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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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9-41 追撃① 妨害

9-41 追撃① 



 さて、こっちだね。


 俺はアレキサンダーの痕跡をたどりながら空を飛ぶ。

 スピードを出す必要がない…いや、あまりスピードを出せないから巨象の姿になったモース君に乗ってだ。


 モース君に乗っているのはもう一つ理由があって、モース君の嗅覚でアレキサンダーの後を追いかけているから。


 穢れ(邪壊思念)の痕跡を追いかければいいって?

 そうしたいんだけどなかなかそうもいかないんだよ。

 あいつの抱えてる穢れってのがかなり強力だということ、いや、強力さは弱まっているんだ。だからそれが問題。

 もともとが強力で、この周辺は痕跡が強いわけさ、そこに強いのがあればわかるんだけど、弱体化してしまっているので痕跡がまぎれちゃって…


 でも言ってみれば生きている痕跡だからなんとなくの方向性は分かるんだけど、はっきりこっちというのが分からない。

 そこでモース君の出番だ。

 象さんは鼻がいいのだ。


 まき散らされた穢れから大体の方角を極めて、そこからモース君に正確な痕跡をたどってもらう。


 精霊たちでもいればわかるんだけど、あいつが通った後って精霊たちがみんな逃げちゃってて、話も聞けないときた。


 困ったものなのである。


《いったん降りるであります。この辺りでにおいがぐるぐるしているであります》


 なんだ臭いがぐるぐるって?


《この辺りを行ったり来たりしてかなり動き回っているであります。そのせいでどちらに行ったかわからないであります。

 瘴気の方はどうでありますか?》


「うーん、そっちもよくわからないかな、ここはたぶんもともとあいつが活動的に動いていた当たりなんだよ。そのせいで邪壊思念の痕跡が拡散していて、しかも濃いところ薄いところがまだらでね…」


 ガイガーカウンター見たいなのがあればいいんだろうけど、感覚でやっているからなあ…

 ここは大体だけど教国の中心部に近いところなんだと思う。

 話に聞いた限りだと、ここには神をたたえる荘厳な神殿があって、ずっと離れたところからも見え、そこを中心に広く広く美しい町並みが広がっている。という話だったんだけど、あるのは瓦礫の山だ。

 荒野だね。

 多分それも『嘘』だったんだろう。


《そうなると人間が一人もいないというのが孵って不気味であります》


 そうだね、人間自体が、町の人自体が丸ごと『嘘』だったとか…あるいは…

 ちょっと考えたくない可能性が頭をよぎったが…


 まあ、今更どうしようもないな。


 アルビスには確認する方法はあるのだけど、今それをしても意味がない。


「とりあえず今日はここで野営だね、ここを中心に周辺を観測して、明日また改めて探そう」


《そうでありますな。その方がいいかもしれないであります》


 そこでふと思う。


「ねえ、モース君、この光景自体が嘘ってことはないよね?」


 俺が考えたのは今が嘘で真実が隠されている可能性だ。

 気になったのは『死』の気配が思ったより強いこと。

 確認してみるか…


《魔力を高めても反応は無いでありますよ?》


「うーん、そうだよね、俺の方も反応が…」


 ないのだ。

 今までは魔力を高めると周囲の幻にひずみが出て、幻影の崩壊が…

 だが今は全く変わらない。


《何か来るであります。地中を移動中であります》


 むむ? まさかまた河馬さんでは…なかったね。


 地面の中から飛び出してきたのはドラゴン。

 ドラゴンを構成しているのは骨だ。

 んー、ドラゴンの骨ではなく、骨のドラゴン。

 いろいろな生き物の骨をかき集めて作ったドラゴンのひな型。動き回るドラゴンの形をした骨の集合体。


《うわー、であります。ただ地面の下に埋まっていただけであります》


 うん、嘘で周辺をごまかしていたわけではないようだ。


《ここは任せるであります》


 モース君からシュワシュワと蒸気のようなものが噴き出して、周囲を満たしていく。


《浄化の霧であります。アンデットはこれで清められて昇天でありま…あれ?》


 残念。


「モース君、あれはアンデットじゃないよ」


《ええ!? であります》


「死の気配はあるけどね、アンデットみたいな死にぞこないのにおいはしないんだよね…ちゃんと死んでいるっていうか…たぶんだけど…

 自分のことをドラゴンだと思い込まされている屍の群れ…じゃないかな?

 すごいね、嘘ってこういう使い方もできるんだ…」


 死体というただの『物』をだまして別の魔物を作るとは。


《つまり浄化とかはきかないであります?》


「そうだね、アンデットみたいに正しい死に導けば引導を渡せるってものとは違うから、むしろゴーレムみたいな魔法生物…いや、生物ですらないのか…

 となると力ずくですりつぶすしかないのか?

 あ、嘘を暴けばいいのか」


「試しだ。【冥界の霧】!」


 冥属性の魔力を周辺に満たして魔力を高める。幻影ならば、帝国の城はこの方法で嘘を暴けたわけだから、これで…


《うまくいかないでありますな》


「なーぜーだー」


《思い込みが激しいタイプなのでは?》


 そんな、そんなことが…ありそうだな…


「まあ、とりあえず、物理で殴ってみよう」


 力技だけど、とりあえず他に方法が思いつかないから仕方ない。






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