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5章―08
「あっ!殿下、ちょっと、ちょっとだけ、ここにいてくだいね」
そう言い終るが先か、ティムが部屋から消えた。
「……家でもあんな感じなのか」
広い客間にこの距離で殿下がいるだなんて、凄い事よね。
見上げると、殿下は至って普通みたいな顔をしている。
「どんな時で彼らしい人ですわ」
「それは褒めてないな」
クスクスと殿下は口元を指で隠して笑う。
「立っていないで座ろう。ティムの事だ。いつ戻ってくるかわからんからな」
流石、長い付き合いなだけあるわね。
殿下が座った後、私も勧められたソファに腰かける。
「本人がいないうちにティムの昔話しでもしないか?こんな話を出来る人なんて限られているからな」
緊張している私を気遣っての言葉よね?
「えぇ、私で良ければ」
私はにこやかな笑みを返す。
どうやら私は、私が思っている以上に負けず嫌いなようね。
なんでもないような顔で殿下と談笑する私に、自分でもびっくりしたのだった。




