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洗脳ループ 攻略完了?

 「ねぇねぇしゅりち」

 「なによ、ゆるり」

 「もうさぁ……諦めたら?」


 現在、3時間目。

 体育。


 幸いな事に、ウチの精神は正常だ。

 今日はまだ洗脳されてない。


 ただ、それ以上に大変な事が。


 「あらあら!!授業であっても、遊びであっても勝負事に全力なのは良い事ですわ!!」

 「全くです。ゆるりさんは最近たるんでます。この勝負を機会に、もっと頑張ってみてはいかかでしょう?」


 授業で始まったドッジボールの試合。

 自陣コートにはウチとゆるり。

 そして、相手コートに居るのがー


 「さぁ行きますわよ!!」


 某速球を当たり前に投げて来る統香(とうか)と。


 「外野の皆さん。何人かは遠くで待機してください。そこ位置であれば統香(とうか)さんのボールを楽に取れます」


 外野に的確な指示を伝える委員長。


 「勝ち目なくない?」

 「それはそうかもしれないけど」

 「けど?」

 「負けそうだからって諦めるのはムカつくわ!!」

 「嘘でしょ、しゅりち」


 あったり前でしょうが!!

 絶対口には出せないけど、ウチはそもそもこの学校が洗脳されている事に対してストレスたまってんのよ!!


 そのうえでドッジボールまで負けてみなさい!!

 もう感情が爆発して大変な事になるわよ!!


 「でもさぁ……この剛速球の雨、どうやって突破するつもり?」

 

 まず、ウチたちにボールが回ってこないのは委員長の指示が的確だからよ。

 外野が素早くボールを回収するから息する暇がない。


 だから、委員長を先に落とす。


 「いやいや、れっかちを落とすにしてもボール取れないじゃん」

 「それをどうするか今考えてるの!!」

 「無謀すぎるぅ……ゆるりと降参してゆっくりしようよ」


 いや、ゆるりの言う通りなんだけど。

 ゆるりの言う通りの降参するのはこう……人間として終わる気がするから絶対嫌!!


 「朱里ちゃん」


 ウチの外野から?

 モモの声?


 「こっちよぉ」


 よく見たらサイン出してる。


 「さぁ、これで終わりにいたしますわ!!」


 統香(とうか)がボールを投げる直前で出したサイン。

 もしかして……モモったら、統香(とうか)の投げるボールの軌道が分かるの?


 「一か八か」

 「え?しゅりち??」


 モモの指さした場所に行って……ってボールはっや!!

 もう取る構えに移行しないと!!


 「ぐぅぅぅぅ」


 おっっっも。

 統香(とうか)の奴、どんなパワーで投げてんのよ。


 でも、取った!!


 「良く止めましたわね朱里。でも、それだけでわたくしたちを止められると思ったら大間違いですわ」

 「言ってなさい!!こっからはウチ達のターンよ!!」



 「結局負けた」

 「まぁまぁ朱里ちゃん。ナイスファイトだったわよぉ」


 昼休み。

 ウチは(みのり)とモモに慰められながらお昼をしていた。


 「赤山さん!!辛いときはご飯を食べましょう。ご飯は最高にコスパの良いストレス解消法です」

 「(みのり)はホント食べるの好きね」

 「はい。食べ物とネットだけが私の生きる糧ですから」


 菓子パン。

 弁当箱。

 お菓子の袋。

 購買の総菜パン。

 カップラーメン。


 どれだけ食べる気よ。

 将来糖尿病になるわよ。


 「いいわねぇ(みのり)ちゃん。これだけ食べてるのにこんなに痩せてて」

 「へやぁ?!淡野(あわの)さん、急におなか触るのはくすぐったいですよ」

 「栄養は胸の方に行ってるのかしら?」


 モモがまたセクハラかましてるわね。

 それはともかくとして……ウチはまだ正気、よね?


 位置が好きな男のタイプは……ガチムチ。

 財人は……ウチを洗脳してるスルメ男!!


 よし、正常ね。

 洗脳耐性が強くなった証拠よ。


 今は昼。

 いつもは午後になったら洗脳されてた。


 ここからが本番よ。

 少しの違和感も逃しちゃいけないわ。

 

 どのタイミングで、どんな方法で、洗脳ループを起こしてるのか探るんだから。



 もう四限目ね。

 まだウチは正常。

 想定しているより、洗脳タイミングが遅いのかしら?




 もう……放課後。

 ウチはまだ正常。


 特に変わったことは無い。


 「何の違和感も無かった」


 気を抜いたつもりは無い。

 でも、思い返しても何もなかった。


 誰かに不意に接触された記憶もない。

 記憶が消された感じもしない。


 「朱里ちゃん」

 「わぁ!!なんだモモか。びっくりした」

 「ごめんなさいね。渡したいものがあって」

 「渡したいもの??」


 モモはそう言うと、バックから箱を取り出した。

 ドラックストアなどで売っている、頭痛に効く薬だ。


 「余計なお世話だったら捨てていいわよぉ。ただ、朱里ちゃんの低血圧、今日は一番としんどそうだったから」

 「そ、そう?」


 モモがこういうって事は間違いない。

 ウチは今日、一日中洗脳されていなかった。


 「ありがと。ちょっと試してみる」

 「それがいいわぁ。また明日ね」



 あれから数日。

 ウチが学校で再洗脳されることは無くなった。


 「洗脳ループは切り抜けた……けど、変なタイミングで抜けたせいで洗脳ループ開始のタイミングが分からなくなった」


 多分、洗脳に対する耐性が一気に上がったんだ。

 だから、ここ数日は洗脳ループに対抗できるようになった。


 「困ったわねぇ」


 ループを抜けたのは良い。

 財人からの言及がない以上、ウチの洗脳が解けている事もばれてない。


 それが本当に良いんだけど。

 なまじ洗脳がきかなくなったせいで、逆に洗脳ループに迫れなくなった。


 「どう立て直すか」


 想像以上に厄介だわ。

 この洗脳ハーレム学園は。


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