第五十九話
ノリ先輩と決意を新たにした俺達。
取り敢えずユウ先輩が起きるまで待つ事に。
朝方、宿屋の食堂でノリ先輩とマシロと朝食を食べていると階段からユウ先輩が降りてきた。
「やべー、寝まくって腹減った。俺の分の朝食も頼むわ」
「あっ、ユウ先輩、やっと起きたっすか?」
「随分とゆっくりとした目覚めですね」
「師匠!おはようございます!」
「なんか、よく寝たせいか身体が痛いぜ。それに、めちゃくちゃ腹減ったんだよな」
「そりゃあ、そうっすよ。だってユウ先輩、二日間まるまる寝てたっすから」
「はっ?聞き間違いか?二日?」
「ええ、ユウ先輩はあのオロチとの戦いの後から、二日間寝てましたよ」
「師匠、私が起こしてもまた寝てました!凄くよく寝てました!」
「まじかよ!久しぶりにそんなに寝たなー。昔、三日間徹夜で麻雀をした時以来だな」
「あー、あのキツかった麻雀大会の時っすね」
「三日目なんて全員、意識朦朧で麻雀してましたからね」
「辛かったよなー。ってかシュガールやベンガルの説明はどうなった?」
「ユウ先輩が起きるまで待ってもらってます」
「っで、多分もう少ししたら二人が来ると思うっすよ。昨日もそれぐらいの時間に来てたっすから」
「そうか、なら来る前に朝飯を終わらせておくか」
そう言ってユウ先輩は宿屋の人に沢山の飯を注文している。
「じゃあ、俺が寝ている間に、何か変わった事はあったか?」
「一つありますね。確か今日から船の試し運転が始まるそうです」
「あー、確か船を沈めてたのがオロチだったからな。本当かどうか分からんがな」
「それの確認の為の、試し運転だそうです。まあ、
私はもう大丈夫だと思いますけどね」
「そうっすね。本格的に運航出来るのはいつっすかね?」
「さあな、最低でも一週間ぐらいはかかるだろうな」
「航路の安全確認が出来次第でしょうね。まあ、それまでは少しゆっくりしましょう」
「そうだな。おっし、マシロ。シュガールとベンガルの話し合いが終わったら久しぶりに修行をやるか!」
「はい!師匠!修行久しぶりです!」
「ノリとダイはどうする?」
「私達は予定がありますので」
「そうっす!だからユウ先輩はマシロとゆっくり修行して下さいっす!」
「そうか。取り敢えず飯でも食べながらシュガール達を待つか」
「そうっすね!」
俺達が朝食を食べ終えるぐらいに、待っていた二人がやって来た。
「あら、ユウ。やっと起きたのですか?随分ゆっくり休まれたのですね」
「全くだぜ。ってかよく二日も寝れるな。アタイなら腹が減って起きちまうよ」
「悪かったな。何回も足を運ばせて」
「いいですよ。あれ程の戦いでしたし、疲れて当然です」
「だな、っで今日は話し合い出来そうかい?」
「ああ、大丈夫だ。いつやる?」
「では、二時間後に迎えに来ますね。準備をしといて下さいね」
「じゃあな!」
そう言って二人は帰っていった。
「それじゃあ、準備するか。」
「ですね。ひとまず時間までゆっくりしてましょう」
「了解っす!」
食後まったりとして時間を過ごした。
そして予定時間になると宿屋の前に豪華な馬車が止まった。
「お待たせ致しました。ベンガル様、シュガール様よりお連れするように伺っております。どうぞコチラへ」
「宜しく頼む」
俺達は馬車に乗り込んだ。
少し走ると目的地についた。
「でっかい建物だな。何処だ此処?」
「ここはベンガル様の御屋敷です。すでにベンガル様、シュガール様がお待ちになっております」
「でっかい家ですね。師匠!」
「そうだな。取り敢えずベンガルとシュガールの元に行くか」
俺達が馬車を降りると老齢の執事が待っていた。
「冒険者チームアース様御一行ですね。ベンガル様よりお話は伺っております。どうぞコチラへ」
俺達は執事の後について屋敷に入った。案内された部屋の中にはベンガルとシュガールが待っていた。
「よう、よく来たね。待ってたよ」
「おう、待たせて悪かったな。予想より眠っちまってたわ」
「先程も言いましたが仕方まりません。取り敢えず、そちらに座って下さい」
俺達はベンガルさんとシュガールさんと同じテーブルについた。
「それじゃあ、早速だけど、アンタ達とオロチがどういう関係か聞かせてもらおうかい!」
「そうだな、話せば長くなる。それでもいいか?」
「勿論です」
ユウ先輩は初めから話し初めた。俺達が異世界から召喚された事。そこでダンジョン氾濫の犯人のネコショウに会った事。元の世界に戻る為に必要なアイテムを探しに旅をしている事。次にホワイトフォートでの事件でセッショウと戦ったことなど、今までの出来事を簡単に話した。その間、ベンガルさんとシュガールさんは静かに話を聞いてくれていた。
「と、まあ簡単に話すとこんな感じかな?」
「なんか、思ってたよりもキツイ話だったな。アンタ達も苦労したんだね」
「しかし、オロチ達の目的は一体何でしょう?」
「ぶっちゃけ分からん。ただ、何か黒い玉を持っていて、それで何かするつもりだろうが、まだ何も分からん」
「目的が不明というのは気味が悪いね」
「そうなんすよ!しかも、今回のオロチの件で、大陸を跨いできているっすから、何処に現れるかわからないっすよ!」
「奴等の潜伏場所も分かりません。本当に奴等の事は何も分かってないのです」
「まあ、分かってる事は一つだけだ」
「それは?」
「彼奴等の分かっている三人、ネコショウ、セッショウ、オロチ。全員が強いって事だ」
「・・・そうですね。オロチも本気を出してなかったみたいですし、セッショウやネコショウに至ってはマトモに戦ってないのに強さだけは分かりますし」
「ネコショウ強かったっすからね。たった一振りで兵士を微塵切りにしてたっすからね」
「セッショウも本気を出して無いのに、手も足も出なかったしな」
「更に、オロチに命令出来る奴が居るみたいだしな」
「あんな奴を従えるって、親分はどんな奴なんだろうね?」
「全く情報がないから分からん。取り敢えず俺達に今出来る事は一つだ」
「その一つとは?」
「鍛えるしかないだろ。またオロチが来ても倒せる様になる為にな!」
「・・・そうだな。アタイ達がオロチより強くなってやろうじゃないか!」
そうやって話がまとまりかけた時、入り口のドアより、二人の男が争う様に入ってきた。
「やあ、話し合いは終わったかい?そろそろ私を紹介して欲しいのだが」
「どけ、お前がおると俺が通れんじゃろ!はよどかんかい」
入って来たのは二人の男。一人はヒョロっとした紳士。もう一人は海賊の親分みたいな風貌だ。
この二人はひょっとして・・・。
「親父!まだ呼んでねーだろ!」
「お父さん、呼んだら来てと言ったはずですが?」
娘達の冷ややかな視線を浴びて、少しバツの悪い顔をしながら話かけてきた。
「すまんなあ、ベンガル。お前を助けたって言う野郎の顔を見たくてな」
「ええ、娘を助けてくれたお礼をしなくてはね」
キリッとした顔で喋ってるが、少し腰が引けてる。何かちょっと情けないな。
「はあ、仕方ないね。ユウ、ノリ、ダイ、マシロ。コレがアタイ達の親父で、現在この街の長のタトイ・ラガーと隣街の長ドリュラ・ウゴンさんだ」
「宜しくな。冒険者チームアース!」
「此度はこの街の危険を未然に防いで頂きありがとうございます」
「まあ、成り行きだったしな。別に大したことしてないぜ」
「そうですか。所で一つ聞きたいのですが、ユウと言うのはどなたですか?」
「あー、俺がユウですけど?」
「そうですか、貴方がユウですか、貴方が!」
そう言うと、ユウ先輩に向かって剣を振り下ろしていた。ユウ先輩は軽く避けて取り押さえる!
「おい、シュガール。お前の親父が俺に攻撃してきたがどういう事だ?」
「知りません!お父さん何をやっているのです!」
「ガッハッハ、ザマァないな!」
「ノリ!」
「ええ、動かないで下さい。そのまま武器を置いて座って下さい」
ノリ先輩はベンガルさんの親父さんを抑えている。よく見ると手にサーベルを持っている。
「親父も何やってんだ!」
「仕方ねえだろ。お前達から話しは聞いているが自分の目で確かめないと信じれないからな!」
「ええ、とても大事な事ですから」
ユウ先輩とノリ先輩が拘束を解くと、親父さん達は椅子に座って話そうとするも、シュガールさんとベンガルさんに命令され床に正座させられた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。コレには深い理由が!」
「そ、そうだ!」
「それでは深い理由とは何ですか?」
「大したこと無い理由だったら、アタイ達がどうするか、分かるよね?」
シュガールさんとベンガルさんの冷たい目線に耐えながら親父さん達はユウ先輩を見ながら言った。
「か、彼、ユウ君がシュガールに相応しいかテストをしていたのです」
「お、おう。ベンガルの婿に相応しいかテストしないとな!」
「「な、何だってー!」」
突然報告された結婚報告!
ユウ先輩はどちらの家に婿入りするのか?
なんて事を考えてたらユウ先輩に睨まれた!相変わらず俺の考えは読まれるんだよな!
この後どーなるか?
ユウ先輩は結婚して日本には還らないのか!
次回に続く!




