世界の中心で不条理を叫ぶ
「む~~!」
「ジーッ。」
「な、何?どした?」
椅子に座らされ、周りを取り囲まれ、みんなに睨み付けられる司。さながら取り調べのような、品定めのような窮屈感。
「証拠は上がってるんだ、とっとと白状しろぉ!」
「なぜ妾たちを連れていかないのじゃ!?」
「置いてきぼりは勘弁ですよ~!」
所有付喪神たちからの猛攻に目が回る。
パンパンッ!
鬼さんこちら、手の鳴る方へ、と振り向けば、手を叩いていたのは、鬼…の形相の紫織。
「黙りなさい…。それとも、永遠に黙らせてあげましょうか?」
絶対零度!いちげきひっさつ!司は、目の前がまっくらになった。って、違う!
「紫織、発言権を求めたいんだけど。」
「許可します、何でしょうか?」
「俺って、たくさん付喪神、所有してるじゃん?」
「ええ。」
「全員持っていくのは、何かと大変なんだよ…。それでいて、使わないときもあるだろ?そういうムダがないように、ガントレットを開発したわけで…、しかも俺専用のやつを。」
司専用装備、サモンズ・ガントレット。タッチパネルで、好きな付喪神を召喚できる。魔法陣を通して、付喪神と司のリンクを起こし、召喚を実現している。開発には、相当の資金と時間を投資している。使わなきゃ元がとれん。
「分かりました、百歩千歩譲って、ガントレットを使うのはいいでしょう。」
ほっ…。
「しかし、主人は、私たちがいないと神モードになれない。」
うっ…。
「人間モードも強いとはいえ、不安が残るのも事実じゃ。」
ぐっ…。
「ですから、早めに呼んでいただきたかったんですが~。」
かはっ…。
「「「「毎回、呼ぶのが遅すぎ!!」」」」
うぎゃっ!
付喪神四人のコーラスは、司に、重くのしかかったのである。
司の体は、どうあがいても、単体では人間でしかないのだ。一応、肉体は神仕様だから、傷ついてもすぐに回復する。でも、パワー、スピードなんかは、人間だった頃の力に抑えられている。そこに付喪神というキーがあって初めて、神としての力を解放できる。
付喪神の精神が第1段階のキー。精神融合によって、人間界を壊さない程度に力を抑えた、神モードに変身できる。これを神化と呼ぶ。
更に付喪神の肉体を融合すると、更なる力、真・神モードへと進化する。これを覚醒神化と呼ぶ。これは、神本来の力であり、滅多なことがないと解放しない。人間界を滅亡させてしまうからだ。
面倒だが、成り上がりの神である以上はしょうがない。アマテラスとかスサノオは、常に真・神モードだけどな。もちろん、真・神モードだって本気とか軽気はあるから、歩くだけで天変地異とかそういうことではないけど。それにしたって、軽気でも地図の形を国単位で変えてしまうほどの力はある。
「分かった。次からは、こういうことはないようにする。それでいいか?」
「口だけでは、何とでも言えますよね?」
「…どうしろと?」
「損害賠償請求…コレでけりをつけるのはどうだ?」
刀華の指はまーるい輪っかを作っていた。
「金かよ!?お前ら、小遣いは渡してるだろ?」
付喪神だって女の子。化粧やおしゃれだってする。その分はきっちり渡してあるのだ。
「なあに、現物でも構わんのじゃぞ?」
「例えば…高天原名物、神プリンとか~。神ケーキとか~。食べたかったんですよね~。」
ヨダレを垂らしながらニヤニヤ。これは完全に買う流れだ。ただあれは、美味しさと引き換えに、目ん玉が飛び出て宙返りするほど高い。それを買えるのは、一部の上流階級の神たちだけだ。それを買えとは、体のいい死刑宣告ではないか。
「ええっと、財布財布…。…うおっギリギリ、マジでギリギリ…。これじゃあ、好きなものも買えね…あっ、こら!」
「頂いておきますね、司さん。さあ、買い物に行きますよ!」
「すまんな、主人。」
「安心せい、お主の分も買ってきてやる。」
「楽しみですね~。」
全員、俺を残して、ドカドカと出掛けてしまった。
「待てーっ!コラー!勝手に持って行くなー!」
今日も今日とて騒がしい。司の苦労はまだまだ続く。




