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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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9-18 予期せぬ再会

9-18 予期せぬ再会



「ご無沙汰しておりますね」


 そう言って軽く頭を下げたのはかつて王国に留学していたテレーザ嬢だ。


「ふむ、デュカー伯爵家のテレーザ殿か、意外なところでお会いするな。

 それとアルフレイディア殿。久方ぶりだの」


 そうそう、そのナンチャラ伯爵家だ。うん、家名までは憶えていなかった。さすがに爺ちゃん伯爵は把握していた。助かったよ。


 そしてもう一人、いつも見ている顔は自分の顔だな。

 瓜二つと言われただけあって確かによく似ている。

 彼がビジュー公爵家のアルフレイディア。俺とは異母兄弟になる…はずなんだが…全く記憶にない。

 うん、顔が同じでなかったら全く分からんな。


「久しぶりだな、ディアストラ」


 ふてくされたような感じで声をかけてくるがなんか笑える。


「ちっ、澄ましやがって! てめえのせいで公爵家(うち)はいい迷惑だ。

 どうしてくれるんだ?

 何がおかしい?」


 つい笑ってしまった。


「すまんすまん、ついこの瞬間まで君の存在をすっかり忘れていたよ。

 直情傾向が強く、闇組織の棟梁に向かないというので嫁さんのテレーザ嬢に実験を奪われたアルフ君だったよね。

 どうするも何も、自分でやったことなんだから自分でどうにかするべきではないかな?

 あー、頼りになるおにいちゃんに頼りたくなる気持ちはわからなくもないが、お兄ちゃんとしては弟の成長のためにここはあえて突き放そうじゃないか。うん、良い考えだ」


「何だとーーーーーーっ!」


 わざとらしく肩を竦めて答えてやるとやっぱり激高した。

 やっぱり暗部のトップには向かないよな。


 身を乗り出すアルフレイディアを制したのは隣に立っていたテレーザだった。

 前に出ようとするところをすっと手を上げてその動きを押しとどめる。

 身分的にはアルフレイディアの方が上なのだからこれはかなり失礼なやり様だ。だがアルフレイディアはそのまま引き下がった。

 つまりこの場で一番偉いのはテレーザということになる。


「うんうん、やっぱりテレーザ嬢は実力があるね」


「恐れ入りますわ。このような形て再会したくはなかったのですけど…

 じつを申しますと、状況を把握できているわけではないのです。

 あなた様をお招きしてお詫びという話でしたのにわたくしが受けた指示は全力で撃退せよというものですの。

 変な話ではあるのですけど、わたくしの立場では任務を忠実に実行するだけですわ。

 申し訳ないのですが、戦っていただきます。そちらもなかなか強い方がおいでのようですから…わたくしもそれなりにやらせていただきますわね」


 そう言うとテレーザの後ろからわらわらと男たちが出て来た。

 全員が同じ顔? という感想を持ちそうなそんな似通った顔をした五人。


「あー、確か、テレーザ嬢の留学の時にいた政策顧問とか言った人だよね、フェリペさんだったっけ?」


「これは、覚えていただけていたとは光栄だ」


 一番前にいたおっさんが慇懃無礼な感じでお辞儀をする。

 また全身タイツだよ。これはマジでやめてほしかった。


「いやーいやーいやー、なにあれ、ハズイ」

「ありえない。恐怖体験」


 あーあ、言っちゃった。仕方ないとは思うけどね。


 ただ帝国の人たちには何のことかわかっていないようだ。

 ほんとこの国の人たちのセンスってひどい。髪型と言い服といい、ちょっと信じられないレベルだよ。このセンスが委員会のせいならば彼らの罪は重いといえるだろう。

 なんちて。


「ふむ、よくわからんが人数も合うようだ。ここは一人ずつ対処するか」


 おっさんが剣を抜き放ち、前に出てくる。


 おっさんの数は5人。こちらは艶さん、ミツヨシさん、流歌と翔子君、俺と伯爵。


「一人合わな……ああ、俺のそっくりさんも来るのか」


「何だと貴様!」


 すぐに激高するそっくりさん。面白い、こういうのを瞬間湯沸かし器とか言ったんだそうだ。

 だが人数は合う、テレーザ嬢は参加しないらしい。


「じゃあ、一対一で、どうします? 一人ずつやりますか?」


 流歌が言う。

 みんな戦闘態勢で武器を用意しているが、俺は流歌と翔子君、伯爵の襟首をつかんで後ろに引いた。


「ぐえっ」


 引き方が悪かった。ゴメン。


「君ら三人は見学ね、君らの実力だと勝てないから」


「「え?」」


 二人はびっくりしたような顔で俺を見ている。伯爵は『むう』とうなりながらではあってもおとなしく下がった。

 自分ではかなり難しいことを理解しているのだろう。


 いやね、伯爵だって強いよ。武人としてかなりのものだと思う。魔物が相手なら結構いい線行ける人だ。ただ相手はどうも暗殺者タイプ。対人戦特化だ。

 ちょっと分が悪いと思う。


 勇者ちゃんたちに関してはもう、経験不足が目に見えている。

 二人ともその場のノリでやる気になっているけど、人間同士の殺し合いという事実を見落としている。勝負が決まってそこで勝負あり。とはならないのだ。


「ほう、ではどうするんだ?」


 先頭のおっさんがそう宣う。


「いや、別に俺一人で全員を相手取っても別に問題ないんだけど…艶さんたちどうします? やります?

 やるんなら一人回しますけど?」


「それがしは参加希望ですな。帝国の暗部には散々手を焼かされてきましたから、そのリーダーとはぜひやってみたい」


「あー、私はどうでもいいかな? という感じです。私の戦い方ですと周囲の被害が…」


 ふーん、そんな感じなのか。話は聞いたことあるけど、実際見たことはないしな。


「よかろう、では一人ずつ倒して全員引きずり出してやる。三号、お前からだ」


「ははっ」


 先頭のおっさんが三号と呼ばれたおっさんを指名した。ミツヨシ君の相手ということらしい。


「あー、ちょっと待って」


 でも俺は止める。


「あんたの相手は俺だよ、一番強いやつを逃すのはもったいないだろ?」


「「「「「!」」」」」」


「三号さん、あんたがリーターのフェリペさんだよ?」


 三号と呼ばれたフェリペ氏が驚いたような顔で俺を見た。

 そしてすぐに険しい顔になる。


 いゃー、だってあんたがこの中で一番臭いんだもの。


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