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いきすぎた健康は異世界チート。行きつく先は・・・  作者: ぼん@ぼおやっじ


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9-12 遺跡攻略戦

9-12 遺跡攻略戦



Side 流歌


「これはなかなか壮観ねえ…」


 艶さんがモニターに映った遺跡の光景を見て感嘆の声を上げた。うなっているのはみんな同じ。

 私たちは現在聖国の中にある遺跡の上空に来ています。


 遺跡は真上から見ると完全にそれ自体が魔法陣のようです。直径は500メートルぐらいで、大きな円形の城壁があり、その中に複雑な形の建物が並んでいるのでそう見えるんたよね。


「というよりあれって本当に魔法陣じゃないの?」


「そうですな、構造物自体が魔法的な効果を持つようです」


「ええ、あの構造物もふつうの建物ではないと思いますよ」


 遺跡という割には痛んでいるような感じもないし、そうなのかも。


「でも向こうはこちらに全く気が付いてないね、これなら楽勝じゃない? フフルちゃん早速一発お願いできる?

 それでおしまいだよ」


「うーん、そんなに簡単に行くかな? それに見た感じかなり小さいよ?」


 モニターの中では機械的な(魔法的?) な観測結果として500mの直径がある。と出ているけど、ここは高空。高度は1000m、かなり離れているから、元が大きいから、豆粒みたいとは言わないけれど、肉眼で見るとそれなりに小さい。


「大丈夫ですよ、魔法で軌道は修正します。周りに影響は出しません。ちょっと計算外でしたけどね」


 何がって遺跡の周りに普通の建物とかがあるんだよね。

 遺跡からある程度距離があるけど、リング状の都市が。

 小さい岩ならともかく、大きいのは危なくて使えない感じ。

 果たしてうまくいくかしら。


「よーし、行っちゃえ」


「はいなの」


 なんて思い切りのいい人たち。

 一発目の岩があっさりと投下された。


 大きさは5mぐらいかな。それが1000mの高さからうなりを上げて遺跡目掛けて落下していく。


「うーん、ちょっとエフェクトが足りない?」


「どんなですか?」


「えっとね、隕石が摩擦熱で真っ赤に燃え上がって、こうね、赤い尾を引いていくような…」


 いやいやいやいや、何を考えているんだ翔子、それは本当にメテオじゃん。

 そう言っている間に岩は見事に遺跡の中心に…


「あっ!」


 その瞬間遺跡を不思議な光が包み、まるで壁に当たったボールのように岩は弾かれてしまった。

 おまけにそれが外周の町の近くに落ちる。


 遺跡の大きさが500だから、遺跡の外縁から町までは1キロぐらいか…あっぶない!


「むむむっ、猪口才な。フフルちゃん、どんどんいくよ」


「まかせるなのー」


 そして二個、三個と投下れる大岩。

 なぜか『ヒュルルルルルルルルッ』という音が聞こえてきそう。


「あー、またなの!」


 しかし岩はまたしてもバリアのような何かではじかれてしまった。

 町まで届くようなことはなかったけど、肝を冷やすよね。あっ!


「誰か出て来たよ」


 魔動船のモニターの中で人が動いているのが見えた。町ではなく遺跡の中。


「兵士と…ああ、アリスだわ」


「?」


 私の後ろでモニターを見ていた艶さんがそんなことを言う。


「委員会のメンバーね、ここ最近、全く鳴りを潜めていたんだけど…こんなところに引きこもっていたのね…」


 なぜかしみじみとこぼす艶さん。

 何かあるのかな?


 その人はふわふわした感じの女の子で、その女の子は遺跡の外に走り出ると、そこにあった大岩にパンチ一発。


「え? うそ」


 岩は見事に砕けてしまった。

 取れで何をするのかと思ったら、艶さんが警戒を発する。


「きます。気を付けて」


「え?」


 何が? と思っている内にその女の子は砕いて小さくなった岩から一抱えぐらいの岩を、信じられないことにひょいと持ちあげて、船に向かって投げつけてきたじゃありませんか。


「うそでしょ?」


 幸い狙いが外れたのか岩は離れたところを通って空のかなたに…


「って、嘘! ここまで1000mあるのよ」


「クソー負けないぞ」


 こら、何を張り合ってるんだ翔子!

 あんたがそんなに身を乗り出したら逃げられないでしょ。


 上と下で岩の打ち合いになってしまった。

 翔子もコツをつかんだのか魔法で岩の起動をコントロールしている。コントロールして女の子を狙っている。


「こらー、翔子、違う、遺跡よ、遺跡を狙うのよ」


「あー、ダメダメ、遺跡をねらってもはじかれちゃうから、まず敵を黙らせないと」


「そうですね。アリスは…切れやすいから」


「頭に血が上るタイプですな。まあ、危なくなると逃げだすので方針としてはいいと思います」


 そうこうしているうちに船の至近距離を霞める岩が出てき始める。

 1000mでしかも真上に対する遠投なんて無茶をしているせいかコントロールはいまいち。おかげで助かるわけだけど、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで危ない岩もたまにある。


「仕方ないわ、流歌、高度を上げて、あと500ぐらい」


 この翔子の指示は適切だった。

 こちらは投下すれば勝手に加速して落っこちていくけど、相手の岩は重力に逆らっているわけで、1500まで高度を上げたらぎりぎりになった。


 投げられた岩が船と同じ高さまで来てゆっくり静止し、それが反転して落ちていくさまにみんなが拍手を送ったりした。

 私以外。

 私まともだよね?


 ただらちが明かないのもたしか。

 こちらの攻撃もあちらの攻撃も全く意味がない。


「いいえ、そんなことはないですよ、とても意味があったわ。一番の大岩を落としましょう」


「ふえっ?」


 びっくりした。


「でででもそれだと町が、町に住む人が…」


 確かにこの遺跡は混乱の元と言えるよね、壊した方がいいと思う、でも、そこまでして…。


「落ち着いて、よく見て」


 そう言うと艶さんは地上の映像をいじっていくつかの場所を詳しく見せてくれた。

 なんか所か切り替えて地表の拡大映像を見て、わかった。


「この町…作りものなんだ…」


 町のように見えるそれはほとんどが無人で、人がいてもそれは兵士ばかり。

 大きな非行型の魔物に乗って飛び立ち、こっちに向かってきている。

 届くかどうかは知らないけど。


 そして町のなか、岩の応酬で図らずも壊れた建物の中には生活臭が全くなかった。ただの張りぼて。

 当然逃げ惑う人も、生活する人もいない。


「なんでこんな町を…」


「わかりません、昔はつかっていたのか、それともこの町自体が遺跡なのか…。

 ただ分かっているのは大岩を落としてもふつうの人には被害は出ないということ…」


「わかりました、やりましょう」


 翔子がこっちを見て親指を立てている。

 艶さんはこれを決める前に相談してくれたのだ。

 かってにゴーサインをだすこともできたのに。


「よーし、フフルちゃん、行くよ!」


「任せるなの!

 流歌ちゃん、岩が大きくて軌道の修正が利かないからもっと横に移動してなの」


 フフルちゃんの指示に従って船を横に滑らせる。 そして…


「いっくのーーーー」


 全長二キロもある巨大な岩がついに姿を現した。

 まるでスローモーションみたいにゆっくりと落下を始める巨大隕石。


 もし、大気圏外からこれを落としていたら、本当に大絶滅みたいなことになったかもしれない。惑星規模じゃなくてもこの大陸規模で。

 でもこの程度の高度なら摩擦で火を噴くほどじゃないでしょう。


 岩はまっすぐに落ちていく。

 落下点は遺跡から少し外れたみたい。でも岩が大きいから遺跡も当然岩の下。

 それよりもずれたのがよかったみたいで遺跡のバリアは岩を受け止めて見せたんだけど岩の中心は遺跡の脇に落っこちた。

 大きく地面にめり込み、地盤が掘り返される。

 掘り返され、あるいは崩れ落ち、ひっくり返る遺跡、

 万能と思えたバリアも地盤ごとひっくり返されては意味がなかったみたい。

 遺跡もついに崩れていく。


「みんな戻って、ハッチを絞めて離れて」


 大慌てで言われた通りにすると次いで巨大な風が襲ってきた。


 艶さんは魔動船に防御魔法をかけまくり、翔子もそれに続き、私は操縦かんにかじりつく。

 私たちはぐるぐると風に翻弄されてその場から吹き飛ばされていった。



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