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魔導書使いの調伏師  作者: 和泉ふみん
第二章 司、調伏師として全国を巡る
28/38

アイアムア神~司とゆかいな仲間たち~

やっぱり我慢できずに投稿してしまいました。次こそは、ホントのホントに受験明けにします。応援よろしくお願いします。

いつかどこかで、誰かが言った。この世のモノには、魂が宿ると。


またいつかどこかで、誰かが言った。人の姿を取り、人と共存するモノがいると。


いつかどこかで、皆が言った。その名を、付喪神と。







「ハアッ!テヤアッ!!」


「グギイィィイ!!」


巨大なムカデの化け物。人の住む街からそう遠くない、この山に住む妖怪だ。昔と違い、今は夜でも街に人が多い。ここで食い止めないと、甚大な被害が出る。


火拳(フレイムフィスト)ォ!!」


「グギャギァアァ…ァ…ア」


火を纏わせた拳を、腹に叩き込まれて息絶えたムカデ。

倒した男は、ムカデに近づきカードをかざす。


ムカデの死骸は、分解されてカードに吸い込まれた。それこそ跡形もなく。


「ふぅ。討伐完了。お疲れ、紫織。」


ボフンッ!


懐から本が飛び出し、煙と共に人の姿となった。


「お疲れさまです、司さん。今日のは、ちょっと手強かったですね。」


紫色の目に、紫色の髪の少女。着物が似合う大和撫子だ。


片や男は、神御衣(かむみぞ)、平安時代の水干をイメージしてもらうと、分かりやすいだろうか、そんな服を着ている、銀髪の中性的な美少年。


「何分デカイからな。見た目も気持ち悪いし。さて回収したし、帰るか。」


「はい。」


浮遊(フロート)。」


二人の体は宙に浮き、そのまま夜空に吸い込まれていった。





「たっだいま~。」


「お帰りなさいませ、依頼は達成できましたか?」


「当然、ちゃんと回収してきたぜ。ほれ。」


事務のお姉さんに、カードを渡す。


「確かに。しっかし、司さんもスゴいですよねー。」


「何が?」


「だって、人間社会の発展を見越して、こんなカード作っちゃうんですもん。近い将来、人間は霊的なものを信じなくなるとか、調伏師の育成機関を作った方がいいとか、今までに誰も思い付いてませんでしたからね。今までの調伏師の技術の伝承は、全部口伝でしたし、なんちゃって調伏師も、一部にはいましたし。先見の明ありすぎです、ヤバイです。」


調伏師専用多機能型データカード。司の発明品だ。全国の調伏師に配られている。



お姉さんは、興奮した様子で続ける。


「このカードだって、調伏師のランクを表すばかりか、倒した妖怪の体をエネルギーに分解して吸収、日本各地の関連施設へのパスカードにもなる、超万能アイテムじゃないですか。元人間なのに、こんなことできちゃうなんて、やっぱりスゴいです。」


「まあ、それほどでも…あるかな?」


司はまんざらでもなさそうに、はにかむ。


「ククリ~。この書類お願い。あら、司さん。帰ってきてたんですね。」


「アマテラス。無事、帰って参りました。」


書類を持ってきた、目の下にクマができた神。彼女こそ、日本の神のトップ、天照大神だ。このクマは、もちろん仕事…ではなく、


「また徹夜でゲームか?」


「あはは、イベント期間だったので…。」


今の時代は、アマテラスにとって、魅力的すぎる時代だ。科学技術が発展し、スマホやゲーム機が進化したため、娯楽が増えたのだ。そんなものを、アマテラスが放っておくわけがなく、何台ものゲーム専用スマホや、パソコンテレビを抱え込み、日夜ゲームに励んでいる。


「俺が人間だった頃は、こんなのなかったんだけど。お前がやってたゲームは、タカミムスヒが作ってたんだろ?」


高御産巣日神。物作りと想像力の神だ。とにかく発明好きな神で、姿は見せないくせに、発明品がいつのまにか神の間に出回っている。俺も顔は知らない。


「まあ、あれから200年近く経ちましたしねー。最近は、人間の技術が進化したことに、危機感を抱いているようですね。ゲーム機のサンプルを寄越せとうるさいです。」


「ゲームの話ばかりしてないで、ちゃんと他の書類も出してくださいよ。まだまだ溜まってるんですからね。」


「ククリの意地悪~。私一番偉いんだよ?」


「あなたの給料はどこから?」


「うっ、じ、事務から…。」


「じゃあ、事務長官である私のさじ加減ですよね?」


「はい…。仕事します…。ではまた、司さん…。」


「頑張ってこいよ…。」


トボトボと歩く姿には、威厳など欠片もなかった。



「働かざる者食うべからずです。人間に働くように言っておいて、神が働かないなんて、許されないことです。」


「正しいこと言ってるのに、何となく悲しくなるよね、あれ見てると。」


「気の持ちようです。」


「そう…。じゃあ、俺は皆のところに戻るわ。何かあったら、またよろしく。」


「お疲れさまでーす。」






「ただいま。」


「おお、主人よ、帰ったか!見てくれ、主人のために手作りしたのだぞ!」


チャイナドレスみたいな、足に深いスリットの入った服を着て、その上からエプロンを重ねるコーデで、俺を出迎えてくれたのは、ウチのお色気担当、刀華だ。ムチムチの体は、正直、下半身に熱がこもる。


「お、旨そうなシチュー。刀華が作ったのか?」


「ふっふーん。もちろ…。」


「違うじゃろ、妾が作ったのじゃ。」


「ちょっ、時乃!」


「お主が作ったものは、そこの炭化した黒色のナニカじゃろ。嘘をつくでない。」


巫女服姿の小学生。快活ながらも、風格のある出で立ち。時乃の指差す先には、フライパンの上で無惨に火炙りに処された、魚とも肉とも分からぬ、黒こげの物体が。


「こりゃあ…。どうしたらこんなことに…。」


「まあ、刀華の家事下手は、今に始まったことじゃありませんから。」


紫織も苦笑ぎみだ。


「その点、妾は役に立っておると言えような?こんな失敗は絶対にせぬ。」


時乃は、ない胸を張る。


「ううえ…。」


声にならない呻きをあげ、落ち込む刀華。



「元気出してください~。私も下手ですから~。一緒に練習しましょう~!」


「うええ~!玻璃~!」


刀華をあやすのは、お母さん…じゃなかった、ふわふわオーラ全開の玻璃だ。眼鏡をかけた、タレ目のお姉さん。童貞を殺すと言われる、ブラウスとハイウエストスカートの組合わせ。無論彼女に、そんな気はないのだが。というのも彼女は、優しい、とにかく優しい。それでいて芯が通った部分があるのだ。あまり見せないけれど。


「そんなことより、早よう食事にするのじゃ。せっかく作ったのに、冷めてしもうてはかなわん。」


「そうだな、いただくとしますか。」


温かい食事と、仲間たちとの楽しいひととき。高天原での日々は、こうして過ぎていくのだった。


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