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第1話――空の彼方へ響く音

16歳の少年、リクの世界は、決して広くなかった。物心ついた時から、彼の世界のすべては四方の白い壁、時折灰色の空が覗く小さな窓、そして生まれてからずっと横たわっているベッドだけだった。

彼は、他の少年たちのような人生を送ったことがない。友達と走り回ることも、学校へ行くことも、他の人が当たり前のようにする「胸いっぱいに空気を吸い込む」ことすらしたことがなかった。彼の体はガラスのように脆く、その命はいつ切れてもおかしくない細い糸にぶら下がっていた。医師たちは、彼が先天性の不治の病を抱えているのだと言った。彼をこれ以上傷つけないようにと、その言葉はいつも声を潜めるように語られた――本当は、彼自身が誰よりもよく分かっていたというのに。

ピッ……ピッ……と、ベッドの傍らで鳴るモニターの電子音は、彼にとって最も馴染み深いリズムだった。途切れることなく一定の間隔で響くその音は、外の世界を知らずに生きる少年の人生のサウンドトラックだった。なぜ自分なのだろうと、何時間も天井を見つめながら夜を過ごすこともあった。なぜ自分だけが、一人ここで苦しむために生まれてきたのだろう。息をするのも痛い。動くのも痛い。前を向くことすら、心が痛かった。

それでも、彼は完全に孤独だったわけではない。

どれだけ時間が経とうと、どれだけ病状が悪化しようと、決して消えることのない、いつも変わらず温かい「音」があった。

「起きている?」

母はそっと扉を開けて入ってくると、温かい手で彼の茶色い髪を撫でた。ふわりと、いつもの優しい香りが鼻をくすぐる。リクは少しだけ体を動かしてそれに応えた。母はベッドの傍らの椅子に腰を下ろし、彼の痩せこけていつも冷たくなっている手を握る。そして、その小さな手がどこかへ消えてしまわないようにとでも言うように、自分の両手でしっかりと包み込んだ。

毎晩、母は彼のために音楽をかけてくれた。かすかに流れるその優しいメロディーが、冷たかった四角い部屋をたちまち温かい空間に変えてくれる。リクはその曲の名前を知らなかったし、母も教えようとはしなかった。ただ、その曲を聴くたびに、見えない優しい手が自分の手を握り、背中を撫でてくれているような気がした。「怖がらないで。どれほど暗闇の中にいても、この音がずっとそばにいるから」と。

「この曲……どうしてそんなに特別なの?」疲労で掠れた声で、彼が一度尋ねたことがあった。

母は微笑み、その瞳には涙が光っていた。「母さんがあなたと同じくらいの歳の頃、この曲に命を救われたの。もう耐えられないと思った時、この歌が『まだ先には何かがある』って教えてくれたのよ」彼女は彼の手をさらに強く握りしめた。「そして今は、母さんが世界で一番愛している男の子を守ってくれているわ」

リクは目を閉じた。その音楽は、暗い部屋の中を漂う小さな光のように思えた。決して遠くまで照らせるわけではないけれど、確かに自分の進むべき道を照らしてくれる光。自分が重荷になっていることや、生きる機会を与えてくれない世界に対して怒りを感じることもあった。しかし、その音楽が鳴り響くと、すべての感情は静かに溶け去り、後には深い優しさと感謝だけが残った。せめて、この歌に出会えたことへの感謝が。

繰り返されるリズムのように、月日は流れた。リクは成長したが、体は以前よりも弱くなっていった。手足の筋肉は落ち、痛みは決して離れることのない親友のようになった。それでも、暗闇が彼を飲み込もうとするたび、その音楽がいつも彼を救い出してくれた。それは、彼と外の世界を繋ぐ唯一の架け橋であり、彼のすべてだった。

変化は少しずつ、しかし壁に走ったひび割れが確実に広がっていくように明確に訪れた。起きている時間は短くなり、痛みは増した。医師が来る回数が増え、廊下で囁き合う「もう長くは……」や「覚悟を……」という声が部屋まで漏れ聞こえるようになった。彼はもう怒ってはいなかった。ただ、疲れていた。たった一人で闘い続けることに、もう疲れ果てていたのだ。

しかし、母は決して変わらなかった。周りが何を言おうと、彼女はベッドのそばに座り、彼の手を握り、一日も欠かすことなくあの曲を流し続けた。

雨がしとしとと降る夜、窓を叩く雨だれが機械の音を少しだけかき消していた。リクは薄いカーテンの隙間から差し込む月明かりを見つめていた。奇妙なほど体が軽く、まるでベッドから浮き上がっているような感覚だった。母は少しうとうとしていたが、それでも彼の手をしっかりと握っていた。

「母さん」遠くから響くような、かすかな声で彼が呼んだ。

母はすぐさま目を覚まし、心配そうに目を見開いた。「どこか痛いの? 待ってて、今お医者様を……」

「大丈夫だよ」彼はほとんど力のない声で答えた。「少しだけ、母さんと話がしたくて」

母は長く息を吐き、元の位置に座り直すと、愛おしそうに彼の額を撫でた。「なあに。何でも話してちょうだい」

リクは少し沈黙し、自分の手を握る母の手を見つめた。幼い頃はふっくらとしていたその手には、今はくっきりと血管が浮き出て、以前よりも皺が深く刻まれている。自分がここで眠り続けている間に、母はどれほど年老いてしまったのだろう。今日まで、彼はそれに気づきもしなかった。

「もし、いつか僕がいなくなっても……」母を傷つけないよう、言葉を一つ一つ慎重に選びながら彼は言った。「この歌は、ずっと残るのかな?」

母の目から、知らず知らずのうちに涙がこぼれ落ちた。彼女はベッドの縁に顔を伏せ、肩を震わせながらも、その声はどこまでも優しかった。「残るわ……良い歌は決して消えたりしないの。たとえ、その歌を愛した男の子がいなくなってしまったとしても。音は風に乗って、人から人へと受け継がれていく。誰かが覚えている限り、その歌は生き続けるのよ」

リクは微笑もうとした。きっと、苦痛に歪んだ顔になっていることは分かっていた。「それなら……もし僕が、何か歌を届けたいと思ったら……僕にもできるかな?」

「もちろんできるわ」母は彼の手を痛いほど強く握りしめたが、彼は痛みを感じなかった。「あなたが愛したものは、あなたを愛する人たちと共に、永遠に生き続けるのよ」

その夜、彼は朝まで音楽を聴き続けた。眠れなかったが、苦しくはなかった。自分が何をしたいのか、何を届けたいのかを考えた。どうすればいいのかも、受け取るのが誰なのかも分からない。けれど、歌というものは、ただ聴くためだけにあるのではないと彼は気づいていた。それは、言葉では表せない何かを、誰かに届けるためにあるのだと。

それからの日々、彼は母が流してくれる曲以外にも、さまざまな音楽を頭の中で想像するようになった。もっと力強く、もっと明るく、誰かを慰めるような音。「君は一人じゃないよ」と伝えるための音。時には、かすれた弱い声で一緒に口ずさむこともあった。母はその一言一言に耳を傾け、彼が歌い終えるたびに、涙を流しながら微笑んでくれた。

「リクの声、とっても綺麗ね」と、震える声で母は言った。

その言葉は彼の心の深くに刻まれた。彼は信じたかった。自分のこの小さな存在が、本当に誰かのもとへ届くかもしれないのだと。

――別れは、準備する時間も与えずに突然やってきた。

容体は急変した。このまま静かに時間が過ぎていくのだと思っていた矢先、目を覚ますと呼吸ができなくなっていた。誰かに心臓を握り潰されているかのような鋭い痛みが胸を走る。遠くで母の叫び声が聞こえ、医師を呼ぶ声、廊下を走る足音、勢いよく開かれる扉……すべてが同時に弾けた。

彼はさらに広い部屋へと移された。機械が増え、ピッ……ピッ……という音はより激しく、速く鳴り響く。眩しい光が目を刺した。彼は懸命に母の顔を探し、ベッドの傍らに立つ彼女を見つけた。母は両手で口を強く覆い、目は充血し、必死に耐えていた。医師が何かを言っていたが、よく聞こえなかった。ただ、「心臓が……弱って……覚悟を……」という断片的な言葉だけが耳に届いた。

死ぬことは怖くなかった。ただ、別れが怖かった。彼は震える手を母へと伸ばした。母はすぐさまその手を取り、氷のように冷え切った手の甲に唇を押し当てた。

「母さん……どこにも行かないよね?」かすかな声で尋ねる。

母は泣き声を噛み殺した。「行かないわ……母さんはここにいる。ずっと、あなたのそばにいるから」

残された時間は、ただのカウントダウンだった。一日が数時間に、数時間が数分に。彼は深い水の中へと沈んでいくような感覚に包まれた。すべての音が次第に遠ざかっていく中、一つの音だけが残っていた……彼が人生でずっと聴き続けてきた、あの曲だった。耳元にあるかのように、はっきりと聴こえた。

「母さん……」もう声にはなっていなかった。「ありがとう……この曲を、聴かせてくれて……」

母は彼の手をきつく握りしめた。何も言わず、ただ涙が頬を伝い、彼の手の上に落ちた。その涙を拭ってあげたかったが、腕は石に押し潰されているかのように重く、もう指一本動かすことができなかった。

「僕……この曲が、一番好きだよ」彼は続けた。「もし来世があるなら……もう一度聴きたい……。そして、この音を誰かに届けたい……誰でもいい、誰かの元へ……」

心臓の鼓動が遅くなる……ゆっくりと……。

背景では、あの歌がまだ静かに流れていた。

母の泣き声が遠くで響く。

彼は最後に、母に向けて精一杯の微笑みを浮かべようとした。

ありがとう……すべてに。

やがて、光は静かに消え去った。

彼を生涯包み込んでいたあの凍えるような寒さも、次第に薄れていく。

すべての音が遠ざかり、最後には……完全な静寂が訪れた。

――そして、彼が次に耳にした音は、医療機器のアラームでも、母の泣き声でも、雨の音でもなかった。

「お気づきになりました! リゼル様がお目覚めになりました!」

驚きと動揺の混じった大きな声。リクは勢いよくビクッと身を震わせ、上体を跳ね起こした。

見慣れた部屋ではない。白い壁でも、窮屈で柔らかいベッドでもない。そこは信じられないほど広大で、天井は空に届くほど高く、金箔の装飾が眩く輝いていた。大きな窓から吹き込む風に、クリーム色の薄いカーテンが揺れている。花の香りと新鮮な空気が鼻腔をくすぐった。彼は無意識のうちに深く息を吸い込んだ――痛みがない。胸を押し潰すようなあの重苦しさもない。今まで経験したことがないほど、滑らかで、羽のように軽い呼吸だった。

彼は柔らかい掛け布団の上に置かれた自分の手を見下ろした……自分の手ではない。

抜けるように白く、滑らかで美しい肌。見慣れた注射の痕も、青痣もない。体を支えることすらできなかった弱々しい手足は、今は力強く、軽く、完璧な状態だと感じられた。彼は指を一本一本動かしてみた。意のままに動くことに驚き、心を奪われた。震えもない。疲労感もない。

しかし、内側は……その中身は、あの四角い部屋から旅立ったばかりの少年、リクのままだった。何も変わっていない。

「あ、あの……私のことを覚えていらっしゃいますか?」再び声が響いた。

彼が振り返ると、ベッドの傍らに茶色い髪の少女が立っていた。黒く大きな瞳を潤ませ、不安そうに胸の前で両手を組んでいる。「どこかお加減の悪いところはございませんか? 私はあなた様の専属メイドのライラです。昨日、突然お倒れになって……皆様、本当に心配しておられたのですよ」

リクは口を開きかけたが、そこからこぼれ落ちたのは自分の声ではなかった――澄み切った、甘く柔らかい、完璧な声。かつてのような掠れた声ではない。

「僕……」己の口から出た音に、彼は驚いて息を呑んだ。「ここは、どこ……?」

ライラは少しだけ目を丸くした。「ここはアーリア王国の王宮でございます。あなたはアーリア王国の王女、リゼル・マリアベル・アーリア様ですよ」

リゼル……。

その名前は、どこかで聞いたことがあるような気がして、彼の意識の中に浮かんできた。だが、それは彼の名前ではない。自分はリクだ……それとも、リゼルなのだろうか?

彼は震える手で自分の胸に触れた。心臓は規則正しく、力強く脈打っている。

もう、以前の自分とは違うのだ。






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