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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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9-39 決着

9-39 決着



「っ! まに! あったーーーーーっ!!」


 何とか地上の穴にたどり着くことができた。

 もし重力飛行でなかったら間違いなく間に合わなかった。

 そしておれが穴から飛び出して、横によけた瞬間、下から噴き出したエネルギーが天に上った。


 どっ、どどどどどどどどどっ

 びしっ! ミシミシミシミシミシ!


《すさまじいエネルギーであります。これの直撃を食らったらマスター殿でもただでは済まなかったでありますよ》


 うん、全くその通り。

 地面から吹きだした火柱は高速で天に駆け上り、上空にあった雲を一瞬で蒸発させ、さらに上へと、瞬く間に伸びていった。


 蜘蛛の高さが2000~3000ぐらいか?

 だとしたら10000メートルまで一秒もかかってないぞ、そのまま伸びていったから成層圏突き抜けてね?


 さすがに冷や汗が出たよ。

 下手したら宇宙に打ち上げられるところだった。


 昔、なにかのアニメで見た地面をくり抜いて上に向いた大砲。


 あの要領で地面深くに落として、穴を利用して衝撃をすべて上に向けたら大丈夫だろう。と思ってこれをやってみたけど、もしこれをやらなければ大陸中に被害が出たかもしれない。

 ごうごうと噴き上げる炎はその熱量や速度からしてほとんどビームといって過言じゃないな。


 そしてもし射線上に月とかあったら打ち落とせたかもしれない。そんなすさまじいビームだった。


 そのビームは周辺の大地を削り、じりじりと太さを増していく。


《広がっているでありますな…》


 モース君の額を汗が流れたように…まあ、精霊だからそれはないか。

 だがこのままではまずいだろうか…何とか…


 そう思うのだが手の打ちようがない。

 これが穢れに属する存在(もの)なら中和とか、相殺とかできるかもしれないが、これはあの怪獣がためにためた普通の魔法だ。

 シールドの魔法でも大して役に立たない。


 となると、避難指示か?


 そんな弱気なことを考えていたらそのビームが唐突に途切れた。

 残滓のような光を空に向けてのこし、そして静寂が戻った。


「さすがに力が抜けた」


 ちょっとへたり込んでもいいと思う。

 爆発したら絶対に助からない爆弾のそばで解体を見守っていたようなものだ。

 できることがなかっただけに手に汗握ってしまったよ。


 もしここに仲間がいたら手を握って飛び跳ねたい気分だ。


《誰もいないでありますよ》


「うん、みんな避難させちゃったからね」


 だって危ないし。

 一応穴の底とか確認したがもう何も残っていなかった。

 怪獣を構成していた邪壊思念も怪獣自身の膨大な魔力で消し飛んでしまったみたいだね。


 本当に何も残っていない。


 一仕事終わったからゆっくりしたいけどそうもいかないのがつらいとこ。

 俺は河馬さん《ベヘモット》を世界の欠片フラグメントから外に出し、感謝を述べた。

 なんと河馬さん、夕日に向かって粛々と去っていく。


 怪獣映画のラストシーンにふさわしい。帰る方向が西でよかった。


「なんか最後に言ってなかったか?」


《なんでも瀕死のドラゴンがいたから治療しておいたって言っていたであります》


「さすが、大地の神獣。生命力的な何かがすごいのかもしれない」


 皇竜オリオが助かったのはよかった。

 完治したらまたこき使おう。


《極悪非道でありますな》


「今はいろいろ余裕がないからね」


 あとは普通に大発生している魔物を駆除すれば一段落だ。


《華芽姫が集めた情報があるであります。それによるとこの辺りが特にやばい感じでありますな》


 モース君が広げられた地図を指し示す。

 特におかしなこともない地区だが、戦力が不足でもしているのかな?


《ハイであります。この辺りは獣人たちの協力を拒んだあたりであります。他にも救援に来てくれたエルフを捕まえようとしたりしたところであります。

 なので獣人もエルフもこの辺りからは完全に手を引いているであります。

 それどころか魔物そっちのけでエルフを追い回して手痛い反撃を受けたりしているでありますな。

 そのせいもあって魔物の大群に対応できていないであります》


 なるほど。


「わかった、じゃあそこは放置で」


《イイでありますか?》


「いいでありますよ。どうせ人死にが出るんなら、歪みのもとにならない人間が生き残ったほうがいいっしょ。

 別に見捨てたりはしないけど、優先順位はあるんだよ」


 というわけで攻撃目標は獣人などの亜人と協力しつつも手が足りていないところが優先だな。

 協力的なところが助かって、邪魔者が減るんだからオールオッケーだ。


「情け容赦がないであります」


 いいのいいの、俺は一人だからね、すべてを救済するなんて所詮は無理なのさ。


「さあ、最後の仕上げだ、いくぞーーーーっ」


《おおーーーーーっ?》


◇・◇・◇・◇


 そこからの展開は早かったね。

 邪神と呼ばれるあの怪獣がいなくなったので魔物が際限なく補充される状態はなくなったからだ。

 それに魔物自体もふつうの魔物になっている。


 上位の戦闘能力を持つものにとって脅威となるような魔物はほとんどいないのだ。

 まして獣王クラスになればほとんど無双状態。


 俺は知らないんだが流歌によれば『まるで無双ゲーを見ているみたい』ということになる。なんかそういうのがあるんだってさ。


 ルトナの周りでは文字通り魔物が蹴散らされて宙を飛び。

 クレオの周りでは動いていた魔物がいきなりズンバラリンと細かく分解して地に撒かれた。

 本当に腕を上げたよね。


 問題はサリアで、王女のくせに前線出ていてやっぱり魔物の群れを蹴散らしていたりする。

 お姫様としては問題あるんじゃないだろうか。


 他にも艶さんたち騎士団のメンバーも無茶苦茶強かったし、勇者ちゃんたちは少し落ちるけど大活躍していた。


 ただ指揮官が不在で、お姫様が飛び出しちゃったから、なぜか俺にお鉢が回ってきて俺が総司令官。

 何かが激しく間違っている気がする。


 俺の代わりにモース君と華芽姫が大活躍して魔物を駆逐している。地面から生える無数の根っことか、二連装の大型バルカン砲とか。ほぼ反則な威力だ。そっちは任せたぞ。


 二日ほどそんな状態が続くと全体としては落ち着きを取り戻してきた。


 問題は差別主義の人たちで、彼らからも救難要請があったが、亜人と呼ばれる獣人、エルフ、ドワーフを受け入れないという連中はやっぱり無視した。

 この機会に差別主義者は叩いておきたい。

 今もって人以外の種族を奴隷扱いして、彼らを盾にして助かろうとかしているのだから同情の余地はないのだ。

 それにそう言った亜人種の人たちはモース君たちが救助してまわっているからほんと無視でOK。


 責任者が以後差別を撤廃すると誓約を立てたところから救援しています。


 それも数日たつと大体収束。結果として差別主義を掲げたまま今回の逢魔時の終息を見た領地もあったけど、全体の一割もないからあとはどうとでもなるだろう。


 こうして今回の大騒動は終息したのだ。

 俺は返ってきたみんなとハイタッチで無事を喜び合った。


 さて、あとは一つだけだ。


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