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ニャンニャンニャーン!(訳:実は着いてきてたんだにゃん!)

猫の日なので猫閑話投稿。

22:22間に合わなかった……orz

ニャンニャン、ニャア(28)って事で。。

 我輩はニャンコである。名前はまだない。

 いや、嘘だ。名前はある。ニャイトと主人に付けられた。

 どこで生まれたか頓と見当がつかぬが、多分アンデルと呼ばれる街である。

 ニャンコなので。街と街をさすらうような生き方は、普通のニャンコには無理なので。


 まあ、我輩は普通のニャンコではないので、今はできちゃうのだが。


「シャル? 何を呟いてるの?」


 どうやら主人の伴侶が来たようである。

 英雄の隣に相応しき凄まじい美少女だ。

 人間の美醜に疎い我々ニャンコでも理解(わか)る。

 眺めているだけで、何だかフワフワした感じを抱かせる少女である。


「あら、ニャイトじゃないですの。って、え、何故ここに居るのです? そしてまだその腹話術みたいなの続けますの?」


「ふぅ、お嬢様。無粋な事は言わぬが花ですよ」

「えぇ……わたくしが悪いんですの?」


「そうにゃー。と、ニャイト氏も申しております」

「絶対言ってませんわ……」


「失礼な。にゃーにゃーとわたくしを見上げながら言葉を申しているではありませんか」

「それ多分抗議の鳴き声ですわよ……ニャイトは頭が良いですからね」


 それは否定しません。

 アイザック様がお嬢様と共にアンデルを旅立つまでの数日間、交流を持った僅かな時間の中でも、煌めく知性を感じさせるおニャンコ様でした。

 実際、このイルネストに居る理由も、彼の決断のようでございましたからね。



 ◇◆◇◆◇



 それは、まだアンデルを旅立つ前の事でした。


「ごめんなニャイト。そんな訳で、オレは旅に出るんだ。絶対戻ってくるから、待っていてくれないか?」

「ニャウ、ウニャーぅ」

「いや、ニャイトを連れていける程安全な旅じゃないんだよ。分かってくれないか」


 正直、何をしているのかと思いました。

 なにせ、半生以上を費やして見守ってきたお嬢様の婚約者が、大真面目に猫と会話をしているのですから。普通であれば正気を疑う場面ですね。

 しかも、本当に伝わっているようにも見え、会話が成立している風な雰囲気が醸し出されているのがコメントに困らせます。


「ニャ、ナァーゥ」

「此処には守るべきものがない……かな? うーむ、マジで最近理解でき始めた気がするな」

「ウニャ」


 ちょっと待ってください。

 今、頷きませんでしたか? アイザック様は目を瞑っていたようですが、私は見逃しませんでしたよ。


「取り敢えず、お前は野良どものボスなんだしーー」

「ンナァーゥ」


 ニャイト氏がそっぽを向いて鳴き声をあげたと思ったら、一匹の風格ある猫が出てきました。


「え、もしかしてこいつが新しいボス猫?」

「ナァーォ」


 暫定ボス猫は、ニャイト氏に前を譲られると、猛々しさをアピールするかのように前足を上げます。

 本当、私は何を見せられているのでしょう。


「それでもニャイトには、自分の人生ーー猫生を歩んで欲しいんだよな。オレも一緒にいたいけど、失いたくない」


 ルルルルルと喉を唸らせながら、ニャイト氏とその主人の視線が交錯します。

 そして数秒の後、(きびす)を返してここを去っていきました。


「ニャイト……ってシャルさん?! いつからそこにっ」


 おっと、立ち去るのが遅れました。そこそこ距離を空けているのですがね。


「私は、主人の伴侶の面白……いえ、おかし……いえ、珍妙な行動など何も見ていませんが?」

「ねぇそれ言い直した意味皆無だって分かって言ってるよね」

「そんな、早口で問い詰められるような事は何も何も」


 そうして私は足早に立ち去ります。

 その姿を、いつの間にか進行方向で佇んでいたニャイト氏が見ていました。






 出発当日の朝。

 荷を全て積み込み、もう後は出るだけとなりました。


「ふむ、中々に出発日和ですね」


 空を見上げると、雲も少ない晴れやかな眺め。

 これには、普段無表情と言われがちな私の口角も自然に上がります。

 そうしていたら、屋敷から出てきたゲイル様が話し掛けてきました。


「むすっとした顔で山あい見つめて、何かありました?」


 失礼な、こんなにも朗らかな笑みを浮かべているというのに。

 まあ、私は優秀な侍従なので、雇い主の親族となる方の機嫌を損ねる真似は致しませんが。


「いえ、特には。ゲイル様こそ冴えた顔をしておりませんが、何かありましたか」

「冴え……いえ、ニャイト見ませんでした?」


 特に見ておりませんでしたので、率直に返事を返します。


「そっか……」

「何かあったのですか」


 そう尋ねると、顔を少し歪ませて悩む仕草を経て、話してくださいました。


「いやね、早朝にニャイト用に作ったリュックを咥えて押し掛けてきてさ」

「猫用のリュック……?」

「ザックが戯れに作ったんだ」


 流して欲しそうに私を見ていましたので、ここは深く掘り下げないであげましょう。


「なうなう言うから付けて欲しいのかと思って、背負わせたんだ。そしたらすぐ走って行ってそれから見てない」

「ふむ」


「自分で外してるのは見た事あるけど、大変だろうしザックの見送りもあるから」

「そうですか、頑張ってくださいね」


 一瞬、手伝ってくれないの? という表情が見受けられましたが、ゲイル様はそのまま歩いてゆかれました。

 後ろ姿が建物に消えるのを確認してから、私は一瞬だけ見えたもふもふ尻尾を追って、御者席に乗り込みます。


「なう」


 そして見つめ合う、うら若き美人侍女と美ニャンコ様。

 証言通りリュックは背負われたまま、お口の下には革袋が置かれています。

 そこから覗く中身は、どうやらジャーキーのようですね。


 御者席のチェックも兼ねて乗り込んでいたため、視線を切って座席に座ります。

 掃除のハタキの先を丸い綿毛に代えた物が、私の手元で揺れている光景は、見た人間の気のせいでしょう。


「んぁぅ」


 振られる棒をスルーしたニャイト氏は、私の膝に飛び乗りました。

 そして、頭を下げます。


「ふむ……撫でて欲しいのですね」


 もっふもふな後頭部を優しく撫でていると、手に頭を押し付けてきますね。


「おかわりの要求ですか」

「ゥニャウ」


 何故でしょう、否定の意思が鳴き声から伝わってきます。


「シャルー? 何処におりますのー?」


 おっと、お嬢様が呼んでおられますね。

 私はそれに応えようと口を開こうとしてーー


 ぽもふん。


 ーー口を塞がれました。

 両手を押し付けるその体勢、正に愛らしさの極み。

 肉球の感触は至上の一言で表せますね。


「成る程。貴方も一緒に来たいのですね。私に共犯者になれと?」

「なーう」


 明らかに頷きました。

 このおニャンコ様、確実に人の言葉を理解してませんか。


「まったく、仕方ありませんね。その美麗な体躯を触る事を報酬とさせていただきましょう。あ、肉球もセットですよ」

「んナァー」


 ふっふっふ、言質(?)は取りました。




 そんなこんなで、私は彼の存在を隠匿しながら馬車旅を始める事になったのです。

 基本は御者席や屋根部分で過ごし、たまに私の服の中に潜り込みます。

 大変もふもふでした。


「ニャーニャニャニャーン」


 イルネストに到着してからは伸び伸びとできるからか、ニャイト氏も嬉しそうです。

 その口の中には、リュックに詰められたアイザック様手製のジャーキーが入っておりました。

 残りもかなり少なくなってきましたが、今はキャンベル家のシェフが彼の魅力にあてられて給仕しているので、たまの贅沢なのでしょう。


「ふふっ、ご機嫌ですね」

「んなう」


 私とニャイト氏の指と手が触れ合いました。

 まるで、戦をやり遂げた戦友と交わし合う挨拶のようです。


 さてはて、アイザック様が彼の姿を見つける時が見物ですね。

次話は流石に本編戻って、暫く閑話はお休みです。


タブレットは来週到着予定ですが、来週中には更新頻度戻せそうな見込みです!

40話分の書き貯めなんて無かったのですヾ(o゜ω゜o)ノ゛

これからは自動でネット上にバックアップできるアプリ使います(*;д;)


あ、誤字報告してくださった方、ありがとうございましたっ!

シャリアピンが正しいって昔に知った筈なのに、いつもシャリピアンと書くお馬鹿な作者よ。

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