性の聖騎士が赴くことが多いのかと」
「なるほど。しかし、それは子爵家の者は知っているのか?」
「それも定かではありません。少なくとも聖女様とリリベル嬢、上2人の兄妹は知らないかと」
「子爵家当主自身にしか伝わらないのかもしれないな。しかし男性には敵意を抱きやすいなら「いいえ、殿下。言葉を遮って申し訳ありません。しかし、実は子爵様は野生馬を乗りこなしてらっしゃるのです」
「はぁ〜!?」
今度は声を抑えられずに叫んでしまう。
「ザック殿下?」皆、殿下の声に驚いて殿下を見る。
ザック殿下は慌てて「いや!虫がいた。デカい虫だ。だから驚いて、つい。皆まで驚かせて済まないな」
「もう私が追い払いましたので大丈夫です」
とミネルバ様も慌てた様子で仰っている。
リリベルも皆も「なーんだ」と何事もなかったように再び食堂に向かう。
「ミネルバ殿、すまない。大声を上げて。しかし野生馬は人に慣れたり、背に乗せたりするのか?」
とアイザックは気を取り直して質問する。
「全てではありませんが、好奇心の強い馬もいるのです。しかし彼らは人を見て選ぶので、背に乗るまでには、かなりの信頼関係を築かないといけないのです」
「ちなみにミネルバ殿、君は彼らにどこまで近付けるのか?」
「私も他の女性聖騎士達も触れさせてもらうまではできました。しかし当時、派遣されていたトルテが、元聖女のご息女の1人聖騎士のザッハトルテ殿が子爵領の有事の際、背に乗れと馬に指示を受けて子爵家まで走ったと言っておりました。それ以降は乗せてもらうことは叶わなかったと」
「まるで子爵領の守り神のようではないか!」
「子爵殿は共存と仰っておられました」
「そうか。その件は神殿はどこまで知っているのか?」
「全て報告済みです。子爵殿も隠してないと」
「なら私も報告して問題ないか。筆頭侯爵家がそこまで守っていた訳だ。ただの過保護とかそういう事だけではなかったのだな」
二人が遅れて食堂に着くと、すでに聖女一向が待っていて聖女殿はリリベル嬢とにこやかに話していた。
ああ二人の姉妹がそうしていると姉妹のとこだけ何だか光って見えるな、場所が神殿だからか?
周囲も眩しそうに二人を見つめている。




