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「ああリリッ可哀想に。殿下は王族を抜ける予定の事をリリに言ってなかったのね。だったら普通そう思うわ」
姉が優しく抱き締めてくれる。
「でもリリ、これは神様が応援してくれてるんじゃない?身分が違ってもあなたの相手は殿下だって」
「自分の気持ちに気付く前は、もっと意味が分かんなかったの」
姉ちゃんが涙を拭いてくれる。
「ハハハッだったら、それは早く気付けって事よ!神様はリリの事も殿下の事も背中を押したんだわ」
「くっ付けようとしたのではない?」
「違うわよ。きっと親心よ」
うううっ姉ちゃん、恋愛脳をこれまで馬鹿にしてゴメンなさい。実はこの件で1番役に立ったのは姉ちゃんだ。
「ねえリリ、もしかしたら妹か弟ができるかもよ?」
「え?甥か姪じゃなくて?」
意外な話過ぎて涙が引っ込む。
「そっちはもう確定だけど、お母様に下着をプレゼントしてきたの!」
「‥‥‥」爺様を産んだ時の王妃様の年齢を考えると笑えない。
「冗談よぉ。さすがに無いわよ」
それからリリベルは王都に到着するまで姉に、これまであった事を全部話した。
中でも1番ウケていたのは「アハハハハッ!王太子とルト兄の恋愛小説を書いちゃうなんて!しかも舞台まであるの?凄いじゃんリリ」
「私は案を出しただけで書いたのはほとんどユノゴー氏なの」
「ユノゴー?もしかしてビクトル様の事かしら?」
「そう彼が文を考えて小説にまとめてくれたの」
「へえあの人、そんな才能あったのね」
「でもこれまでの父と母の話だって、ずっと伯母達の仕業なの。姉ちゃんの事だって」
「私の事も?」
「そう“美しい令嬢に囚われた学園教師”という小説案もあったのよ姉ちゃん」
「えっ何それ面白い!リリ、ちょっと帰ったらビクトル様に会わせなさいよ!」
まさかララ姉ちゃんが食い付くとは思わなかった…。姉に会ってもユノゴー氏は大丈夫なんだろうか?!
結局、年越しは王都に向かう道中で迎えてしまった。
でも王家の馬車のお陰で伯父の馬車同様、旅程を短縮できたし泊まる宿も、警備まで王族待遇で快適だった。
身重の姉も体調を崩す事なく無事に王都に帰ってこれた。
リリベルの北の国の陛下に頂いた荷物の内容は陛下にもお伝えしていなかった。まだザック殿下が火山の国に何の要望を出されたのか分からないからだ。
王城に帰って陛下と王妃様、公爵様に挨拶して帰宅する。姉も伯爵家に帰っていった。ザック殿下も南からお戻りなのかもしれないが、まだリリベル自身の気持ちを整えてからだ。
侯爵家に到着するとアイオット様が出迎えてくれた。
「リリお帰り。第三王子殿下は無事に年内に帰国されたようだよ」
「本当ですか!」
「ああガブリエラ補佐官や、エリオットに聞けば詳しく分かるだろうがな」
「そうですか。学院が始まる前にお二人に色々、聞いてみます」
「殿下への面会申請もだろう?」
「…それはお二人に聞いてからで」
「先に殿下の口から聞いておく方がいいんじゃないか?」
それもそうか。私自身の気持ちも殿下にお伝えできていない。
リリベルはアイオット様と居間に移動して旅の疲れを癒しながら子爵家での事を報告した。
リコピンは一度、新年の挨拶と王都帰着を報告してくると、公爵家に戻って行った。




