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28.お姫様抱っこ

本日は珍しく三話更新しています。

先に【27.ボート】をお読み下さい。

第一関門を労せず突破した私達は目の前の情景に呆然と立ち尽くしていた。


「…マヂ?」

「…ありえねぇ」


私達が見つめる先には沢山の人――。

まるでスターのライブでも見に来ているのかと思うぐらいの凄い人数である。

そして大地には真っ赤な絨毯が敷かれ、その両脇には何故かラッパを持った中世のヨーロッパ騎士のような面々が並んでいる。


「…確か…お姫様抱っこですよね?」

「…だな」


この人数の中お姫様抱っこで運ばれるというのは…一生の間でもこんな時ぐらいではないだろうか?

…はっきり言って、ヤリタクナイ――。

けれどそこで立ち止まってた私達の後ろには何組かのペアが到着し、気おされる事無く横抱きをして歩き出していく。

そして私の意見など雅斗が認めるはずもなく、呆然としている間に私の身体がふわっと浮いたかと思うと雅斗に横抱き――つまりお姫様抱っこをされる。


「…恥ずかしかったら俺の胸に顔埋めとけ」


抱き上げた私の耳元でそう呟くように言い放つと、雅斗は事もなげに走り出す。

それにあわせるようにラッパを持っていた面々が一斉にラッパを構え鳴り響かせる。

その光景は中世などの映画やドラマで見た王様の入場とかそういったものに近いように思われる。

こんな事になっている時点で恥ずかしくないわけがない。

…ということで抱き上げられてからずっと顔を埋めていたが、不意に伏せていた顔をあげると、真剣な顔をして前を向いている雅斗の顔が――か、顔がっ――近いっっっっ!!!

一瞬で真っ赤になったであろう頬を隠すように雅斗の胸に顔を埋める。

多分その行動を目の端に捕らえていたのだろう、雅斗の腕が俄かに強くなる。

それがなんだか「見ていたぞ」と言われてるみたいで余計に熱が生まれていく。

周りの歓声とラッパの音でかき消されているはずの雅斗の息遣いだけが聞こえるのは、私が雅斗を意識してしまっているからなのだろう。

長いようで短い疾走を終えると、雅斗は私を静かに下ろす。

そこは、第一関門のゴールから約150メートルの地点。


「い、一気に走ったの!?」

「ん、紗代軽かったし」


そう事も無げにいった雅斗に折角赤みが取れた顔が赤くなっていく。


「あ、茹蛸(笑)」

「ぅ…うるさぃっ!」


そんなやり取りをしながらまたしても返り咲いたトップを死守するべく次の関門へと急ぐ。

二人の先にはカラフルな風船で飾られた第三関門と書かれた門が佇んでいた。

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