第八十八話
師匠のいた街を出て早五日。
特に何も問題なく港町まで辿り着いた。
今までの経験上、新しい街に着くと必ず、何かトラブルが起きていたのだが!
今の所何も問題無く此処まで来れた!
「本当に順調に来れたっすねー」
「何も問題が無いのは良い事なのでは?」
「いや、そうなんっすけど、此処まで順調だと何か逆に変と言うか何と言うか」
「何言ってんだよ!問題無いならそれでいいだろう」
「・・・そうっすよね。すいませんっす!この所、新しい街に行くたびに面倒事があったっすから!」
「まあ、気持ちは分からないでも無いな。此処まで順調な旅は初めてじゃないか?」
「ええ、そうですね。では、さっさと船のチケットを買って宿に行きましょう」
「おう、そうだノリ、VIP席を買ってきてくれ。その方が良いと思う」
「分かりました。じゃあ、ちょっとチケットを買ってきますね」
そう言ってノリ先輩はチケット売り場へと向かって行った。残された俺とユウ先輩とマシロはじっと待っていた。
俺は少し考え事をしていると、ユウ先輩が話かけてきた。
「さてと、チケットを買って、宿屋に入ったらどうするか?」
「とりま、ゆったりするか、買い物じゃないっすか?」
「私は買い物がしたいです!」
「そうだなー。俺も少し見て周りたいな。ダイは、どうする?」
「俺も少し見て周りたいっすねー。もしかしたら魔鋼や珍しい武器があるかもしれないっすから」
「とりあえずノリが帰って来たら・・・」
「うん?どうしたっすかユウ先輩?」
「お話中に失礼します。もしかして冒険者チームアースの皆さんですか?」
俺とユウ先輩の会話に割り込んで来たのは商人風の男だった。
「そうだが、誰だお前?」
ユウ先輩が男を見ながら圧力をかける。ちょ!ユウ先輩それ商人に向けていい圧力じゃないっすよ!
しかし、男はユウ先輩の圧力に負けずに話かけてくる。
「すみません。私はパープルヴァーチェで商人をしているガーターと申します。貴方方の事はモイラから聞いていたので声をかけさせて頂きました」
「モイラか!なんか、最早懐かしいな」
「モイラさんって誰でしたっけ?」
マシロが首をひねりながら聞いてきた。
「ほら、火の勾玉を獲る時に手伝ってくれた、蛇腹剣の使い手の十二守護獣の人っすよ!」
「・・・あー!思い出しました!」
「思い出して頂いて何よりです。宜しければ少しお話をしたいのですが、どうでしょうか?」
「別にいいが、俺等まだ宿屋を取ってないから取ってからでもいいか?」
「勿論です。まだ宿屋を取ってないのなら、私達が懇意にしている宿屋はどうでしょうか?先程、私達も取りましたがまだ、部屋に余裕がありそうでしたので」
「そうか、まあ今仲間の一人が明日の船のチケットを買いに行ってるから戻って来るまで待ってもらってもいいか?」
「大丈夫です。では、此処で待たせて貰いましょう」
「それで、俺達の何が聞きたいんだ?」
「主にパープルヴァーチェを出てからの事ですけど、此処では無く宿屋でお話頂きたいですね。私の仲間もいますので」
「へー、仲間は何人いるんだ?」
「私の他に後二人ですね。っとコチラに向かってくるあの人がノリさんですか?」
「んー?ああ、そうだな!おーい、ノリー!」
ユウ先輩がノリ先輩に声掛けをして、今あった事を話す。
「成程、モイラさんですか。懐かしいですね」
「じゃあ、メンバーが揃いましたので宿屋までご案内させて頂きます」
「そう言えば、アンタの残りの仲間には知らせなくていいのか?」
「二人共宿屋にいますので大丈夫ですよ。それに仲間の一人は貴方方に会いたがってましたしね」
「へえー、そうなのかー。とりま宿屋に行こうぜ」
「では、行きましょう」
俺達はガーターさんの後については歩いていく。少し歩くと豪華な宿屋が見えてきたけど、もしかしてあそこなのか?
「つきました。どうぞこちらへ」
「これまた、随分と豪華な宿屋だな。俺達泊まれるか?」
「こういう所って、一見さんお断りって所じゃないっすか?」
「私と一緒なら大丈夫ですよ。では、どうぞ」
俺達はガーターさんの後に続いて宿屋に入った。
「ほおー、外見だけではなく、中身も豪華だな」
「天井が高いです!」
「これ、本当に泊まれるっすか?」
「では、確認してきますね。少しお待ち下さい」
ガーターさんが受付に話し合いに行っているのを、皆でボーっと見ていたら、二階から声が聞こえた。
「おっ、ほら見ろガーターが帰って来てるぞ!」
「見たら分かりますよ。おや、あれは?」
こちらに近づいて来る二人組、一人は分からないがもう一人は知っている顔だった。
「よう、モイラ!久しぶりだな!」
「モイラさん!お久しぶりっすね!」
「!!!ユウ、ノリ、ダイ、マシロ!どうして此処に!久しぶりですね!!!」
モイラさんが俺達を見つけると駆け寄って来た!
「どうして貴方達が此処に?」
「船のチケットを買いに行ってたら、そこでガーターさんに合ってな。話をしたいって言われて此処に来たんだよ」
「モイラさんはどうして此処に?十二守護獣はやめたっすか?」
「いえいえ、私は国の依頼を受けて旅の途中ですね。貴方達はアイテムは集まりましたか?」
「あと、一つですね。火の勾玉、水晶の鏡は手に入った。残りの一つだな」
「おお、順調そうで何よりです。無事で良かったです」
「おいおい、モイラ!俺にも紹介してくれよ!」
そう言ってモイラさんの隣にいた男が話かけてきた。
「ちょっと待って下さいマンバ!どうせならガーターと一緒の方がいいでしょう。ほら、ガーターもこっちに来てますよ」
「おや、二人共。ちょうど良かった。呼びに行く手間が省けましたよ。モイラ、以前貴方が言っていた冒険者チームの方々が居たのでお話を聞こうとお誘いしたのですよ」
「流石商人。気が利きますね」
「では、あちらの食堂で話し合いをしましょう。ああ、宿も取れましたよ。代金も心配無く。私が払わせて頂きました」
「えっ!いいんすか?」
「ええ、私の我儘で来ていただいたので、宿屋の代金が報酬だと思って下さい」
「そうか、ならありがたく頂くぜ」
「それでは、あちらでお話しをしましょうか」
そうして俺達は食堂に行き、色々話し合いを始めようとした。
久しぶりにモイラさんに合った!
一緒にダンジョンにも潜った仲間だからな!
どんな話が出てくるのか楽しみだ!




