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「へえ絵の対価で魔石をねぇ。それは凄いが北の国には無用の物だからいいんじゃないか?」
「それは確かにそうですが…」
公爵位が買えるほどの量ってリコピンが言ってたんだよね。
「これは確かな情報だが、北の永久凍土を掘れば素人でも魔石を発掘する事は可能だそうだ。だが、そこにはポーラベア以外にもポーラウルフも出る。1番ヤバいのは海上の氷の穴から突然現れ襲ってくるポーラペンギンだ。集団のペンギンにはポーラベアですら近付かない。それに夏でもマイナス10度の気候だから、普通は素人も行かないだろうけどね」
やっぱり貴重なんじゃないか!
「そう言えば南の王太子妃殿下は無事に王子殿下をご出産されたそうだ」
「え!本当に?すごいおめでたい」
「そうだな。南では今お祝いムード、一色だそうだ。特にあんな襲撃を乗り越えて産まれてきた王子だからな」
国王陛下も王妃様もきっとご安心なさっただろうな。
「リリ、魔石の件はまだ王家には言ってないんだったな。それは正解だ。切り札は小出しにするか最後まで取っておくべきだからな。判断とタイミングが大事だ。もし判断に迷うなら父に相談するといいよ」
「伯父様に?でも今は東の国にいらっしゃるし」
「年が明けたから恐らく一度、戻ってくるよ。カテリーナ様のお墓参りは欠かした事がないんだ」
そうだ!冬はカテリーナ様の命日がある。伯父に会えるのは心強いなリリベルはそう思った。
侯爵家に戻って少しして、アイオット様に執務室に呼ばれた。
「リリ、第三王子への面会許可は下りなかった。だが代わりに王太子妃が会ってくれるそうだがどうするか?」
「ぜひお願いしますとお伝え下さい」
ザック殿下が会ってくれないのは想定済みだ。もう側近を解かれたし会う理由がない。でも王太子妃様が会って下さるという事は、何か情報を下さるのか?もしかしたらもう2度と王家にはかかわるなと言われる可能性もある。言われたら言われたまでだし、別の協力者を探し出すだけだ。ただザック殿下の本音は知りたい。ちゃんと本人の口からだ。それまでは行動あるのみだ。
リリベルはリコピンを伴って王太子宮に到着すると、王太子妃様の執務室に案内された。扉をノックし中に入りスカートを摘んで挨拶をする。が、横で私の護衛が「よう!王太子妃ご無沙汰だなっ」と主人より軽い挨拶をかましやがった。
王太子妃様も眉間に皺を寄せ「聞いてはいたけど…」と大きく溜息を吐かれた。
「まあいいわ。リリベル嬢、手短かに状況をお伝えするわ。第三王子殿下は正式に火山の国の女王から縁談の打診を受けたわ。縁談のお相手は女王本人、第三王子は王配としてよ。前の王配は第二夫人に下がるそうよ」
これは相手方の中々の本気度を感じる。
「もう殿下は、いえ王家はそれをお受けになったのですか?」
「いいえまだよ。我が国の第三王子にとって王配は破格の待遇だと思われてもいけないから、そこは宰相補佐官がまだ私達の王女が幼い事を理由に、第三王子には次期、王太子になる可能性があると一旦保留に持ち込んだわ。それに相手は初婚ではないし子供もいる。年齢も10歳上なのよ。女王としては若いけどね」
「第三王子が王配になっても第二夫人の子が王になる可能性も?」
「第三王子との子が赤い髪でなければ…ね」
あくまで赤い髪を取り戻すことだけに重きを置いているということなの!?そんなの酷い。殿下は種馬としてしか扱われないかもしれない。
「表向きは女王は第三王子殿下の事を南の盆踊り大会で出会って見初めた事になっているわ」
確かに殿下の姉君もご不快になるほどザック殿下にモーションを掛けておられた。あれは女王のパフォーマンスだったって事!?知っていたら邪魔してやったのにって言っても今更か。
あの時はまだ自分の気持ちに気付いてなかったし。って私っていつからザック殿下を好きだったんだろう?殿下はいつから私を好きだったの?
おっとイケない!まだお互いの気持ち確認し合う前じゃん!
私、勝手に動いてヤベー奴だったらどうすんだ!?




