1件目【ハズレスキルと馬鹿にされ追放された俺、『創生』スキルで世界を創り出す】
「…お前は追放だ」
「…ッ! なんで! 僕は僕なりに、必死にこのパーティに貢献してきたはずだ!」
とある宿屋の一室、悲痛な声を上げる1人の青年と、それを見下す3人の男女。
『追放』だと宣言した男は笑いながらもため息を吐き、
「なんでって、荷物持ちのお前に平等に報酬を分け与えるのは戦ってる俺たちにとって不利益だろ? ノロマだし戦えないし、なによりお前のスキル、『創生』だったか? ちっちぇ武器とか盾を作り出すだけって、防具屋で買ってきゃ済む話…どう考えたってハズレスキルじゃねぇか」
「それは、パーティに入る時に言ったはずだ! 君たちはそれでも良いって、ちょうど新しいメンバーを探してたところだって…言ってたじゃないかっ!」
「あ〜? んなこと言ったか?」
「なぁ」と後ろを向きながら確認をするように声を出すと、後方で話の行く末を見ていた2人が笑い声を上げ、
「言ってましたかねぇ? 申し訳ない、僕はどうでも良いことを覚えられない性質でして」
「あっはは! ひっどーい、まあそんなことはどーでも良いでしょ?早くその目障りなゴミどっか追いやってよ〜。いつまでも同じ空間に居られると気分悪くなるんだけど?」
「悪りぃ悪りぃ。じゃ、そゆことなんで。これ持ってさっさと出てけよ、ゴミムシ」
捨てるように数枚の金貨が入った小袋を放り投げ、『チャリン』と無機質な音が部屋に響く。
しばらくの静寂ののち、堰を切ったように突然立ち上がり走り出した青年は、勢いよく扉を開け、その場から去っていった。
「あばよ、最弱スキルくん! はっははは………行ったか?」
「ええ、足音的にもう外に出たでしょう。お疲れ様です」
「あ゛ーーー、マッジで疲れる。演技すんのも楽じゃねぇっての。お前らもお疲れ、途中で話振って悪かったな」
「良いわよ、毎回ギルに追放宣告任せちゃってるし。というかいつも通り金貨5枚渡してたけど、あの子普段から浪費してたからそれだけじゃ足りなくない?」
「仕方ないだろ? 国から言われてる枚数がそれなんだ、確かに5枚程度じゃ食費と宿代合わせて7日持てば良い方だろうが…ま、何とかするだろ。また、『チートスキル』とやらを発現させてさ」
「それもそうね」
「さって、追放も済んだことだし、次のメンバー探しに行きますか。今回は国からの指定あったっけか?」
「特に無いですね、手当たり次第話を聞いて回るしか無いです」
「了解。とりあえずしばらく休憩な、流石に追放直後は精神的に参るぜ」
俺たちは国に集められた、冒険者を追放するための冒険者パーティ『バニッシュ』。メンバーはリーダー兼戦士の俺【ギル】、魔法使いの【ラドナ】、サポーターの【ドニル】。あと追放するための1人を追加して、基本4人パーティだ。
追放するためのパーティって何?という話だが、この世界では昔から奇妙なことが起きる。
それは、「追放された者が何故か覚醒し、最弱のスキルがチートスキルになる」という事象だ。
この事象によって、何の役にも立たないはずだったスキルでダンジョンを1人で無双する冒険者が度々現れていた。そんな折、俺たち3人は国王に呼び出されて、『追放業』を任された。
3人でパーティを組んで、意図的に追放者を覚醒させる。それが俺たちの仕事だ。
【補足情報】
ここは転生者が普通にいる世界で、転生してきた冒険者を略して『転生冒険者』と呼んでます。
ちなみに転生してきてない普通の冒険者も特殊なスキルを得ることがあると思われてますが、そんな事ないです。
僕たちの世界で死んで転生、あるいは転移してきた人間にのみ女神的な存在が特殊なスキルを与えて放り投げてます。何してんの?
特殊なスキルを持ちながら転生者だと判明してない人は当人にその記憶が無い、もしくは言うつもりがないのでそれが露呈してないだけで、この世界で与えられるスキルと転生、転移特典スキルはそもそものプールが違うので、この世界の住民に特典スキルはつかないし、逆も然りです。
なので特殊なスキルは転生者にしか付かないんですが、この世界に生きる彼らはそれを知る術がないので、転生者もこの世界の住人もどちらも特殊なスキルを獲得する可能性があると思ってます。
さらに言うと追放を条件に覚醒するのは女神が与えた特殊スキルだけなので、彼らがこれから接していく追放する相手は全て転生者ということになります。強制異文化交流。




