作戦会議 その1
洗脳ループから抜けて、一週間。
ウチは洗脳されたふりを続けた学園に潜入し続けた。
洗脳ループの開始タイミングこそ分からなくなったけど、格段に学園を調べる時間は増えた。
これならすぐに財人の悪行を見つける。
そう……意気込んでいたのだけど。
「何の成果も……得られなかった」
本当にどうなってんのよ。
本当に新しい情報を得られなかった。
しいて言うなら、洗脳ループが何かしらの形でシステム化されてるっぽいことぐらいかしらね。
正気になって気づいたけど、誰かが露骨に洗脳装置とかを使うそぶりは無かった。
以前、財人や実に見せてもらった漫画みたいに『スマホを見せる』だの『五円玉を揺らす』だの『超能力を使うそぶりを見せる』みたいなパターンじゃない。
「いったん……今の情報をまとめた方が良さそうね」
多分、ストレスと焦りで良くない状態になってるわね。
落ち着けウチ。
この学園の異常に気付いてるのはウチだけなんだから。
「今分かっている事を纏めると……こんな感じよね」
◇
・学園の生徒は皆縁欲財人が大好きになる洗脳をかけられている。
・洗脳は頭を打つなどの簡単な衝撃で解ける事もあるが、その場合強力な睡魔に襲われてしまい、翌日にはまた洗脳状態に戻ってしまう。
・一度完全に正気に戻ったとしても、学園で生活している間に再度洗脳される。
・午前中は正気で居られるが、午後には洗脳が完了する。
・洗脳される前後の記憶があやふやになる為、どのタイミングで洗脳されたか分からない。
・学園には生徒を洗脳し続ける仕組みが存在する可能性が高い。
・ウチは現在、洗脳に対する耐性を持っている。
・どうやって耐性ができるかは不明だが、洗脳を解き続けた結果得た可能性が高い。
・モモはウチが洗脳されているかどうかを無意識の内に判別できる。
・現状、学園外では洗脳される心配はない。
◇
う~ん。
改めてもとんでもない。
振り返るだけでクラクラしそうだけど、そうも言っていられない。
「ウチが今一番知りたいのは、どうやって洗脳を行ってるか」
それさえ分かれば一気に対策が立てられる。
洗脳ループに対する切り札になるし、何なら一気にみんなの洗脳を解ける可能性だってある。
「でも、それをウチ一人では見つけられなかった」
一週間よ。
一週間もあって何の進展も無かった。
この事実は重い。
ウチの洗脳耐性だって、どこまで信頼して良いものか分からない以上は時間をかけられない。
「賭けに出るしかないか」
誰か一人、事情を話して仲間に引き入れる。
ウチの感覚になるけど、六華のメンバーは全員洗脳されているはずだ。
『洗脳……財人 、アンタ一体何を』
『大丈夫だよ、朱里さん。君もすぐ、元に戻れる』
あれだけ騒がしかった教室が一瞬で静かになったあの日の光景がその証拠。
六華の連中も、先生も、生徒も、皆黙ってその場に突っ立ってウチにハーレムがどうとかまくし立ててきたからね。
大きな動きを見せて、財人……もといいこの洗脳の黒幕にバレる訳には行かない。
だから一人。
六華の誰かを学校外で遊びに誘ってこっちに引きいれる。
「問題は……誰を仲間に引き入れる」




