46.雅斗と幼馴染
放課後。
いつもなら真っ先に隣の教室に向かっている頃なのに、俺の脚は固まってしまったのように机から動かない。
頭に浮かぶのは昼休みの事。
北条帝――って言うあの野郎が言っていたこと…。
「どーした?元気なくね?」
「…奏」
考え事をして周りの事など一切見ていなかった俺の隣に立っていたのは、奏こと本名簪奏司郎と言う、俺の幼馴染だ。まぁ…幼馴染と言ってもお互いにただの腐れ縁だと思っているが。
「嫉妬か?」
「――っ!んな訳な…」
「図星かぁ〜。雅斗、男の嫉妬は女には見せるなよ?」
俺の否定の言葉に被せるように、奏は意味ありげにそんな事を言う。
俺の知り合いの中で俺にここまでズバズバものを言うのコイツしかいない。
まぁそれはそれで面白い関係ではあるんだが。
「…どういう事だよ?」
「好かれてると思うんならドッシリ構えてるのが男ってもんだろ?胸中がどうであれ…さ」
そういって不敵に笑う奏。
コイツの言ってる事は多分実体験だろう。
俺ほど派手ではなかったが、過去の俺ぐらい色んな女と遊んでいる奴だからな、こいつ。
「で?何があったわけ?話聞いてやるから話せよ」
「誰がお前なん…」
「雅斗と違ってトラブルには慣れてるからいいアドバイス出来るかもよ?」
「…」
さすが幼馴染というべきか、抑える所はしっかりと押さえている。
俺の所には一夜限りでも構わないから傍にいたいという類の女が集まっていたが、奏の周りに集まっていた女は総じて自分が奏の一番になりたいと思う女ばかり。
つまり、女同士がはち合わせて修羅場なんて頻繁に起こる訳だから、奏は昔から男女のトラブルにはかなり強いのだ。
俺の中で天秤が揺れる。
あの野郎の言動に対する悩みと自分のプライド。
結果はすぐに決した。
そして俺は奏に先ほどの事を掻い摘んで説明したのだ。
そして、そんな説明が一通り終わった後。
「…雅斗…お前本命には女々しいのな」
その一言で今後一切コイツに相談なんかしないと固く誓ったのだった。
遅れてしまい申し訳ありません。。。
それに伴って来月から会社内勤務から会社外勤務に変わるため、気が向いたときに書く…という形になりそうです。
また更新速度が遅れるかとは思いますが、気長に付き合っていただけると嬉しいです。
では、またいつか。