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未完成な不良少年たち  作者: 島 洋一
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第九章 高校に行くには

第九章 高校へ行くには

その頃の俺は学校に行くのが楽しかった。学校では常に3年魔怒呂sの連中が交互に2年生に締め上げられている。

「無様」とはこのことだろう。今まで同級生には魔怒呂sに刃向かう者は誰一人居なかった。というより同級生の男達の半分以上が魔怒呂sの傘下に居るので

学校全体が不良の巣窟のようなものだった。そういう学校で上位にの成績を取っていたとしても地方の普通校にやっと入るのが精一杯だった。

私の両親は精肉店を経営してます。朝は早くから食肉を捌きひなびた炭鉱の町で商売をしてる。炭鉱のまち。気性が荒い人が多いのはこの町の特徴でもあった。

愚痴も言わずに両親は

「医者になりなさい。」が口癖だった。

世間では大学の医学部は膨大なお金が掛かるし、一部の富裕層でしか卒業まで億単位で授業料が必要な医学部は通わせることは出来ないというのが通説だとされていた。

そんな金がウチには無いことも知っていた。戯言だと認識していた。

しかし、医者の息子との会話で私は目を見張った。

「国公立の大学医学部は一般の大学と同じ授業料だ。」

「嘘でしょう?医学部だけ高いんじゃ無い?」

「これ見ろ!」と学年一の秀才立石君は蛍雪時代という厚い雑誌を俺に渡した。

立石君の言うとおり特別、医学部だからといって国公立は差別がなかった。


大学はどうやったら入れるんだ?特に医学部は?

「島も医学部志望ね?」

「そうだけど。」

立石君は決して「不可能」とは言わない人だった。彼は休んだ友人がいれば学校での配布物を持って放課後には家まで見舞いがてら顔を出してねぎらう。

長期入院の友人がいればノートを貸してやる。そんな奇特な博愛に満ちた人でした。

そんな彼だけが不良の巣窟で荒れ果てたマンニと不良の世界の軋轢など考えないで「将来」を語り合える無二の存在だった。


立石君は、勉強が出来た。常にこの学校では一番だった。部活などせずに黙々と毎日、中学校の授業を受けた後、塾通いが週七で頑張っていた。

「立石君は親が医者だからお金持ちで医学部はどこでも良いでしょう?」

立石君は真剣な顔で言う。

「俺は九州大学の医学部に行く。」

漠然と九州に住んでると子供の頃から「九州大学」が天才秀才の要るところと認識されていた。不思議だった。昨日まで不良に締め上げられることに危惧して感情を殺して中学生活をしてたのに

「医学部」」の話を聞いた途端に「頑張れば医者にはなれる。」

と転換させる意識改革が行われた。

それこそ”晴天の霹靂”だった。

雷が落ちても私は無知だった。

「どれくらいの成績なら受かるの?」

「武雄高校の一番の人が1年浪人して受かったらしい。」

この武雄高校というのは地方の普通校で学年の半分が国公立大学に受かる ということを学風としている学校だった。

私たちの学校は不良ばかりだから試験は無いと思われたかもしれないが試験は有っていた。

「武雄高校で一番でも難しいということ?」

「東京大学の理科一類、理科二類に匹敵するくらいらしいよ?」

「今からやってないと間に合わないよ!」

「もう。ですか?」

「俺でも遅いかもしれない。」と立石君は言う。


その日から立石君が俺のライバルであり注目すべき「人」となった。


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