4章―03
私は正直者のティムに優しく微笑んだ後、部屋の戸を開け「アントニオ!今すぐ伝授して頂きたい事がありますの!」と、ドレスの裾を持ち上げて階段を駆け足で下りる。
「ちょっ、ネル、待ってよ!」
ティムはこれまた泣きそうな声で追いかけてきた。
ほぼ同時に一階に着くと、にこやかな笑みを浮かべたアントニオに「お行儀が悪いですよ。お二人ともお幾つになられたんですか?」と、二人揃ってお説教される羽目に……。
ティムが元凶ですのに。
彼を見ると"怒られちゃったね"といつもの笑みを返してくる。
もう怒る気にもなれませんわ。
「お嬢様、笑っていますが、私の話を聞いていましたか?」
笑ってなんかないわよ。
むっとする私の隣で、ティムが笑う。
「ティム様もですよ。二人してアイコンタクトを取って、仲が良いのは分かりましたが、どちらも大人気ない行動は謹んで下さい。第一、お二人とも……」
アントニオのお説教長そうね……。
ちょっと聞き流せないところがありましたけど、今は黙っていましょう。
黙って俯いていると、ティムの指がアントニオの方を秘かに指している。
反省を表現する為に眉を下げ、アントニオの方に顔を向ける。
すると、彼の背後のステンドグラスから差し込む色彩豊かな光が見えた。
ティムのせいでお説されているのだけど、良いものが見れたわ。
私はアントニオのお説教が終わるまで、その柔らかな光を眺めていたのだった。




