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【完結済】傷だらけのGOD MARAの呪い 氷結のサバイバル!  作者: 吉田真一
第10章 Vale tudo(バーリートゥード/決死の潜入)
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第2話 挑発

やかん達は勢いよく立ち上がる。そして遂に、行き場を失った蒸気の解放がスタートした!


「「テメー、ぶっ殺してやる!」


4人は揃ってビーチフラッグの如く、酔っ払いの元へと猛ダッシュ。4つの拳が竜巻を引き起こす!


たかが酔っ払い1人に4人で襲い掛かる『ヴァローナ』......最早、治外法権と化したこのパブにおいて、彼らはその者を殺す事に何の躊躇も無かった。標的たるその者は虫ケラ以外の何者でも無い。


殴って、殴って、殴り殺してやる! 炎に包まれたオーロラビジョンには、そんなテロップがエンドレスで流れ始めた。


「とうりゃあー!」


バタンッ!


バタンッ!


「てやーっ!」


ガチャン!


バタバタッ!


「こんちきしょーっ!」


ドカンッ!


ピキピキッ!


けたたましい掛け声と共に、激しく飛び交う拳の連打。テーブルはひっくり返り、椅子は吹っ飛び、ボトルはまとめて床に落ちる。ガッチャーン! ドボドボドボ......


気付けば、まるで地震が起きたかのように、店がガタガタと揺れていた。一人の酔っ払いを殴るのに、そこまで激しく店を破壊する必要も無かろう。などと一瞬思ったりもしたが、実際には想像を覆す信じられない光景がそこには広がっていたのである。店内狭しとそこらじゅうに散乱していた物と言えば、テーブル、椅子、ボトル、グラス、カード、紙幣......


そして、なんと! 意識を失った『ヴァローナ』の4人だった。1人は鼻が潰れ、1人は顎が陥没し、1人は、歯が全て折れ、1人は『お岩さん』に変装。そんな4人を

上から見下ろすその者は、なおも右手に一升瓶。まさか左手1本でこの屈強な男達4人を倒したとでも言うのだろうか? それはまるで幻を見ているような光景だった。


「◎?〃$★△♀!(なんだなんだ?『ヴァローナ』だか何だか知らんが、テメーら弱っちいな。誰か1人くらい俺とタイマン張れる奴は居ねーのか?!)」


その者はニタニタ笑いながら、倒れたリーダーの頭に靴の踵を乗せ、暴言を撒き散らす。この酔っ払い......まだ飽き足らないと言うのだろうか?


その行為は、更なる喧嘩を誘発する行為以外の何物でも無かった。何事も程々が良いと人は思うものだが、この男の広辞苑に『程々』と言う言葉は載っていないらしい。


よくよく見てみれば、その男の顔は明らかに素面だった。一升瓶を持っているのも演技。フラついているのも演技。そして、テーブルをひっくり返した事すらも演技に他ならなかったのである。


一体、何の意図があってそんな仁侠映画の主役を演じるのか? それは全くもって意味不明。理解に苦しむ行為と言わざるを得ない。


すると、カタン。突如、一番奥のカウンターでそれまで静かに飲んでいた男が立ち上がった。見れば、熊と見紛う程の大男。身長2メートル超。体重は優に100キロは超えているだろう。


「......」


その者は、無言でツカツカと一升瓶を持った男の元へと近付いていく。右手の甲には、当たり前の如く『カラス』の紋章が。大男が一体なぜ突然歩き始めたのか? その理由は、最早一つしか考えられない。そこに居合わせた誰もが分かる事だった。


すると、ギャラリーが俄かに騒ぎ出し始める。


「おっと!『ブルドーザーマルコ』が立ち上がったぞ。こりゃあ......酔っ払いと一騎打ちだ!」


「そいつは面白れ~や! お前はどっちに賭ける?!」


「そりゃあマルコだろ。なんせ100戦100勝100KOの実績だからな!」


「いや、分からんぞ。この酔っ払いも左手1本で4人をあっと言う間にKOだ。俺は酔っ払いに1万ルーブルだ!」


「俺はマルコに2万ルーブル!」


「俺は酔っ払いに3万ルーブル!」



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