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第八十六話

あれから一ヶ月が経過した。

俺は師匠の元でひたすら鍛冶をしていた。それこそ寝る間も惜しんで様々な武器を作った。師匠にも手伝ってもらいながら理想の武器を作った!

ノリ先輩は悟空親分の弟分と特訓をしていたらしいがゴーリラさんとオラウータンさん、キンシコウさんが何か前に見た時よりもパワーアップしてるように見える。ノリ先輩に鍛えられてるな。

ユウ先輩とマシロはダンジョンに潜ってたらしいけど、ユウ先輩はあんまり変わった様には見えないが、マシロの魔力が上がっている。何をやったんだろう?

俺達は宿屋の食堂で一ヶ月ぶりに全員が揃った!


「久しぶりに全員揃ったな。どうだダイ?一ヶ月経ったが準備は出来てるか?」


「ぶっちゃけもう少し、師匠の元で修行したかったすけど一応出来てるっす!」


「そうか、ノリはどうだ?」


「私の方も大体の準備は出来ました。ゴーリラ達も以前よりも強くなりましたよ。ユウ先輩とマシロはどうです?」


「ふっふっふ、俺は新しい技を会得したぞ!マシロも遂に魔導甲冑を出来るようになったしな!」


「はい!私も師匠のお陰で強くなりました!」


「それじゃあ、遂に行くっすか!」


「ああ、最後のアイテムを取りに行こうぜ」


「分かりました。今日はお世話になった人達に挨拶をして、明日出発しましょう」


「了解っす!俺は師匠に挨拶してくるっす!」


「私達は悟空親分達に挨拶に行きましょう。ユウ先輩、マシロ」


「そうだな。じゃあダイ。俺達は先に悟空親分の所にいるから挨拶が終わったら、お前も屋敷に来いよ」


「分かりましたっす!」


「ああ、夜には悟空親分の屋敷でバーベキューをしますから、ダイの師匠も誘って下さい」


「おっ!いいっすね!師匠も喜ぶっす!」


「確かドワーフだよな。俺も話を聞きたいから楽しみだぜ」


「師匠は酒好きっすから美味い飯と酒の用意もお願いするっす!じゃあ行ってくるっす!」


そう言って俺は宿屋を出て、師匠の元に急いだ!

師匠の鍛冶屋は朝から鍛冶をしているのか工房からハンマーで鉄を叩く音が響いている。


「師匠ー!いるっすかー!」


「・・・どうしたダイ?お前今日この街を出るって言ってなかったか?」


「そうなんっすけど、先輩達が世話になった人達に最後挨拶するからって明日の朝出発になったっす」


「・・・そうか。それで何の用だ?」


「今日の夜に悟空親分の屋敷でバーベキューするんで師匠にも参加して欲しいっす!」


「・・・俺はいい。大した世話してないからな」


「何を言ってるっすか!俺の鍛冶の腕が上がったのは師匠のお陰っす!」


「・・・俺は何も教えていない。お前が勝手に覚えただけだ」


「それでも俺は師匠に世話になったって思ってるっすよ!だから今日の夜はきて下さいっす」


「・・・いや、だがな!」


「アンタ、行っておやりよ。可愛い弟子の頼みなんだからさ」


「あ、女将さん!おはようっす!」


「おはよう。安心しなダイ!アタイが腕を引っ張ってでも連れて行くよ!」


「マジっすか!お願いするっす!」


「・・・おい、勝手に決めるな!俺はまだ仕事が残ってるんだぞ!」


「それなら昼まで俺も手伝うっす!なんたって俺は師匠の弟子っすからね!」


ダイは師匠の合意を得ずに工房の中に入って行く。


「・・・お前、勝手に決めるんじゃない」


「いいじゃないの。アンタの弟子になってくれた子の頼みよ。聞いてあげなさいな。ほら、呼んでるよ」


「師匠ー!どれからやるっすかー?」


「・・・全く、人の話を聞かない奴だ」


ぶつくさ言いながらも楽しそうにしている師匠を見ながら女将は微笑んでいる。


「この世界に来て久しぶりに見たよ。アンタのそんな楽しそうな顔を」


そのままダイは夕方まで師匠と一緒に鍛冶をしていた。バーベキューの準備の時間になっても来ないから、チン・パンジーが呼びに来るまで師匠と一緒に鉄を叩いていた。


「すいませーん。ダイは此処にいますかー?」


「あれ?チン・パンジーさんじゃないっすか!どうしたっすか?」


「おおー、本当に此処にいたのか!どうしたってお前今日バーベキューやるって話だったろ?時間になっても来ないからユウに聞いたら多分此処にいるから呼んでくれ。って頼まれたんだよ」


「げっ!もうそんな時間っすか!ちょっと待って下さいっす!師匠!時間っすよ!」


「・・・行かないと駄目か?」


「勿論駄目っすよ!女将さんも一緒に行きましょう!皆に紹介するっす!」


「アハハ、分かったよ。ほらアンタ。行くよ」


「・・・分かった。行こう」


師匠と女将さんの準備を待って、俺達は一緒に悟空親分の屋敷に向かった。

屋敷ではすでにバーベキューの準備をしており、ユウ先輩やノリ先輩、マシロもいた。

俺は先ずは師匠を紹介する為に、ユウ先輩達の元に向かった。


「ユウ先輩!師匠を連れて来たっすよー!」


「よう、ダイ!その人達がお前の師匠か?」


「そうっす!っでこっちは師匠の奥さんっす!女将さんっすよ」


「・・・すまないな。俺は口下手だが宜しくな」


「ごめんなさいね。ウチの人、あんまりおしゃべりは得意じゃないのよ」


「いえ、大丈夫です!ダイが一ヶ月の間お世話になり、ありがとうございます」


「・・・いや、俺の仕事も手伝って貰っていた。気にするな」


「今日は、日頃のお礼に、食事会をやらせていただきます。色々食べて飲んで下さい」


「・・・ああ、楽しませて貰おう」


「ありがとうね」


「ユウ先輩、悟空親分が来ましたよ」


「よう、兄弟!準備は万端だぜ!それに、役者も揃ったみたいだな」


「おう、準備任せてすまないな兄弟!そろそろ始めようぜ」


「気にするな兄弟!じゃあ!バーベキューを始めるぜ!野郎共!火をつけろ!宴の始まりだー!」


「「「オー!!!」」」


悟空親分の声により宴が始まった!ユウ先輩とマシロは悟空親分と、ノリ先輩はゴーリラさん達と食べてる。俺は師匠達と一緒に食べようとしている。


「師匠!この肉、もう食べ頃っすよ!」


「・・・ああ」


「ダイ、焼くのはアタイがやるから座ってな!」


「いいんすか!女将さん!」


「いいよ。任せときな!」


女将さんが肉や野菜を焼いてくれてる。俺はそれを師匠と一緒に眺めていた。すると師匠が俺にハンマーを手渡してきた。


「師匠、何すかこのハンマーは?」


「・・・俺達ドワーフには、弟子が独り立ちした時にハンマーを選別として渡す風習がある」


「ってことはつまりコレって!!」


「・・・一応一通りの事は教えた。後はお前一人で頑張れ」


いつも無口な師匠が、鍛冶が上手くいっても誉めることの少なかった師匠が、選別をくれた・・・


「・・・いらないなら何処かに捨て・・・」


「ありがとうございます師匠!俺!このハンマーが似合う男になってやるっす!」


俺は師匠に向かって土下座をした!下を向いてないとこの恥ずかしい顔を師匠に見られてしまう。涙と鼻水が出てくる。こんなにも人に認められたのは初めてだった。


「おやおや、どうしたんだい。ダイ、ほら肉を食べなさい。野菜もね」


「はいっす!腹いっぱい食べるっす!けど、この肉少ししょっぱいっす!」


「・・・涙と鼻水を拭け。全く、まだまだ一人前にはほど遠いな」


師匠が酒を飲みながら言ってくる。しょうがないじゃん!不意打ちだったんだから!


「いいかい、ダイ。アンタはアタイ達の弟子だよ。つまり家族みたいなもんだよ。何かあったら何時でも来な。話ぐらい聞いてやるよ」


女将さーーん!コレ以上俺から水分を取らないでくれー!もう、涙と鼻水止まらないよー!


「・・・泣きすぎだ。ほら飲め」


「うっす!師匠!」


こうして、俺は初めて出来た師匠に、一応免許皆伝の一歩手前ぐらいの評価は得た。

師匠から貰ったハンマー!コレを使って、もっといい武器を作ってやる!師匠の名を汚さない様にしないとな!

明日にはまた、旅が始まるが出来れば元の世界に還る前に師匠達に会いたいな。

師匠の弟子として、恥ずかしくない旅をしていきたいぜ!

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