表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】傷だらけのGOD MARAの呪い 氷結のサバイバル!  作者: 吉田真一
第10章 Vale tudo(バーリートゥード/決死の潜入)
50/523

第3話 タイマン

ザワザワザワ......


気付けば2人の回りには何層もの人の輪が。即席リングの完成だ。


「◎?〃$★△♀!(なんだ、お前やろうってのか?!)」


ポキポキポキッ。指の関節を鳴らしながら、酔っ払いは既に臨戦態勢。いつでも来やがれ!......仕草がそのように語っている。


一方、『ブルドーザーマルコ』なる大男はと言うと、酔っ払いとは正反対。


「......」


口数は少ない。と言うよりか無言。しかし顔は赤身を帯び、バシッ! 見事なファイティングポーズを決めてみせる。


「マルコ、やっちまえ!」


「酔っ払い! 逃げるなよ!」


ワァー、ワァー、ワァー......


ガヤガヤガヤ......


いつの間にかリングと化したパブは、異常なまでの熱気に包まれている。日本人であろうが、ロシア人であろうが、一般人であろうが、『ヴァローナ』であろうが、酒が入って大騒ぎしたくなる気持ちは万人共通なのであろう。


そして、最初に口火を切ったのは、酔っ払いだった。


「ほれっ!」


バシッ!


目にも止まらぬスピードで放たれた酔っ払いの拳は、見事マルコのボディに炸裂!


しかしマルコは、ニヤリ。痛がる素振りを見せるどころか不敵な笑みすら浮かべている。


全然効かねーな......フッ、フッ、フッ。その表情は、正にそんな言葉を語っていた。すると今度は、


パシッ! マルコの大きな手の平が酔っ払いの顔面を叩き落とす。日本でお馴染みの『ピンタ』だ!



「うわぁ!」


ガクンッ。目にも止まらぬマルコの強烈な『ピンタ』に、思わず膝が崩れそうになる酔っ払い。


しかし、よろけながらもギリギリの所で踏み止まる。


「オー、こいつマルコの張り手で落ちなかったぞ! いい根性してるな」


「でも、次で終わりだろ。もうへべれけじゃねえか」


見れば酔っ払いの足は酔っ払いに相応しく、見事なまでにフラついている。やはり大男の『ピンタ』は強烈だったようだ。しかし酔っ払いも負けてはいない。


「くそっタレが! うりゃあ!」


バコンッ!


渾身の右ストレートがマルコの顔面にクリティカルヒット! すると......


ペキッ。前歯が宙を舞う。思わず地べたに膝を付くマルコだった。さすがにこの一撃は効いたようだ。


「フンガーッ......」


しかし直ぐに立ち上がり、ファイティングポーズ。まだまだ戦意は喪失していない!


「さすがマルコだ! 立ち上がったぞ!」


「次で決まりだ!」


ギャラリーの興奮は正に最高潮。皆、二人の激闘を見ながら一喜一憂を繰り返していた。よくよく見ていると、どうやら......

互いに1発づつノーガードで攻撃を受けると言うルールが暗黙の了解で出来上がってるいるみたいだ。


と言う事は、順番でいくと次はマルコの攻撃と言う事になる。


「ンガガガガー!」


マルコは意味不明の雄叫びを上げると、次の瞬間には酔っ払いの喉元をグローブのような大きな手で鷲掴み。そして、酔っ払いの身体を明後日の方角に投げ飛ばす!


「テヤッー!」


すると、酔っ払いの身体は天と地が逆さとなり、そのまま壁に激突!


バゴーン! ズルズルズル......


気付けば、酔っ払いは仰向けに倒れピクリとも動かない。余りの衝撃に、店が未だガタガタと揺れている。壁に穴が開かなかったのが奇跡にも思える。


「よし、マルコの勝ちだ!」


「2万ルーブル貰い!」


「なんだ、酔っ払いもうちょっと頑張るかと思ったんだがな」


誰もが酔っ払いの敗北を確信したそのときだった。


「◎?〃$★△♀!(待った、待った......まだ終わりじゃないぞ!)」


それは誰もが目を疑う光景だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ