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「ねえララ姉ちゃん、王太子妃様は望まれて南に嫁いだと仰ってた。王太子様は王太子妃様と会った事があったの?」
「無いはずよ。でも王太子様は第二王子殿下より、婚約者がなかなか決まらなかったのよ。彼のワガママでね。お陰で第二王子殿下達は随分、結婚を待たされていたわ」
「理想が高かったの?それか障害のある恋愛をしてたとか?」
「ある意味どちらもね。彼は北の国に憧れていたの。しかも金髪碧眼よ」
「もしかして探検家のノースポール探検記!」
「そうね。それと“北国の生活譚”という南だけで出された本があったの」
「王女殿下のビーバーちゃんといい、探検家の人って南の王家と結構かかわりが深かったんだね?」
「そうね。当時、あまり外国を知る人は少なかったから彼の情報は重宝されたんじゃないかしら」
「だったら最初は北の国に縁談を持っていったのかな?」
「そこは分からないわ。でも多分、北の王女が今は西の王妃に収まっていると知って、しかも王子の王太子殿下の容姿はキラキラの金髪碧眼でしょ?だから王女もってなったんじゃないかしら?」
「ザック殿下みたいに赤毛じゃなくて良かった!」
「そこは下調べくらいするでしょ!」
「でも南からの求婚状をこっちは最初、真に受けてなかったわ。国交が最低限だったし東に配慮してたから」
「だから姉ちゃん達が外交官として南に派遣されたの?」
「そうね。国内の高位貴族からも王女殿下の降嫁の希望は多かったわ。でもそれに対して南も王太子の正妃としてとあったから、真偽を確かめたかったのね」
「それで行ったら、やっぱり本物の求婚だった?」
「まあ色々あったのよ。でも南の王家は龍神の末裔と言われているでしょ?だから言い出したら頑固で周囲の意見を聞かないの。しかも…そうね、これは内緒だけど…王太子殿下は最初は姉ちゃんをロックオンした気がするわ」
姉の声が急に小声になる。
「えぇっ姉ちゃんを?」私も声を潜める。
「そう初めてお会いした時、もの凄く驚いた顔でずっと見つめられていたの。だからマズいと思って慌てて息子を連れ出して夫と3人で挨拶をやり直したわ」
「それで王太子殿下は?」
「そりゃあ、かなり驚かれた様子だったわよ。きっと誰も彼のそんな姿を見た事なかったでしょうね。王女殿下が、しばらく語るほどの出来事だったのよ。まだ口説かれてないだけマシだったわ」
「姉ちゃんも17歳でママだもんね」
「そうね南に行った時も10代だったから余計にね」
「姉ちゃん、私、ザックさんの婚約者さんにお会いしたんだ」
「ああリサちゃんね」
「彼女、20歳だって聞いてビックリしたの。もしかして南の国は結婚が遅いのかな?」
「そうねぇ南の国は学校が18歳で卒業だし、19〜20代前半の結婚が主流かな」
「それじゃあ姉ちゃんを見て独身だと思っても仕方ないよね」
「普通、あんな若い独身者を単身で外交官として送らないわよ!それこそハニートラップを疑われるでしょ?」
「本当にハニトラなら王太子殿下は引っかかってたじゃん」
「そこは、怖いところよリリ。龍の習性を舐めたら危ないわよ。もしそうだったらきっと監禁婚だったわよ」
リリベルは声にならない叫び声を上げた。




