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三人目の加入……あれ、これなんてハーレムパーティー?

書き貯め的に、本編次話からは展開が早くなっていく予定です。

 村を救った後は宴会だった。


 元々、人族を入植して拡大していた獣人の村である。

 村の危機を救ったオレたちをもてなすのに、微塵の躊躇もなかった。

 ただ、誤算はある。


「うーん、やっぱりおにーさん料理上手いね~」


「わたくしの夫ですもの、当たり前ですわ」


 微妙なところでドヤるフランの可愛さよ。


 さも当然という顔をしながらも、耳はピクピクと動いている。

 オレが誉められた事に喜んでいるのが丸分かりだ。それだけでもこそばゆい。

 なのに、両手は腰の位置に当てられ、胸を若干反らしている。体は、どうだと言わんばかりの姿勢を取っていた。


「はー、可愛いかよ」


 言葉が漏れるのも仕方なかった。


「?」「突然どしたー?」


 二人には勿論伝わっていない。

 自覚が無いところがオレとしてはまた魅力的なため、何も言わずに追加の食事を出す。


「当たり前のようにもてなされる側が料理をしている事に、アイザック君は疑問を持つべきだと思いますが……」


 メルヴィナが苦笑混じりにそう言った。


「オレだって予想してなかったよ。でも、食材はあっても寒村の簡素な料理じゃ、ウチのお姫様の口に合うかって話だし、そもそもあの残念エルフが黙っちゃいないだろう」


 これが誤算の内容だった。

 お礼にとデカい鍋で調理を始めようとした村の奥様方。

 ただ、特に味付けがなされる事もなく煮るだけ。

 その光景を見て、何処ぞのエルフがしかめっ面をしたのをオレは見逃さなかったのだ。


「出された(もの)に文句を付けて、フランが楽しみにしていた獣人たちとの交流をダメにしたくないからな」


「あらあら、お熱いですね」


 茶化すなよ。

 そう伝えて、オレは村人を含めた全員に振る舞うべく調理を続ける。

 でも確かに、なんでオレは助けた人たちに飯作ってんだかなぁ……。

 まぁ、これもフランのためである。


「熱いのはスープだけで十分だ。うん、美味い」


 味の最終調整が今終わった。完成する前からガンガン持っていかれたのはご愛敬である。

 作ったのは、作り置きのブイヨンを使ったポトフ。フランスの家庭料理の一つだ。

 オレの勝手なイメージでは、固形ルーを入れないカレーやシチューと例えると絶妙に伝わりやすい。

 貴重な醤油や味噌を使わない、主に使うのは提供された野菜類という懐に優しい料理だぜ。


「いやぁ、こんな美味しいご飯、街に居た時以来だよ」

「何言ってんだい、見栄張っちゃって。初めて食ったわさ、こんな美味いの!」


 どつき漫才をしながら人族の夫婦が近付いてくる。

 彼らは街で食い詰めた人たちだ。

 料理の知識には乏しいし、調味料などもほぼ持っていない。


 彼らが呼び水となったのか、安静にしている人たちに配給していた村人がゾロゾロと戻ってきた。その顔はどこかホッとした表情を浮かべている者も多い。

 メルヴィナに治されても、急に調子が万全になる訳ではないからな。飯を食べて一息付く姿を見て、ようやく安心できたのだろう。


「飯の兄ちゃん、助けてもらったのに悪いな!」


 飯の兄ちゃんじゃねぇ!


「このパーティーの料理番なんだろう? 貴族の冒険者は凄いなっ」


 ドラマか! そこまでガチじゃねーわっ。

 メルヴィナが参入してから、ウチは一応交代制です!

 オレはリーダーで戦闘員だっての。


 その後もガヤガヤと好き放題囃し立てられる。

 今、火の上で調理してんだから絡んでこないで。いやホント、マジで!


「魔物との戦いじゃ活躍してないにーちゃん、遊んでー。疲れてないだろ~」


 イラァ。

 だが我慢、我慢だ。

 楽しそうに獣人レディーと話すフランを眺めて感情を抑制(コントロール)する。

 何か物申すにしても、村を出る時で十分。


 そんなオレを、隣に立つメルヴィナが身内を慈しむような目で見る。


「うふふ、お二人とも相手の嗜好への許容が半端じゃないです」


「もーいいから、メルヴィナ」


 そう苦笑で返すオレは愛ゆえだが、実際否定できない言葉だった。

 自分も英雄潭好きとは言え、フランなんて貴族令嬢なのに、根無し草の冒険者になっちまったからな。


「あー、おにーさんたちだけ別なのも食べてるっ。いいなー、あたしも欲しいなー」


 村人たちが捌けていったのと入れ替わりで、エルミアが近付いてきた。

 どうやらお代わりを求めにやってきたようである。

 若干声が抑えめなので、村人には食べさせる気がないのは分かっているのだろう。


「ちっ、目敏いな」


「ふふーん。あたし、美味しいものへの嗅覚は尋常じゃないからねぇ~」


 旅の道中だろうが、継続は力なりを如実に表す魔物食ドーピングは継続中である。

 即燻製などに処理をすれば、ドーピング効果が幾日保たれるのは本当に助かるぜ。料理の幅が広がるので。

 女性陣の身体能力強化は急務なため、今日もパーティメンバーの分のみ別メニューがあった。

 騒がれても面倒だし、仕方ないので彼女の分をよそう。


 鳥型の魔物の串焼きと、オーク肉のベーコンが入った味噌汁だ。

 串焼きはシンプルなもので、香辛料で味付けがされている程度。

 連続で味噌汁があるのは、今日自分が飲めなかったリベンジだった。

 具材はキャベツと玉ねぎ、唐辛子粉末にネギなどが入っている。

 昼前に飲んだ味噌汁とは味がまったく異なるため、フランやメルヴィナも飽きはしないだろう。


「わー、キャベツとろとろだし野菜とお肉の相性抜群! あれ? これってお昼に飲んだのと味が違うけど……同じスープ?」


「具材が違うだけで同じ味噌汁だぞ」


 そう伝えると、エルミアは凄い驚いた顔をしながら、椀の中とオレを交互に見始める。

 どうやら同じ料理で味が大きく異なるのは、彼女としては初体験だったらしい。


「へー、へぇー! さっき飲んだのも抜群に美味しかったよ。でもあたし、やっぱりエルフだからか野菜が好きなんだー。これ、凄く好みぃ~」


 満点の笑みを浮かべながら味噌汁を啜り、合間に串焼きを頬張る女エルフ。

 本当に美味しそうに食べるなこいつは……。


「――ねぇ、おにーさん。改めて自己紹介するね。あたしはエルミア。美味しいものが食べたくて里を出た、エルフなのに魔法が使えないはぐれ者だよ。さっき見せたように弓には自信があるんだ」


「……オレはアイザック。剣と魔法を使って、近・中距離を主体に戦う」


 うん、知ってる。そうニカッと笑うエルミア。

 その快活な笑い方は、この世界で今まで接してきた女性だと珍しいものだった。


「さっきは皆の強さやスタイルが分からなかったから遠慮してたけど……あたしも仲間に入れてくれないかな? きっと力になれると思うんだ」


「そんで、自分はオレの料理を堪能、ってか?」


 オレが軽い雰囲気でそう問うと、バレたか、というような顔をして頭を掻く。

 フランとメルヴィナに視線を飛ばす。

 彼女たちは無言でコクリと頷いた。


「よろしく、はぐれの弓術士エルミア」


「うん!」


 こうして、オレたちのパーティーに四人目が加わった。

 うーん、男女比率早急にどうにかしたい。



 ◇◆◇◆◇



 夜。

 夕方に駆け付けて討伐を行った事もあり、当初の予定通り村で宿を取っていた。

 オレは中々眠れず、一人夜の村を歩いた末、草原に寝転んでいる。


「身体能力強化は決して肉体の持つ力を越えない、か」


 (セルバフ)の言葉、そしてオレ自身が出した結論だ。


 アンデルからイルネストへ向かう中、石焼き芋を食べた事を思い出す。

 さつま芋ではないが、それに幾分特徴が似ていた物を食べていた時。

 オレは空中で芋をキャッチし、その熱によって取り落とした。

 前世では火傷確実だったけれど、当時のオレでも負傷はしていない。


 だが、熱いとは(・・・・)感じていた(・・・・・)筈だ。

 オレが数刻前防いだ、あの攻撃より確実に低い温度であろう芋を。

 でなければ、取り落とす理由がない。


「…………」


 無言で自身の手のひらを見つめる。


 己の成長と、取れる戦略の幅が広がった事に対する喜び。

 身に付けた力を人外レベルだとは自評していても、本当に人間を辞め始めたかのような錯覚に対する畏れ。


 今、心の内を渦巻く感情に、どう名前を付ければいいのか。

 この時のオレには、よく分からなかった。

唐突なシリアス風ぅ(*つ´・∀・)つ


プロットより長くなった第二章は、最後に閑話を挟んで終局に向かいます。

第二章の主題であるライバルが出てくるのですが、やはり鷹崎、対人戦の方が面白く書ける気がします。

今までのバトルより多分見応えあるので、今後もご覧頂ければ幸いですっヾ(o゜ω゜o)ノ゛

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